カテゴリー「オレゴン健康科学大学訪問記2008」の21件の記事

2009年6月 3日 (水)

オレゴン健康科学大学訪問記2008 (21) 完 マルトノマー滝再訪

2008年12月11日(木)

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 この日は午前中 Saultz 教授との懇談があり、その後はポートランド近郊の観光となりました。

 5年前はこの時期のオレゴン州らしく連日雨でしたが、今回の訪問は、比較的天候に恵まれ、リーズポート、クラマスフォールズでは珍しい晴天。ポートランドに戻ってからも曇りでした。ただ、私たちの帰った直後の週末は大雪が降る予報になっていました。

 前回はちょっとしか見られなかった、オレゴン州の象徴 Mount Hood ですが、今回はその美しい姿を間近に眺める事ができました。写真はポートランドからコロンピア川に沿って東へ向かう高速道路の車窓から撮影したものです。

Img_4195 観光スポットの定番ということで、今回もマルトノマー滝 Multonomah Falls へ連れて行っていただきました。
 前回の訪問では大雨にたたられてしまい、下から眺めるだけにとどまりましたが、今回は滝の中断にかかる橋まで遊歩道で上がってきました。その先も遊歩道を進めば滝の上部まで行けるようです。
Img_4186 この付近はコロンビア峡谷 Colombia Gorge と呼ばれ、コロンビア川によって深く削られた谷に向かって、山間からいくつもの滝が流れ込んでいます。マルトノマー滝はその中でも大きな物で、高さは189m。日光華厳の滝の約2倍の落差です。滝は2段になっています。
Img_4194 橋まで登ると1段目の滝壺を間近に見ることができます。1段目の方が落差が大きいので、轟音や水しぶきも2段目より迫力があります。面倒がらずに橋まで行ってみることをお勧めします。なお滝の写真は焦点距離10mmの超広角で撮影しています。標準ズームでは全体像が入らないぐらいのスケールです。

Img_4175  他に今回の訪問では、ポートランド東郊外の地ビール工場や、南西のワイナリー、そして、Ben の自宅を案内していただきました。Benの趣味は工作。自宅内に専用の工房を持っていて、クリスマスのデコレーションなどの小物から庭の東屋、テラスなどの大物まで何でも一人で作ります。庭では乗用芝刈機の運転も体験させていただきました。オレゴン州の豊かな生活の一端を見させていただきました。

2008年12月12日

 朝8時。前チェアマンの Robert Taylor 先生の自宅で朝食会がありました。実は昨日まで旅行に出掛けていて我々とゆっくり話す機会が無かったので、わざわざ朝食会を設けてくださったのです。

 5年ぶりにお会いした Taylor 先生は、第一線は退いたものの、まだまだ精力的に動き回っているようでとてもお元気そうでした。家庭医療学の第一人者で、大変高名なドクターですが、独特の飾らない優しい語り口に、改めて尊敬の念を深く覚えました。

 これで全日程が終了。昼の成田直行便で帰国の途につきました。(終わり)

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2009年5月27日 (水)

オレゴン健康科学大学訪問記2008 (20) ストリートカー

Img_4134 MAX とは別に Portland Streetcat と言う路面電車も運行されています。路線は1系統だけで日中13分おきの運行。OHSU新外来棟のある、サウスウォーターフロント地区と、市街の中心を経て、北西部にある Good Samalitan Hospital を結んでいます。路線の両端が医療機関というのがちょっと面白いですね。

Img_4135 MAXやバスを運行するTRIMET とは別会社のようですが、TRIMET のホームページには streetcar も特に分け隔てなく掲載されています。営業開始は2001年で、2007年にサウスウォーターフロント地区への延伸が完成したそうです。

Img_4148 車体は3連接構造で、中間の車体部分には車輪が設置されておらず、両端の車体に支えられているだけ。それを活かした超低床構造になっています。MAXと比較すると小振りな車体です。

Img_4141 残念ながら今回乗車するチャンスはありませんでした。

 写真は OHSU Center for Health & Healing 前の停留所および、外来ロビーから撮影したものです。

 

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2009年5月20日 (水)

