オレゴン健康科学大学訪問記2008 (10) Cascades East Family Practice
2008年12月9日(火)
Cascades East とは、北米大陸の西端近くを縦走するカスケード山脈の東側にあるという意味でしょう。ここのクリニックは、オレゴン健康科学大学家庭医療学教室の中でも、特にへき地指向の家庭医療医を目指す研修医の養成施設として重要な地位を占めています。ポートランド周辺の大学付属クリニックで研修を受けた研修医の多くが、将来的に都市部での診療を選択しているのに対して、ここ Cascades East で研修を受けた医師の「全て」が、へき地での診療に進んでいます。
我々を出迎えて下さったのは研修医指導の責任者である Dr. Robert Ross。ホームページの写真通り、にこやかで穏やかなドクターです。コロラド州デンバーからロッキー山脈を越える1泊2日のドライブを経て、昨夜遅く Klamth Falls に戻ってきたのだそうですが、疲れた素振りなど見せません。彼もまた、このクリニックでの診療の他に、 Sky Lakes Medical Center での、入院診療、救急医療、分娩など忙しい日々をおくってい るそうです。前回5年前の訪問では、指導医の先生たちは比較的余裕を持って仕事をしているように見受けられたのですが、こうして地方の現場に行ってみると、日常診療の多彩さと多忙さは、日本の地域医療の現場と非常によく似ていると感じられました。
クリニック内を案内していただきました。超広角レンズで撮影したので、室内の様子がわかりやすいと思います。診察室の作りはどこのクリニックもだいたい同じです。引き出し式の診察台、椅子、洗面台、壁に作り付けの眼底鏡と耳鏡、血圧計など。患者さんが先に診察室で待っていて、そこにナースや医師などがやってきて診療を行うスタイルです。診察室は全部で18室あるそうです。画像診断はフィルムレスで、電子カルテシステムが導入されています。家庭医療の他に、HIV診療や小児科などの専門クリニックも開かれています。クリニックでの年間の診療件数は4.1万人ぐらいとの事でした。
このクリニックの職員は23名。うち6名が看護師です。研修医は実に24名もいます。教員は10名で、うち2名はパートタイマー。その他に Community Preceptor と呼ばれる外部指導医が3名いるそうです。写真のような診療所としては異様に広い会議室も、研修医が全員揃うと椅子の数が足りなくなってしまうそうです。この部屋にはテレビ会議システムが備えられており、大学の Emma Johns Hall でのカンファレンスに参加する事ができます。
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