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2007年4月17日 (火)

オレゴン健康科学大学(古い)訪問記17 OHSU Gabriel Park Clinicの見学(午前)

Friday, December 12, 2003

 今朝はいままでよりちょっと遅くて午前8時にホテルを出発。昨日までと違い、市街地から南西方向に15分ほど離れた丘の上にある、OHSU Gabriel Park Clinic へ。ここは住宅地の真ん中の小さなショッピングセンターの中にあり、ピザやテリヤキチキン弁当を売っているお店や、美容院、カイロプラクティック施療所などが隣接している。

Dornfest  9時前に到着してここの管理者の Dornfest 先生に会う。以前は南アフリカのケープタウンで家庭医療を行い、その後アメリカの数カ所で学生やレジデント教育に携わり、5ヶ月前からこのクリニックに着任したとの事。

 ここは、本学だけではレジデントや学生を受け入れきれなくなった為、14年前に学外に作られた最初のクリニックで、周辺には公園やプールなども整備されていて、すばらしい住宅地のようだ。

 余談だがアメリカでは clinic は入院患者を持たない無床の医療施設。有床施設は小さくても hospital と言うそうだ。日本では無床および19床以下の有床医療機関を診療所と呼び、20床以上が病院と医療法で決められている。従って有床診療所は hospital と説明しないと混乱する。

 平屋の建物だが中は広くて、数えてみたら診察室がなんと25室あった。その他に preceptorが指導のために待機する部屋や、研修医が調べ物をする部屋、レジデント控室、スタッフ休憩室、レントゲン室、検査室、2つの処置室がある。注射はナースが行うので、薬品は主としてナース用のケアルームに配置されている。

 受診の流れは基本的に Emma Johns Hall と同じで、受付を終わった患者さんは診察室に入り、まずナースが様子を聞いて、心電図などが必要と思えば事前に実施する。その後、医師がやってきて診察する。診察室の入り口には患者さんが在室しているかどうかなどを示すサインがついており、カルテもこの近くのホルダーに入れられている。診察室の壁には絵画が飾られており、天井からは回転する模型がつるされている。

 ある部屋の壁には「子供に抗生物質を安易に処方してもらうのはやめましょう。」と親向けのキャンペーンポスターや、「糖尿病の人は靴と靴下を脱いで下さい」と書かれていたりしていた。ここには12名の研修医が配置されていて、3名の医師が指導医をしている。

 Emma Jones Hall と同様、ここにも、超音波診断装置も、内視鏡も無い。コルポスコピーは頻繁に行われている。アメリカでは消化管内視鏡は消化器内科専門医と、検査時の鎮静の為の麻酔科医が必須との事。したがって家庭医療 では手出しできない。エコーについては、本当は使いたいのだが、実施するのに資格が必要→専門医が使う事を認めない→研修すらできない、という壁があって、活用されていないとの事。

 午前中は研修医たちについて診察を見学した。最初のケースは鼻水の女性。副鼻腔炎の疑いもあるが様子を見ましょうとの事で処方は無し。2番目は赤ちゃんで咳。基本的には元気で、これも処方無し。3番目のやせた若い女性はのどの痛みと咳。胸部のレントゲン写真2方向撮影し異常無し。4番目の女性は咳。丁寧でよく説明もしているが、診察時にいちいち服も脱がせないし、風邪症状だけでは腹部の診察はしないので、日本の一般的な内科外来の風景に似ている気がする。

 というわけで今日は非常にかぜ、それも比較的軽い人が多い。これも地域への密着性の強い事の表れと私は解釈した。Emma Jones は大学の中なので、それなりに敷居が高いようだ。患者さんの多くは女性でありこれは全国的な傾向らしい。また医師によって患者の年齢層などにバラツキがあり、経歴の長い先生はやはり高齢者が多いとの事だった。また、婦人科の得意な先生もいれば、全く見ないという先生も居て、どの医師も均質な診療をするというわけでは無い。

Gabriel1  さて、5番目のケースでようやく風邪から離れた。糖尿病で足底に潰瘍を持っている男性が、両下肢にやけどを負い難治であるとの事で紹介をされてきた。右下腿の火傷は黒色痂皮(かさぶた)を伴い、左足の部分はうすい表皮の下に白色のものが見える。私はこういうのはまずデブリドマンして、適切な創傷被覆材料を考えて、糖尿病 はインスリンでコントロールを改善して、難治なら血管拡張剤のプロスタグランジンや、線維芽細胞増殖因子まで使わないといけないかな、なんて考えたが、これは全くの日本的発想だった。

 研修医が指導医 と相談して決まった今日の治療方針は、「来週まで様子を見る」という事だった。その理由としては周囲の発赤や腫脹が軽快してきているので、との事だった。後でいろいろ聞いてみたが、ハイドロコロイドや親水性ポリウレタン、ポリエチレンフィルム、アルギン酸塩といった日本ではおなじみの創傷被覆材料は全く使われていない。ましてや更に値段の高いプロスタグランジンや、線維芽細胞増殖因子などはもっての他であった。

 処置用の軟膏として常備されているのは、抗生物質のポリミキシンBの軟膏とか、スルファジアジン銀クリーム(つまりゲーベンクリーム)ぐらい。ガーゼは滅菌パックに入った非固着性の(傷口にはりつかない)物が使われている。

 頻繁に処置が必要な場合には、途中医師はタッチしない。クリニックのナースや通院困難な場合は訪問ナースが治療を行う。創部をある程度密封して置く場合は、ペースト付きバンデージ(普通の絆創膏の事か??)といった材料を使っているとの話だった。だいぶ様子が違う。

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