オレゴン健康科学大学訪問記2008 (19) MAX

 ポートランドの市街地では公共交通機関が充実しています。Trimet  ( Tri-County Metropolitan Transportation District of Oregon ) が、バス、ライトレール(LRT) MAX などを運行しています。とても感心させられるのは、市の中心部に設定された Fareless Square  の中では無料でこれらの公共交通が利用できるという事です。

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Img_4152 MAX は連接車体のLRT ( Light Rail Transit )で、車輪と車輪の間の部分は歩道と同じ高さになっています。段差が無いので、車椅子の人や足腰の弱い人も簡単に乗り込む事ができます。車内には自転車置き場も設置されています。自転車積載も追加料金無しで利用できるそうです。

 車輪のある部分にも座席が設置されており、こちらはちょっと大きな段差があります。

Img_3960Img_3965 フリーマーケット会場付近を行く MAX を撮影しました。日本の鉄道とは逆で複線区間では右側通行です。一部区間は道路の一方通行に合わせて線路も分かれています。

Img_4158 Portland Streetcar の線路と、MAXの線路が平面交叉する場所がありました。お互い交通信号で制御されていますから、交差点での衝突‥なーんて心配はありません。

MAXの路線は郊外に延伸され、Blue, Red, Yellow Line が運行されています。Red Line はポートランド国際空港まで運行されています。

 ポートランドのこの交通システムは、世界的に見ても先進的な事例で、各国が参考にしています。ただ、オレゴン州のへき地の公共交通の事情はこれまでお伝えしてきた通り、全く無いと言って過言では無い状況なのです。

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2009年5月13日 (水)

オレゴン健康科学大学訪問記2008 (18) ポートランド市街地を歩く その2

 Willamette 川を離れて、古い市街地の方へ向かいます。このあたり、週末はフリーマーケットが開かれていて賑わっています。(5年前にも訪れました。)

Img_3966 少し西に行くとチャイナタウンの入口に到着しました。少しさびれた感じです。治安の良いポートランドですが、このあたりは夜に一人で歩くのは避けた方が良さそうです。

Img_4150 市街地の所々にはこんな風に赤レンガの建物も残っています。壁面に描かれたバーの風景が良い味を出しています。

Img_3967 一方で最近美しく整備された様子が伺える地区もあります。一方通行の道路の中央には線路が敷設され、線路敷の部分も平滑に整備されています。しかしこの区間では路面電車が走っている姿を見ませんでした。

 珍しく、SUBARU B9 TRIBECA が停まっていたので、撮影してみました。ここは SW 5th と Washington street 交差点。標識が完備されているので、すぐに現在地がわかります。   

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 OHSU家庭医療学教室の前チェアマンである Robert Taylor 先生のご自宅から撮影したポートランドの町です。(北西方向) あいにくの天気で遠方は雲の中です。ビルの間に、公園や、古い建物も残っているのが見えます。

 

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2009年5月 6日 (水)

オレゴン健康科学大学訪問記2008 (17) ポートランド市街地を歩く その1

 医療関係のお話は前回でだいたい書きつくしましたので、これからの記事では町や風景を紹介していきます。

 オレゴン州ポートランドは、Willamette 川のほとりに開けた都市です。市街地は川の両岸に広がっており、川には新旧いくつもの橋がかけられています。

Img_3948 Marroitt ホテルを起点に散歩にでかけました。車道を渡ると、川沿いの園地に出ます。芝生では無数の鳥たちが何やらついばんでいます。洒落た店舗が入ってる建物の向こうには、上下二重構造になっている高速道路の橋が見えます。

 遊歩道に沿って市の中心方向(北)へ向かいます。ジョギングを楽しむ人がたくさん。自転車で走っている人も目立ちます。赤ちゃんを乗せたベビーカーを押しながら走っているお母さんの姿も時々見かけます。(~_~;)

Img_3954 ちょっと古そうな橋にさしかかりました。中心部分が昇降式になっています。大型の船舶が通るときは、道路を通行止めにして橋を上げるのでしょう。橋の車道部分は金属でできていて、舗装されていません。橋の下を通る時に上を見上げると、真上を通る車が網目状の路面部分から透けて見え、結構な迫力です。こういう構造の橋は日本では見たことがありません。

