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2009年10月16日 (金)

湊病院問題 新病院建設設計施工プロポーザル競技の募集開始

 10月13日に共立湊病院組合ホームページに新病院建設設計施工プロポーザル競技に関する情報がアップされました。また、10月14日の伊豆新聞にも、募集開始を伝える記事が掲載されました。参加表明の締め切りは11月6日、プロポーザル提案書(変な言葉だなあ) の締め切りは12月11日だそうです。延床面積 約 9000㎡ 、総事業費19億円以内(税込み)、うち建物建築本体工事、機械設備工事、電気設備工事、基礎工事で約17 億円程度を想定で、残り約2億円が外構一式と駐車場(300 台程度)など、と言う事になるようです。

 計算すると、1床あたり58.4㎡となりますが、改革推進委員会の議論の中で1床あたり70㎡という議論が出ていましたので、随分とコンパクトになるのでしょうか。

 募集文書の中に新病院基本構想というのがあります。気になった所を部分的に拾ってみます。

・標榜科:内科、外科、小児科、整形外科、耳鼻科、眼科、皮膚科、形成外科

⇒コメントで南伊豆住民です さんが指摘されているように、調整中と伝えられていた産婦人科がありません。後から作るのは大変なので (外来だけでは無く、分娩室、新生児室、手術室のスペック強化など付帯設備がかなり多い) 事実上断念したのでしょうか。麻酔科が無い事から、常勤の麻酔科医は不在の予定とわかります。

・透析センターの設置。(50床程度)

⇒おや、透析センターという話しは今までありましたっけ。現在の下田市内の透析施設は①横山クリニックさん18床、②伊豆南クリニックさん12床、③伊豆下田病院さん 20床 の3施設ではないかと思います。 合計で5040床。ここに新しく50床…巨大な透析センターですね。同じ50床の長野赤十字病院のホームページを見ると、スタッフは腎臓内科医師3名、看護師19名、臨床工学技士12名などとなっています。人手も結構必要そうですね。フルに回転させることができれば収益には大きく貢献しそうですが、反面、地域の医療費の膨張が懸念されます。

・手術室の整備。(大小2室、10万クラスを想定)

10万クラスってなんでしょうか?? わかりません。
k@下田市民さんのコメントでご指摘の通り、10万クラスはクリーンルームの規格でした。(このページがわかりやすい )不勉強ですみません。10万クラスという事は、一般手術室としては最低限に留まるようで、人工関節などの手術をする整形外科のドクターからは文句が出そうですね。ただ、クリーンルームについては、石岡第一病院の夏井睦先生の新しい創傷治療のホームページ内で、その必要性について疑問があるとの意見もあり、これを参考に無駄な設備投資をしないという結論に至った…わけはないか。

・服薬指導、薬歴管理の充実 ・休日夜間診療に対応するため、院内処方を採用。(院外も併用)

⇒時代に逆行して院内処方に戻るとの事です。今、日本の多くの病院は院外処方で、かつ休日夜間診療に対応していますが…。下田市内の調剤薬局への影響も少なくないのでは無いでしょうか。

・通常外来、夜間救急外来、それぞれに対応する受け渡し窓口の設置

⇒院内薬局に窓口を2つ作るのは無駄では無いですか。こういうのを一つに纏めないと安く作れないと思うのですが…。それとも1ヶ所で2つに対応するという意味?

・電子カルテシステムの導入。(CPルームの設置)

⇒電子カルテの導入費用(普通初期導入だけで数億円)は17億円には含まれず、部屋の確保や配線などの分だけが含まれるようです。CPルームって何だろう。コンピュータールーム?

・一次救急・二次救急医療機関としての機能充実

⇒さんざん話題に上がっていた医師会による一次救急センターを併設する話は明確にされていません。病院が一次救急も担うのでしょうか。

・病室の50%程度を個室や2人室とし、多床室については最大4人とする。

⇒最大4人部屋というのはあたりまえとして、なんと定員の半分が差額ベッドになるのでしょうか?収益には貢献しそうですが。

・個室にはトイレ、洗面所、浴室(UB)を設置する。

⇒風呂付きの個室の差額がいくらに設定されるのか。そして建坪面積と建設費用は足りるのか…。

・転倒しても骨折 しにくい床材の採用。

⇒これもコスト次第ですよね。

・外来に感染性患者用待合室の設置を検討。
⇒これもコストと面積次第です。何かと兼用にするのが現実的かと。

・外来者専用レストランの設置。

⇒現在の湊病院にはありません。コストを削減しようと思ったら止めた方が良いのでは。

・休日、夜間救急医療体制への積極的参加。

⇒どうせ他に急性期病院は無いので逃げられません(~_~;)。

・間仕切りにより、会議室にも使用可能なコミュニティホール(収容100人規模)の設置。
⇒これもコストと面積次第ですよね。災害時に活用できる可能性もありますが。

・図書室の設置。(地域住民、連携医、地域医療スタッフ、職員、学生等が利用できるもの)

⇒病院機能評価のためには図書室が必須のようです。

・将来的には、新病院を核とした福祉・介護施設の集約連携による福祉タウン構想なども検討。

⇒今回の建設プロポーザルと関係なさそうです。湊病院の跡地利用の事を視野に入れているのでしょう。

・保育施設の整備を検討。

⇒ナース確保のためには是非あった方が良いです。

・現病院と同様に、病床数150床を確保

⇒結局、療養型はやめて、急性期150床という事になったようです。通常は50床×3病棟という事になると思いますが。

・感染症病床4床は2人室で確保。

⇒えっ、個室じゃない感染症病床って?? どうやって使うのでしょうか。

・3階程度を想定。

⇒透析センターやコミュニティーホールなども含めて3階建てで収まるか設計の見せ所でしょうか。建設費の面ではこれ以上の高層化は難しいのでしょうが。

・外来患者数300~350名程度の患者に対応。(現行250~300名)

