カンボジアの旅29 東メボン
2007年9月24日(月)
ツアーバスはプリアカンの北側にある真新しい公衆トイレに立ち寄る。遺跡観光客への便宜のため要所要所に水洗トイレが整備されている。遺跡チケットを見せれば無料で利用することができる。6分間のトイレ休憩の後、15時ちょうどに出発。行きに通った道を戻る。森を抜け、水田地帯に入る。15時12分に東メボンに到着した。
東メボンは952年に、ラージェンドラヴァルマン二世により建てられたヒンドゥー教寺院。アンコールワットよりも200年ほど前の時代だ。東西7km、南北1.8kmもある巨大な人工貯水池東バライの中に建造された、三段構成のピラミッド型の遺跡である。バライは雨季に降った雨水を貯めて洪水を防ぎ、乾季にはその水を農業に利用するために作られた。現在東バライの水は涸れ、周辺は水田となっているが、東メボンはしっかりと残っている。一方11世紀に作られた西バライは今でも水を湛えているが、その中にある西メボンは殆ど崩壊してしまっている。
あまり派手な呼び物が無い遺跡なので、案の定人影は少ない。あたりの雰囲気ものんびりしていて、ほっとする。
一段目の階段の上ではシンハが大きな口を開けている。階段や土台などはラテライトで作られている。この色合いはバンテアイスレイの参道の敷石とも共通したイメージ。シンハなどの彫像は加工しやすい砂岩で作られている。
第一段の四隅には象が飾られている。かつては東バライの水面の四方を見守っていたのであろう。保存状態も良く、1000年以上経った今でも美しい姿である。
階段をよじ登り、最上段に至る。土台は広々しているが、その中心にある中央祠堂は案外こじんまりとしている。土台はラテライト、彫像や破風は砂岩、祠堂の本体は煉瓦で作られている。
中央祠堂の入り口から上を見上げる。破風には精密なレリーフが彫られている。中央のカーラの上に、三頭の象。その上では神が踊っている。
煉瓦にはたくさんの穴が開いている。ガイドのまるちゃんから受けた説明では、レンガを焼く時に棒を刺した穴だという。(地球の歩き方を見ると、漆喰がはがれにくくするための穴だと書いてあるが…どちらが本当だろうか。) 近くにいた白人の観光客が話しかけてきた。「この穴は銃撃でできたのですか?」 内戦の爪痕かと思って心配したようだ。「違いますよ。」と答えるとほっとした様子だった。
中央祠堂の中に置かれた仏像。もともとはヒンドゥー教寺院だが、現在は仏教寺院である。カンボジアの僧侶と同じ橙の布を身に纏った仏像の背後には7つ頭のナーガが。頭上にはゴージャスな金色の傘が掲げられている。同じ仏教でも国が違うと、随分と違いがあるものだと思う。
のんびりとした東メボンの見学は僅か17分であったが、なかなか楽しい物だった。
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