オレゴン健康科学大学訪問記2008 (6) Lower Umpqua Hospital と Dunes Family Health Care その3
2008年12月8日(月)
病院の見学を終えて、今度は Dunes Family Health Care のクリニックを見せていただきます。前回も触れたように、このクリニックは我々を案内して下さっている Dr. Law をはじめとして、7名の医師で共同経営されています。建物はE字型になっており、真ん中の部分に患者さんの出入り口や受け付け、待合室が作られています。外側の部分には通用口が作られており、スタッフはそこから出入りする事ができます。
診察室の作りは、5年前に見学した Emma Johns Hall や OHSU Gabriel Park Clinic と同様です。完全に個室になっており、椅子にも内診台にも寝台にもなる診察ベッドや机、血圧計、眼底鏡などがセットされている診察室がたくさん作られています。診察を受ける患者さんは個室から動かないで、医師や看護師などが診察室を回っていくスタイルです。
処置室で面白い物を発見しました。内視鏡です。あれ、Family Medicine では内視鏡は扱えなかったのでは…と思って良く見ると何だか太い割に短いし、電子内視鏡ではなく昔ながらの「覗き」の内視鏡です。これは sigmoid scopy と言って、肛門から挿入して、直腸とS状結腸までの範囲だけを観察するものです。麻酔が不要で、ただ押し込んでいくだけなので特に高度な技術もいらないので、やってもいいようです。あと、今回は超音波診断装置も見かけました。Family Medicine ではお産も扱うので、産婦人科領域だけは超音波検査ができるようです。
大勢での訪問のため、実際の診療の場面などを見ることができなかったのは残念でした。尚、ドクター一人の1日診療する患者数は15-20名。売り上げは患者1名あたり15000円ぐらいだそうです。単純計算で一日30万円の売り上げ。月20日として600万円。年間で7200万円ぐらいとすれば、そんなには儲けは出ないように思えます。病院での勤務などの副収入が無いと厳しいのかも知れません。ちなみに、日本の医療機関では慢性疾患で診察と処方箋発行した場合、1回4000円程度の売り上げとなります。
Dr. Law は、クリニックでの診療に加え、病院での入院診療、救急外来と、かなり日本の地域の医師と似通った業務を多忙にこなしている事がわかり親近感がわきました。彼に地域医療を続けるための秘訣を尋ねた所、地域での生活を楽しむ事、と答えていました。日本でもアメリカでもこの点は同じようです。
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