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2009年12月 6日 (日)

湊病院問題 町立三春病院の経営状況

 またまた親切などなたかが、雑誌「新医療」2009年4月号の記事を紹介して下さいました。

 共立湊病院改革推進委員、指定管理者選定委員、新病院建設プロポーザル競技委員を歴任されている、福島県三春町の遠藤委員さんの関係する町立三春病院の指定管理者をされている福島県郡山市の星総合病院理事長 星北斗 氏の書かれた記事です。タイトルは「民間病院による小規模町立病院指定管理者への挑戦」となっています。

 その記事の内容から参考になる点を拾い上げてみます。(要約とはなっていませんのでご了承下さい。)

●病院の概要

 三春町の人口は約1万9千人。東北新幹線郡山駅から直線で約11km、車で30分程度。診療科は内科、小児科、外科、整形外科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、皮膚科、泌尿器科、心療内科、精神科、リハビリテーション科。職員数は約90名。(医療受付業務と給食等の委託を除く)。常勤医師4名、薬剤師2名、看護職58名、PT8、OT3、ST2などとなっている。病床数は86床、うち一般病棟46、回復期リハ病棟40。

→→東海道新幹線三島駅から直線で約11kmというと、伊豆長岡あたりになります。常勤医師よりもリハビリ関係(理学療法士PT、作業療法士OT、言語療法士ST)の方が圧倒的に多く配置されている事から、リハビリテーションを主体とした病院である事が読み取れます。救急病院としては1次に留まるようです。

●町立化の経緯

 2005年3月、三春病院は県立病院としては廃止が適当との答申が県立病院改革審議会でなされる。2005年12月、県から町へ現病院の無償譲渡、ならびに建て替え費用として約19億円の支援で合意。2006年3月、近隣の8法人を対象に指定管理者の公募を開始した結果、2法人のみが応募し、ヒアリング等で星総合病院が指定管理者となった。

→→新病院建設にあたり町には経済的な負担は無かったわけですね。

●応募時の提案内容

 星総合病院の機能を最大に活用。薬品、物品の購入や様々な委託、契約などを徹底的に吟味。小規模病院のデメリットを最小限に。星総合病院との間に小型バスによる定期便を導入。医療機器の相互利用や患者の移送、検体の搬送、様々な物品や書類の配送を行う。

→→星総合病院との連携やスケールメリットを活かしたコスト削減策が練られているのがわかります。また実質的な分院としての機能分担も図られています。

●病院の運営と新病院建設

 病院事業収入はすべて指定管理者の収入となり、全ての経営責任を負う。町は直接的な経済的支援を行わない。新病院建設に要した費用等についてはその一部を協議の上で指定管理者が町に支払う事。町としては今後の病院の修繕や建て替えの準備をするために一定の資金を積み立てておきたいという思いである。多くの対象病院が応募しなかった理由もここにあるだろう。

→→県からの支援で、町は建設費を負担せずに済んだのですが、にもかかわらず建設費の一部を指定管理者が負担するという条件が、公募に二の足を踏ませたようですね。

●経営状況と今後の課題

 経営的に見れば相当に厳しいのが現実。07年度は約8000万円のの損失を計上。しかし新病院移転後は徐々に患者数が増加。08年12月に初の単月黒字にこぎ着けた。

→→これだけ徹底した効率化を行っても、経営はかなり厳しいとの事です。大変です。

 さて、翻って下田新病院について考察してみましょう。聖勝会さんは現在2診療所を運営しているのみであり、三春のように大きな親病院を持っているわけではありません。従って、星総合病院+三春病院のような手法を使った効率化は不可能です。三春病院の常勤医師数は僅かに4名。86床の病院としては相当に少ない人数です。常勤医は内科が中心と思われますが、以前にホームページで調べた様子だと、若手の医師を配置して人件費を抑制しているものと推測します。

 こういった徹底したコスト削減にもかかわらず、初年度8000万円の赤字であったとの事。もしこれをそのまま下田新病院に当てはめると、下田は減価償却費は全額負担との事ですから、軽く2億円以上の赤字を計上してもおかしくありません。もちろん星総合病院さんと、聖勝会さんの事業規模には大きな差がありますし、クリニック開業からもまだ6年程度のようですから、果たしてこれだけの財務負担が生じたときに持ちこたえる事ができるのか、という事になります。公募時の条件等では10年の契約期間内に指定管理者が経営破たんする事を全く想定していないようです。もし万が一そうなった時にはどうするのでしょうか。現実的な解決としては、税金投入あるいは、廃院ないしは休止という事になるのでしょうか。

 選定委員会の業務報告書 の4ページを読みますと、「指定期間内に黒字転換しない財政計画になっていますが、医師配置提案を見ると専門医がほとんどなので、入院・外来単価は大幅に上がることが見込まれます。それを反映し健全運営できる実行予算を作成し再提出していただく必要があります。」と書かれており、当初の提案では10年間ずっと赤字から脱却できない計画となっていたようです。(そんな計画と知りながら何故選定したのか、理解に苦しみますが…。)

 このような財務面についての不安は、河津町長さんらも指摘しておられましたが、その後も明らかにされた情報はありません。実際にはどうなっているのでしょうね。不安を解消するためには、一部事務組合および聖勝会さんが、財務計画についてきちんと公表する必要があるでしょうね。

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