 橋の中央には小屋のような物が設置されており、アメリカ国旗が掲げられています。そういえばリーズポートへ向かう途中に見た Florence の鉄道橋にもトラスの上に小屋が作られていました。

Img_3955 公園から川とは反対側を見ると、整然と碁盤目状に作られた町並みが見えます。1本奥の通りには LRT の MAX が走っています。

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2009年4月29日 (水)

オレゴン健康科学大学訪問記2008 (16) スカプースのクリニック

2008年12月10日(水)

 OHSU 家庭医療学教室では、サウスウォーターフロントの外来の他に、GABRIEL PARK、RICHMOND、SCAPPOOSE と3ヶ所のクリニックを開設しています。その中の一つ、FAMILY MEDICINE AT GABRIEL PARK は、前回2003年に訪問しています。(午前編午後編) 今回の訪問では、FAMILY MEDICIEN AT SCAPPOOSE (スカプース) を訪問する機会がありました。

 スカプースはポートランドの北北西にあり、コロンビア川の下流側になります。Ben は、「そんなに遠く無い」、と言っていましたが、到着まで40分程かかりました。地図で調べると約20マイル離れています。東京駅から大宮までよりちょっと遠いぐらいです。

Img_4163Img_4166 このあたりはポートランドへ通勤する人のベッドタウンとして、人口が増加している地区だそうです。受診者も順調に増加しており、施設が手狭になってきた事から、現在2度目の拡張工事の真っ最中です。到着したのは午後5時10分ごろでしたが、すっかり日も暮れてしまいました。診療は午前8時から午後8時までです。

Img_4165 開いている診察室を覗いてみます。ここも電子カルテになっています。宙ぶらりんのキーボードで入力するのは疲れそうな気がしますが、やっぱりデスクはありません。壁には血圧計、眼底鏡などが設置されており、引出し式の診察台のデザインも同じです。どこに行っても診察室の設備は殆ど標準化されているように見えます。

Img_4168 壁に掲示された大きなボードが目に留まりしました。ここには、OHSU 家庭医療学教室が推奨する健康維持のための事項が掲示されています。ピックアップしてみると、

●予防接種
破傷風 小児期 10年毎
インフルエンザ 65才以上男女 毎年
肺炎球菌 65才以上 10年毎 (※日本では肺炎球菌ワクチンの再接種は禁止されていて1回しか接種できません。)
クラミジア 25才未満女性 毎年

●心疾患予防
血圧 全世代男女 2年毎
コレステロール 男性は35才以上・女性は45才以上(ハイリスク群はもっと早期に) 5年毎。

 などなど。このようにかなり明確な指針が示されているのには感心させられます。

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2009年4月22日 (水)

オレゴン健康科学大学訪問記2008 (15) ウォーターフロントの新外来棟 その2

2008年12月10日(水)

 サウスウォーターフロント地区は都市開発の真っ最中。あちこちで新しい建物が建築されています。近くのビルの一階に入っている日本料理店で昼食を摂ります。国外で日本料理店に行ったのは実は初めて。寿司を中心としたお店ですが、経営者は韓国人のようです。海苔巻きの具に辛いソースが使われたりして、和食としてはちょっと微妙な所でした。

Img_4137Img_4138 さて、いよいよ新外来棟 OHSU Center for Health & Healing へ向かいます。玄関から入ると中はまるでホテルのロビーのよう。 この建物で提供されているサービスは多岐にわたります。 医療サービスをホームページの記載から拾うと、救急外科、骨密度計測、心臓内科、美容外科、皮膚外科、皮膚科、消化器科、家庭医療、不妊治療科、総合内科、総合外科、画像診断、検査科、神経科、脳神経外科、悪性腫瘍科、眼科、整形外科、耳鼻咽喉科、ペインクリニック、薬局、リハビリテーション、形成外科、脊椎外科、泌尿器科となっています。それだけに留まらず、 Wellness サービスとして、建物の1、2階には、プール、エアロビクス、ヨガ、スパ、健康料理教室まで…。うーん。ちょっと複雑な気分です。

