カンボジアの旅16 アンコールワット(3) 第一回廊のレリーフ
2007年9月23日(日)
第一回廊の壁面には美しいレリーフがほぼ全周に彫られている。バイヨンと違って屋根は崩壊していないので、その分かなり暗い。狭い廊下にはたくさんの観光客がひしめき合っている。有名なポイントは特に混雑しており、各国語のガイドの声が天井に響いて混じり合っている。レリーフを見るのが目的なら、午前中に来る方が空いていて良いに違いない。
前回書いたように我々の見学ルートは回廊の北西の角からスタート。確かにレリーフで有名な部分は西面北のラーマーヤナ、西面南のマハーバーラタ、南面西のスールヤヴァルマン2世の行進、南面東の天国と地獄、東面南の乳海攪拌なので、ここからスタートするのが最も効率的と言うことなのだろう。
レリーフの写真はなかなか難しい。屋根があって暗いし、背後の連子窓から差し込む光はスリット状だから壁面を照らし方にムラがある。レリーフ自体もそんなに堀の深いものでは無いから、結局の所なかなかコントラストがつかないのだ。カメラのAFもなかなか合焦しにくい事があった。フラッシュを焚くと直線的な光で尚更コントラストが失われがちである。とかく、写真集で見るような美しい写真を撮影するのにプロカメラマンがどれほどのテクニックを駆使しているか、改めて思い知らされる。
3枚目の写真は自然光のみで正面から撮影したもの。白く光ってしまい、絵が見えにくくなってしまった。西面北のラーマーヤナの物語から、白猿ハヌマーンの肩に乗り矢を射るラーマ王子の図。
4枚目。外部ストロボを発光させてみたがあまりうまい配光になっていない。西面南、マハーバーラタの戦闘シーン。
5枚目。南面西のスーリヤバルマン2世の図。外部ストロボのバウンス撮影を試みたが、上側ばかりに光が反射してしまっている。スーリヤバルマン2世はこのアンコールワットを建造した王様である。王の図はけっこう上の方にあるので、撮影は尚更難しい。
6枚目。同じ南面西のスーリヤバルマン2世の行軍から、戦象に乗る兵士。壁面に近づいて、フラッシュを焚かずに撮影。焦点距離10mm、ISO800で絞り4.0、シャッター速度1/50秒。結局私のような素人ではこれぐらい近接で撮った方が良い結果になるようだ。他の見物客が入らないように撮影するためには広角レンズが必須。
7枚目。これも有名な南面東の天国と地獄。外部ストロボを使用。真ん中の段が裁定を受ける人たち。下が地獄に落ちた者。上段が天国。地獄に落ちた人は鞭で打たれている。
8枚目。同じ天国と地獄の図。全身に釘を打たれている人もいる。痛そうだ。
乳海攪拌はヒンドゥー教における天地創造物語である。不老不死の薬アムリタを欲した神々と阿修羅は相談の結果、大きな亀(クールマ)の上にマンダラ山を乗せ、これに大蛇(ヴァースチ)を巻き付け、左右から引っ張り海をかき混ぜる事になった。1000年も続いた攪拌の途中、ヴィシュヌ神の妻ラクシュミーや、多数の天女アプサラなどが海から生まれた。ついに不老不死の薬アムリタが生み出されたが、最初にこれを手に入れたのは阿修羅であった。悪神の阿修羅が不老不死になっては大変だと、ヴィシュヌ神はアムリタを飲み込んだ阿修羅の首をはねてアムリタを強奪した。(なんてひどい。)こうして神々は不老不死となり、首を切られた阿修羅は顔だけが不老不死の怪物カーラとなったという。
9枚目の写真は左側からヴァースチを引く阿修羅側。下段には海中の生き物の様子、上段には攪拌で生まれた天女アプサラ達が描かれている。10枚目の写真は綱引きの中央でマンダラ山に乗って指揮を取るヴィシュヌ神が描かれている。
乳海攪拌のレリーフが終わった第一回廊東面の中央まででレリーフの観察はおしまい。時刻は16時4分。レリーフ部分の見学時間は20数分といったところ。
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