カンボジアの旅10 象のテラス
2007年9月23日(日)
バイヨンの北側にあるのが象のテラスである。Wikipediaによるとテラスとは家の母屋から突き出した屋根の無い部分の事とある。象のテラスは王宮へ続く門の前にあり、地面から2メートルほどの高さに石が積み上げられた構造である。南北に細長く350mぐらいあり、そのほぼ中央が王宮の塔門とつながっている。この中央部分は王のテラスと呼ばれるが、後で出てくるライ王のテラスとは違うので注意したい。王のテラスの正面には勝利の門へ通じる東西の道がある。戦いに勝った軍は勝利の門を通り、王のテラスで待ち受ける王の出迎えを受けたそうだ。(敗戦した場合は少し南にある死者の門から入ってきた。)いずれの遺跡もバイヨンと同じようにジャヤバルマン7世により12世紀末頃に建築されたものとされる。
1枚目の写真はテラスの南の端にあたる。中国人の観光客が三脚を立てて延々と記念写真を取り続けていた。
2枚目はテラスの全景を広角レンズで収めたもの。中央にやや飛び出した部分が王のテラスである。
3枚目の写真はテラスの上に上がる階段。象のテラスの名前どおりあちこちに象が彫られている。鼻が柱のように作られている物もあり、壁面に横向きで彫られている物もある。
4枚目。テラスの中には窪地のようになっている場所があり、この部分の壁にもしっかりと彫刻が施されている。この4体の像はガルーダ。ガルーダはヴィシュヌ神の乗り物の神鳥であり、ナーガ(蛇神)の天敵である。ガイドのブンジーさんの説明では、くちばしの大きな物がオスで、小さなものがメスだそうだ。なお地球の歩き方には、ガルーダとガジャシンハと書かれている。ガジャシンハはガルーダとライオン(シンハ)が合体したものらしい。テラスを支える両腕にはナーガのしっぽが握られており、足元には踏みつけられたナーガの頭部が見えている。ここに限らずガルーダとナーガは一緒に彫られる事が多いようだ。
5枚目。象のテラスの中央部分、王のテラスにやってきた。テラスの西側には王宮への塔門が続いている。このツアーでは王宮跡へは行かないらしい。残念。王宮そのものは木造のため現在は残っていない。7から8世紀に建てられたと言われる奈良の法隆寺の木造建築が現存している事がいかにすごいことかと改めて思う。
6枚目。王のテラスから正面(東)に続くのは勝利の門へと通じる道である。戦勝した兵士を迎える王の気分に浸ろう。
7枚目。象のテラスの北端付近。ここにも象が彫られている。象たちは鼻で蓮の花を摘んでいる。その間には精密な彫刻が施されている。下側に見えるのは何だか笑ゥせぇるすまんのようにも見えるのだが、カーラという怪物だ。その回りにはアプサラたちがユーモラスに踊っている。インド神話によると、カーラは貪欲な怪物で自分の体まで食べてしまい顔だけになってしまったという。別の説としては、乳海撹拌で生まれた不死の薬アムリタを飲み込んだ阿修羅の首をヴィシュヌ神が切り落としたが、顔だけが不死となりカーラになったという。カーラは仏教では閻魔大王にあたるというのだからなかなか面白い。
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