Img_4140 エレベータに乗って9階へ。ここが Emma Jones Hall に代わる新しい Family Medicine の外来です。待合ロビーからは、ダウンタウンのビル群や Willamette 川の流れを望む事ができます。

Img_4142 OHSU 研修医の山下大輔ドクターと合流。(彼は地域医療振興協会とは無関係。)どうぞと案内された先はカンファレンス室。昼休みを利用して、困難な症例などのプレゼンテーションが行われています。ネイティブによる容赦の無いスピードの会話には残念ながら全くついていけません。断片的な単語を拾うのがやっと。しかし山下先生は司会進行役で、カンファレンスをリードしています。すごいなあ。実は日本の医学部を卒業したものの高校まではアメリカに住んでいたそうで、完全なバイリンガルなのだそうです。OHSU を受診する日本人の患者さんからも頼りにされる存在になっているそうです。

Img_4144 次に外来診察室を見学させていただきました。真新しく清潔な診察室。大きな窓からは外の風景を楽しむ事もできます。基本的な装備は他のクリニックと変わっていませんが、さすがに Emma Jones Hall の頃と比べたら部屋が広くてレイアウトにも余裕があります。

Img_4145 壁からモニターとキーボードがアームを介して設置されています。電子カルテシステムです。書類書き用のデスクは無く、全てキーボードで行うようです。

 以前は診察室ではメモ書きしておいて、診察後に別室に待機している専門の記録者に電話して口述した内容をタイプしてもらい、出来上がった物に署名するという形でした。(手書きの文書は公式な物と見なされないため。)

 かつての寄宿舎を改装して使っていた Emma Jones Hall は手狭で効率的とは言えない物でしたが、暖かな雰囲気もあり私は結構気に入っていました。例えるならば、お気に入りの古びた食堂が、新装開店してちょっと気取ったレストランに変わってしまった。そんな寂しさも少し感じました。(~_~;)

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2009年4月15日 (水)

オレゴン健康科学大学訪問記2008 (14) ウォーターフロントの新外来棟 その1

2008年12月10日(水)

Img_4107 Img_4108  地域医療振興協会では、シニアレジデントのオレゴン健康科学大学への短期留学プログラムを行っています。会議の後は、大学構内を回り、レジデントの住宅を見せていただきました。急斜面ばかりの Marquam Hill ゆえ、住宅も傾斜地にへばりつくように建てられています。周囲は雑木林になっており、ちょっと薄暗い感じです。しかし、室内に入ると部屋はかなり大きく、広々としたダブルベッドがしつらえてあり、まずまず快適そうに見えます。ちなみにこれらの住宅は大学の所有では無く、それぞれオーナーが居て、賃貸しているのだそうです。

 さて、いよいよ新外来棟方面に向かいます。手狭となった Marquam Hill を脱出して、新しい外来棟は Willamette 川の辺、South Waterfront 地区に建設されました。市街地との間の公共交通手段として路面電車 Street Car が延伸されました。では本学との間はどうやって行き来しているのでしょうか。

 このリンクに構内図があります。OHSU Hospital の中を突っ切っていくと、渡り廊下で、新しくできた Kohler Pavillion と繋がっています。渡り廊下から右手遠方に Sky Bridge が見えます。 Bridgeの先、かつて South Hospital と呼ばれていた病院は、Veterans Affairs Medical Center と名前を変えています。Kohler Pavillion には OSHU の歴史などがパネルで展示されていました。Pavillion の中にはロープウェイ Cable Car の駅が作られています。このロープウェイは TRAM と名付けられています。2006年12月(一般向けには2007年1月)から運行を開始しました。イギリス英語で tram とは路面電車の事ですが、ここポートランドでは Cable Car →TRAM  、tram → street car 、Light Rail Transit → MAX という呼び分けになります。

Img_4121 TRAM の運賃は往復のみで4USD。券売機は Waterfront 側にのみ設置されています。大学職員や学生はIDカードを見せれば無料で乗る事ができます。OHSUに診療予約のある患者や病院の見舞いの人は、紹介元の医療機関や薬局などでチケットをもらう事ができる事になっています。運転時間は、平日5:30-21:30、土曜 9:00-17:00、日曜 運休 となっています。

