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2007年2月12日 (月)

オレゴン健康科学大学(古い)訪問記04 Emma Jones Hallの概要2

 このクリニックでは小児から老人まで様々な患者さんが診療を受けている。日本の医療機関では、圧倒的に高齢者が多いわけだが、ここでは若年から中年の女性の比率が高いそうだ。この理由には大学の中の診療所という特殊性もある。

 アメリカでは多くの医療保険では受診できる医療機関が制限されており、ここの外来に受診できる人は、経済的に比較的恵まれている人で、かつ日中仕事を持っていない人が多い。結果的に若年から中年の女性の比率が高くなる。

 一人の患者さんの受診回数は平均で1年に3回程度。日本では高血圧症や糖尿病などの慢性の病気では月1-2回受診する事が多いので、それと比べると極めて少ない。その背景には、医療保険制度の違いがある。アメリカでは慢性疾患の管理については年単位で包括で支払われる。たとえその月に受診していなくても医療機関は診療報酬が得られる。良いマネージメントをして受診回数を少なくすれば、経費が節約できて医療機関の経営も良くなるという訳だ。一方日本では、患者さんが受診しない限り一円の収益もあげることができないので、受診回数を減らす事は経営上難しくなってしまっている。

 検査に関しても大きな違いがある。家庭医療では、超音波診断装置も、内視鏡も行われていない。というか行うことが出来ない。これらの検査の実施は専門医の資格が必要なため、大学本体の専門外来で行われている。一方で、女性の患者さんが多いので、(産)婦人科に関する診療需要もかなり多く、コルポスコピー(子宮の入り口の検査)などの婦人科的な検査はありふれた手技となっている。皮膚癌も多いので、皮膚生検(小部分を切除して顕微鏡検査をする事)もよく行われている。

 日本においては、診療所であっても、超音波検査、内視鏡検査はもちろん、設備投資さえすれば、CT、MRIといった検査も特に制限無く行うことができる。しかし婦人科以外の医療機関で、婦人科的な診察をする事はまず無い。

Examroom1Examroom2_1 Examroom3_1 Examroom4  診察室はそれぞれ個室になっている。部屋番号の上には、患者さんの在室や診察の進行状況を知らせるサインがついている。

 診察室の中にはベッド、机、壁に据えつけられた耳鏡、眼底鏡(ペンライト代わりにもなる)、血圧計、危険物廃棄容器、手洗い水道など、診察に必要な道具が一通り揃っている。

 ベッドの下には引き出しが付いていて、診察時に使う患者さん用のガウンが入っている。このベッドはかなり高さがあり、足の方から踏み台で登るようになっている。座った状態での診察や、婦人科的診察の場合はそのまま使い、寝た状態での診察の時は、下肢を乗せる板を引き出して使うようになっている。

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