湊病院問題 伊豆新聞7月10日の記事を読む
7月10日の伊豆新聞 下田賀茂紙面に、湊病院関連の記事が掲載されていました。内容は9日に共立湊病院組合議会の臨時会および、同組合議会の病院建設特別委員会が開催された事、およびその内容についてです。
まず、組合議会では新病院の建設予定地である下田南高校跡地を購入するための企業債5億円の措置を盛り込んだ補正予算案を可決したという内容。ちなみにこの5億円ですが、最終的には国からの普通交付税でまかなわれ、地元負担は実質無しとの事です。
特別委員会では、聖勝会の西川理事長が新病院の計画を語ったとの事。面白いと思ったポイントを挙げてみます。
①現在の指定管理者である地域医療振興協会が継続すればこのような形は無かった
協会に対する批判なのかどうかは別として、この発言からは地域医療振興協会が公募に応じない事を前提として、何者かの要請により不本意ながら公募に応じたという経緯がにじみ出てしまったと読み取りました。
②新病院の院長は聖マリアンナ医科大救命救急の教授を招く
調べてみますと、聖マリアンナ医科大学の救急医学教室には教授が二人います。講座代表教授の平康彦教授は、聖マリアンナ医大の卒業生で、胸部外科出身。一方救急センター長である箕輪良行教授は自治医科大学の2期生で、共立湊病院の小田院長の同級生です。これだけみると、同級生同士因縁の対決かと早合点してしまう人もいるかもしれませんが、実は箕輪先生は地域医療振興協会の理事だったりするので話は更に複雑です。
どちらにしても、大学本院の救急部から南伊豆の小病院に来ていただくとは、もったいなくもありがたい話であります。
③一般90床、療養型60床
現在の湊病院は急性期の一般病床150床です。新病院になると急性期病床が減ってしまう事になります。南伊豆のはずれにある現病院でも90床では足りていないようです。下田市街地に移転して急性期入院がさらに増えると思うのですが…。ちなみに下田周辺に他に急性期病床はありません。療養型の病床は結構足りているようですが。
④長期的には大学病院レベルの医療を
大学病院レベルとはどのような物かわかりませんが、地域の病院と大学病院の機能は全く異なります。地域で必要とされるのは高度な専門性ではなく、幅広い領域に対応できる総合性であるというのが、医師不足が叫ばれる今再認識されています。地域医療に対する考え方の違いを感じました。
ある県では地方病院を私立医科大学の分院として再出発させましたが、そこでは神経内科や脳外科の常勤医師が居ないため脳卒中の入院を受け入れる事ができません。小児科の常勤医も非常勤医も居ないため小児の患者は受け入れる事ができません。麻酔科の医師が不在だと急性虫垂炎の緊急手術さえできません。消化器内科の医師が当直している日以外は血を吐いている急患を受ける事ができません。総合医を中心とした体制に比べて、各科の専門医を揃えるミニ大学病院的体制では、同じ医療機能を発揮するのに何倍もの医師数が必要ですが、頭数を揃えられないとこういう状況に陥ります。
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コメント
一般病床90・・・
こんなことが許されるのでしょうか?
我々、下田市民は天城を越えて順天堂までいかなきゃいけなくなるのでしょうか・・・?
看護師不足が予想されるなら、たとえ15対1でも一般病床を確保すべきだと思うのですが。。。
投稿: | 2009年7月12日 (日) 23時19分
きのじゅんです。
公募条件を確認してみたら、http://www10.ocn.ne.jp/~minatohp/data/shiteikannrisya/shiteijouken.pdf
一般150、感染4となっていました。あれ?公募条件に合致していませんねえ。
下田市民の方の心配は当然の事です。急性期90で足りるはずがありません。しかしそんな計画を行政サイドが認めてしまったとしたら、結局は地域住民がそれを選択したという事になります。
投稿: きのじゅん | 2009年7月13日 (月) 07時31分
この委員会設置は白川市長と高校時代の同級生である武原光志(光武病院光武新人理事長の従業員)が厚生省に行って長氏を連れてきたという噂である。(実際に二人で厚生省には行っている)。
投稿: | 2009年8月 3日 (月) 15時04分