 まだ真新しい TRAM に乗って、South Waterfront を目指します。眼下に広がる市街地や Willamette川の眺めが素晴らしいです。しかし沿線の住宅からは家の中を覗きこまれるという苦情も寄せられているそうです。

Img_4125 次第に新外来棟 OHSU Center for Health & Healing が近づいてきました。高速道路をまたいだ後、TRAMは急降下して Waterfront の駅に接近します。

Img_4126 駅を降りると目の前に立派な新外来棟がそびえ立っています。家庭医療学の外来部門はこの12階建ての建物の9階に入っているそうです。

Img_4129  Marquam Hill を見上げてため息。外来と病院の間をロープウェイで結ぶとは…。なんと大胆なプロジェクトでしょう。

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2009年4月 8日 (水)

オレゴン健康科学大学訪問記2008 (13) クリニック機能を失った Emma Jones Hall

2008年12月10日(水)

 長い自動車旅行を終えて Portland に戻ってきた翌日ですが、今朝のスタートは7時30分のカンファレンスです。7時過ぎにホテルを出発しますが、外はまだ真っ暗です。

Img_4105 カンファレンスの会場は、オレゴン健康科学大学 OHSU 家庭医療学教室の本拠地 Emma Jones Hole の会議室です。Emma Jones Hall については、2003年の訪問記事 「オレゴン健康科学大学(古い)訪問記03 Emma Jones Hallの概要1」「オレゴン健康科学大学(古い)訪問記04 Emma Jones Hallの概要2」の中で詳しく紹介していますので、そちらもご覧いただければと思います。

Img_4169 しかし5年前と大きく違っている事があります。家庭医療学の外来棟として利用されていた Emma Jones Hall でしたが、OHSU の新外来棟の完成とともに、外来部門はそちらに移転し、この建物の中にはオフィスと会議室だけが残されました。かつて受け付けとして利用されていた部屋も、ご覧の通りがらんとして、寂しさを感じました。建物の入口に掲げられた看板も、「 Emma Jones Hall / FAMILY HEALTH CENTER 」 から 「 OHSU FAMILY MEDICINE AT MARQUAM HILL / EMMA JONES HALL 」  に変わっていました。もちろん臨床研修の場も新外来棟に写されましたが、外来インタビューなどのトレーニングは現在も Emma Jones Hall で行われているそうです。

Img_4102  このカンファレンスルームで、5年前に英語でプレゼンテーションをおこなった時の事を思い出しました。前回も水曜日でしたが、今回も水曜日。Reseach day として、朝から何本ものカンファレンスが続けておこなわれている曜日です。

 テレビ会議システムで、昨日訪問した Klamth Falls の Dr.Ross も参加しています。John Saultz 主任教授も到着して、カンファレンスが始まりました。前半は、乳癌の診断における MRI の応用についての発表です。家庭医療の分野では画像診断などはかなり制限されていますので、MRI に関してのかなり専門的な話が出てくるのは、少し意外な気がしました。

 後半は山田常務理事による地域医療振興協会に関するプレゼンテーション。協会の沿革や目的、日本で起きている病院医療崩壊の状況、OHSU 家庭医療学教室との関係、将来展望などについて説明がありました。

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 カンファレンスの後は、会議室に移動。5年前に学生向けの講義を聴講したりした場所です。あの時は、睡魔と戦うために、この窓から外を眺めていました。眼下では建築工事が行われ、眺めは殺風景になっていました。Mt. Hood も今日は雲の中です。

 ここで、Scott Fields 副主任教授と、Roger Garvin 研修管理者との懇談が行われました。研修医相互派遣のこれまでの実績と問題点、今後への提案などについて意見が交わされました。

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2009年4月 1日 (水)

オレゴン健康科学大学訪問記2008 (12) 荒野を行く

2008年12月9日(火)