⇒利便性が増し、医師数が増える割りには控えめな需要予測と感じます。

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コメント

先生、おかえりなさい。
 「手術室10万クラス」で検索してみたところ手術室の清浄度のようですね、
単位容積あたりの浮遊塵の濃度の指標であり、10万というのは一般外科手術に要求される濃度で、腰椎や頚椎などの整形外科手術には1万以下が推奨されているようです、院内レストランなどに費用をかけずに、基本となる医療設備を充実させて欲しいと思います。
 また、50床もの透析設備も寝耳に水で、この地域には透析を必要としている方がそんなに多いのでしょうか、診察に行ったらシャントをつけられそうで怖い怖い。
新病院基本構想を読んだ素人の感想です。

投稿: k@下田市民 | 2009年10月16日 (金) 16時34分

k@下田市民さん ただいまです。おかえりなさいなんて言ってもらえるなんて嬉しいですね。
 さて、ご指摘ありがとうございます。お恥ずかしいー。記事の方直しておきました。10万クラス = 「手術室に金はかけないぞ」という意味なんですね。

投稿: きのじゅん | 2009年10月16日 (金) 19時02分

事後承諾になりますが、k@下田市民さんのコメントの中で、「シャンク」→「シャント」を修正させていただきました。
さて、人工透析についてhttp://www.medsafe.net/contents/special/25akiba.html で東京女子医大の秋葉教授の記事が紹介されています。日本の医療費30兆円のうちの1兆円が透析に費やされている事。一人あたりの医療費が月40万円、十数人分の医療費にあたる事。かといって短絡的に医療費抑制の対象としてはならない事など、示唆に富む文章です。
さて、50床の透析ベッドを週3回透析の1日2サイクルでフルに活用すると、200名の透析患者さんを受け入れる事ができます。単純計算では、40万円×200名×12ヶ月で、年間9億6000万円の医療費が(新たに)生じる事になります。意味のある計算かわかりませんが、下田と南伊豆の人口で割ると、2.5万円/人/年ぐらい医療費が膨張する懸念があります。
 差額ベッドについて分析を追加します。大部屋は4人床となっていますから、6室×4床で24床/病棟と予想します。3つ病棟ができるとして、72床が大部屋、残りの78床が有料室。4床が2人×2部屋の感染症室となるのでしょうか。仮に有料室の利用料金を計算が簡単になるように10000円/日とすると、満床になれば月2340万円の増収。年間では2億8千万円[10月27日訂正…計算間違ってました]の増収となります。(あくまでも仮想の話です。)

投稿: きのじゅん | 2009年10月16日 (金) 23時36分

きのじゅん先生お帰りなさい!海外はいかがでしたか?日本(伊豆地区?)は相変わらず病院問題で賑わって?おります。病院が何時出来るのかは巷の話題ですが、一歩違う面から見てみますと・・・。
先日、家の年寄りの薬をもらいにいつもの薬局に処方箋を持って行きました。そこで、今回の病院問題を話すと・・・薬局関係の皆さんは困っているみたいですね?!そこの店主(薬剤師さん)は院内処方になると患者さんの飲んでいる薬のチェックが大変だと言っていました。患者さんは一つの病院だけでなく複数かかっている人が多くその薬の飲み合わせを調べるだけでも大変だ!と嘆いておりました。そして今その薬局で共立湊病院からの処方箋がその薬局の1/3を締めているそうです。その処方箋がすべて院内に変わると・・・。
そして、こんな事も言っていました。
田舎なので薬剤師の確保も大変で且つへたな給料だと来ないのではないか?
院内で薬を出すとしたら当番や夜勤の事を考えると10名位は確保しないと出来ないのでは?またそれに費やす人件費がかなりの金額になり経営が難しくなるのでは??
何のメリットか有って院内にするのか分からないと行っておりました。
病院が一つ出来るだけで幾つかの業種で一喜一憂するのですね。
ちなみにその薬局さんも処方箋の枚数が減ったら店を閉めてどこかに勤めようかな?とも言っておりました

投稿: 一市民 | 2009年10月17日 (土) 00時19分

 一市民さん、コメントありがとうございます。まだ時差ぼけが抜けません。
 院内処方は公募時点から希望されていたようです。確か経営上の理由となっていたと思います。
 ただ、院内の在庫薬剤の数が増え、管理が大変になりますし、使われないまま有効期限を迎えて廃棄される薬が増えたり、2年毎の薬価改訂時に在庫薬剤の価値が目減りするなど、デメリットも多いと思います。
 ご指摘の通り院内処方の場合薬剤師の確保は大変だと思います。調剤薬局が増えた事で薬剤師の獲得競争が激しく、給与格差(一般的に病院よりも調剤薬局の方が高給)もあります。更に2006年からの薬学部6年制導入で、2010年と11年は新人薬剤師が激減。新病院開設予定とされる2012年春も全国で新卒の取り合いになると予想されます。
 一般的には夜間の調剤も薬剤師が行っているのは大病院に限られると思います。(薬剤師が不在の場合、調剤の責任は医師が負います。)
 が、午前中の外来調剤だけでも4-5人が、かかりっきりになってしまうでしょうから、入院調剤と合わせたらやっぱりそれなりの人数が必要でしょうね。まあ、かつての国立湊病院は院内調剤なのに薬剤師定員2名でしたが。(ρ_;)

投稿: きのじゅん | 2009年10月18日 (日) 05時41分

 透析センター設置の希望については、選定結果の発表の時の業務報告書に記載されていたのを確認しました。その後話題に出ていなかったと思いますが。

投稿: きのじゅん | 2009年10月18日 (日) 05時50分

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