 時刻は11時少し前。クラマスフォールズ Klamath Falls の Cascade East Family Practice の見学を終えた我々は、ポートランド Portland への帰途につきました。何しろ最短でも280マイル=450kmあります。どのルートを経由しても必ず Cascade 山脈を越える事になり、積雪が心配です。夕暮れ前に峠を越える方が無難でしょう。せっかく Klamath Falls まで来ましたが、市街地に立ち寄ること無く97号線 Dalles CaliforniaHighway で北を目指します。

Img_4087Img_4088 97号線はオレゴン州中部を南北に貫く幹線道路ですが、沿線の人口はあまり多くないので、交通量もそれなりです。Upper Klamath Lake を左手に見ながら、道路は乾燥した荒野を貫いていきます。左手に線路も並走しています。Amtrak のホームページを見てみると、旅客列車としては Coast Starlight 号が1日1往復だけ走っており、Portland - Klamath Falls 間は約7時間30分かかっています。右手の山はなだらかですが、木はあまり生えておらず、土肌が露出しています。

Img_4092 湖の対岸には、Cascade 山脈の山々が姿を見せています。一際目立つピークは、地図で見るとAspen Butte のようです。

Img_4094  Ben が、是非とも Crater Lake を見せてあげたいと言い、途中で左折して62号線 Crater Lake Highway に入りました。幹線からはずれたので交通量も極端に少なくなり、すれ違う車も殆どありません。道路は大平原を真っ直ぐに突き進んでいきます。

 Crater Lake は、巨大なカルデラ湖です。地図で見ると直径は10kmぐらいありそうです。外輪山の標高は7000-8000フィートもあるそうです。季節は12月。車のタイヤはノーマル。チェーン無し。大丈夫でしょうか…。Klamath Agency 、Fort Klamath と小さな集落を抜けると、道は林の中へ。日陰になった路面には早速積雪が現れました。こんな麓から雪が積もっているのでは外輪山に登るのは無理でしょう。Ben は残念がっていましたが、安全第一で引き返す事に決定しました。

Img_4096 97号線まで戻る途中の View Point があったので車を停めます。案内図と照らし合わせると、この写真に写っている山並みの、目立つ二つのピークが外輪山で、その間が全部 Crater Lake のようです。いやあ確かにでかい。

 正午を過ぎました。97号線を更に北上。Klamath Falls 以降大きな町は皆無なので、昼食にもありつけずにいました。Chemult という小さな町に差しかかりました。たいした店が無いので通過…しかかりましたが、地図を見るとこの先は峠の向こう側まで町は無く、下手すると2時間ぐらい食べられないかも。という事で、引き返して昼食を確保する事にしました。ガソリンスタンド併設のコンビニ+サンドイッチショップ Subway があったのでそこに立ち寄る事にしました。念のためここでタイヤチェーンも購入しました。(帰国後に調べると Chemult は Amtrak の Coast Starlight 号の Springfield - Klamthfalls 間約170マイルの唯一の停車駅でした。つまりここより大きな町は途中に無いという事になります。)

Img_4097 Chemult から約8マイル。左手に分岐する 58号線 Willamette Highway へ進みます。どんどん標高が上がり、周囲は雪景色になりますが、幸い路面はほぼドライ。チェーンの出番はありませんでした。峠を越えると、雪は消えてしまい、12月のオレゴン州らしからぬ青空が広がっていました。途中見かけたスキー場も雪が少なくてまだ営業できていない様子。Willamette Highway の名が示す通り、このあたりは Portland 市街を流れる Willamette 川の源流域になります。緑の濃い豊かな山並みです。

 平地に出た所が Springfield。久々の都市です。マクドナルドで小休止。ここから Portland までは110マイル。再び私がハンドルを握ります。オレゴン州北部の I-5 は平坦で真っ直ぐですが、交通量は多く、州都 Salem から先は片側3車線になります。周囲は暗くなり、夕方のラッシュアワーのためどんどん交通量が増え、いよいよ渋滞に巻き込まれました。Ben のナビゲーションでフリーウェイを降り、ポートランド市街地へと進み、無事に Marriott ホテルに帰着する事ができました。皆さん2日間の長距離ドライブお疲れ様でした。

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