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2009年12月23日 (水)

湊病院問題 聖勝会のプレスリリースを読んで

 平成21年12月18日、聖勝会さんが共立湊病院指定管理者指定の辞退を発表した記者会見で配布された、プレスリリース用資料のコピーを入手しました。(送って下さった親切な方ありがとうございます。)プレスに配布したぐらいなので、丸ごと公開可能な情報かとも思いますが、一般公開されていないはずの組合の諸会議の議事録のごく部分的な抜粋が多く含まれており、このまま私のような一個人が公開していいものか微妙な所がありますので、自分なりにかみ砕いて紹介し、感想を述べる事にしました。

 聖勝会さんの辞退理由は、「本件指定反対勢力」による妨害行動 にあるとの事です。その具体的な内容としては以下の点を挙げています。

①選定結果発表の前後から一部事務組合を構成する一部首長より、公募の経緯について「八百長くさい」「談合だ」などとの発言が相次いだ。

②一部の首長が、独自に病院を作る意志を表明した。これは組合設立の趣旨を没却する言動である。

③-1 医療機器関連の民間業者7社に対し、新病院に関わる医療機器等に関する見積りの算定を依頼した際、通常2週間程度で算定されるものが、数ヶ月経過しても一社も応じていない。

③-2 薬事関連企業に対し、薬剤の供給協力の依頼をしたところ、一社から特段の合理的理由もなく「協力できない」との不可解な回答がなされた。

 そして、このような状況下では、新病院において満足な医療行為を行うことは、到底不可能と考えざるを得ない。指定管理者たる地位に固執するならば、伊豆地方南部の皆様、一部事務組合、地域医療貢献を決意する医師たちに多大なご迷惑をおかけする事は必至、であるとの事です。

 参考資料として、平成21年7月7日の組合運営会議、7月27日の組合運営会議、8月5日の組合運営会議、8月10日の組合運営会議、8月12日の組合議会議員全員協議会、8月24日の組合運営会議の議事録から、問題とされる部分が抜粋されて配布されています。

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 ここから先は私見となります。

 この資料の7月7日の議事録に「下田町長」という人が出てくるのですが、この方はどこのどなたかわかりません。(^^;) 他の資料では下田市長は「石井市長」となっていますし、西伊豆「藤井町長」、松崎「深澤町長」、東伊豆「太田町長」、河津「櫻井町長」ですから、下田さんという人はおりません。やっぱり下田市長さんの事でしょうか。(^^;)

 8月24日の議事録の中で、「全部ひとつひとつ婦人がある」(*´Д`*) という行がありますが、婦人ではなく不審の間違いと推測します。慌てて作りましたかねえ。

 抜粋はかなり部分的ですし、組合議会の議事録はネット上に公開されている物では無いので、どのような文脈の中でのやりとりかわかりかねる部分があります。その点、私の解釈が正しいのかどうか、やや不確かな点はご容赦下さい。

 理由①に関して、資料の中で公募について疑問を呈する発言をされているのは、河津町長、西伊豆町長のお二人です。しかし、http://kinojun.cocolog-nifty.com/blog/2009/08/813-cff5.html でもお伝えした通り、構成6市町長のうち、西伊豆、松崎、東伊豆、河津の4町長が異論を唱えている状況でした。新聞報道のマイルドさとは裏腹に、「八百長」「出来レース」「いやがらせ」「談合」「私たちは支援しません」「僕らは抜けます」「公募に矛盾な点がある」など、このブログ以上になかなか刺激的なやりとりが展開されていた事が伺えます。こういう一部事務組合が崩壊し兼ねない状況にも関わらず、指定管理者決定の議案が組合議会に提出され、組合議員の賛成多数で可決されていったわけですね。きちんと合意を得てから指定すれば良かったのに、今になっても悔やまれる所です。

 また議事録の中で問題にされていたのが、選定委員会で指定の前提条件とされていた2つの事項「地元医師会の全面協力」と「聖マリアンナ医大の強力な支援」でした。

 まず「地元医師会の全面的協力」について。8月5日の運営協議会の時点で、既に賀茂医師会で事前に同意が得られていない事が判明していたようです。医師会の一部から反対する住民運動を起こす動きがあった事まで書かれていました。「医師会の総意を確かめて下さい」、「お医者さんの多数決で、医師会員の過半数で決めましたということでいけばいい」と、医師会の協力姿勢を具体的に確認するよう求める発言が見られます。しかし、経緯を纏めた表でも示した通り、賀茂医師会は理事会レベルでも異論続出の状況で、とても総意を確認できる状況ではありませんでした。なお、8月12日の議事録の中で、組合議長さんが、「しかし地域医療振興協会で医師会の同意を求めていないわけですよ。現在、協会に求めていないのに、なぜ新しい指定管理者に同意を求めるのかを」と不思議な理屈を述べておられます。(^^;)

 「聖マリアンナ医大の強力な支援」の確認ついて、8月10日の運営会議で下田市長さんが「例えば指定管理者を決めてからでなければ医師の派遣ということをうかつに公のところで口に出せませんよということが。」と述べた事が記載されていました。ところが8月17日に指定管理者を決定した後、9月2日に聖マリアンナ医大理事長さんにお願いに行った結果は、「支援病院にできない」という返事だったわけです。がっかり。

 これら重要な2つの前提条件が結果的に虚偽と判明したわけですが、この事に関する弁明等は、今回のプレスリリースでは触れられていませんでした。

 理由②については、該当するのは河津町長さんです。「河津には自分で造る。」と言う事が妨害工作と言えるのかどうかでしょう。今回の新病院計画は、改革推進委員会の答申に基づく「税金投入無し」であり、土地代は普通交付税で償還。建設費の一部は普通交付税で補助されるにも関わらず、全額を減価償却費として指定管理者が負う契約となっています。医療機器も指定管理者持ちとされていますから、その減価償却分も指定管理者持ちです。組合の運営費は、建設に関する補助の分と、普通交付税の一部を使ってまかなう事ができるのかなあと推測します。従って、仮に一部事務組合を構成する町が減って、例えば結果的に下田市と南伊豆町だけになったとしても、契約通り、計画通りであれば一部事務組合の負担が増えるという事は全く無いはずです。寧ろ異論を唱える町長さんたちが抜ける事で、一部事務組合の意志は統一され、却ってやりやすくなり、組合の事務経費も削減できます。でも、聖勝会さんとしては一部事務組合がけんか別れしないで、一致団結して邁進する事を望んでおられたのでしょうね。

 なお、これらの問題とされる議事録は8月24日、すなわち指定管理者議決の7日後が最終であり、その後4ヶ月経過した今となって辞退の理由とするのは何故だろうかというのは素朴な疑問としてあります。配布された資料以外にもそれ以降いろいろなやりとりがあったのでしょうか。

 8月24日の議事録に「選定委員会をやるときも、600万円も専決でやった。我々運営委員会はしらない。」との記載があります。この600万円という金額は、指定管理者選定委員会(計3回、委員3名)にかかった経費の総額らしいです。(こういう経費は、一部事務組合の運営費 = 公立病院に対して交付された普通交付税や共立湊病院が支出した負担金3000万円 から捻出されているそうです。) 専決専決処分でやったという事ですから、運営委員会=首長さんたち が知らない間に、議会にも諮らずに事務局レベルで一部事務組合の管理者である南伊豆町長さんが実行に移したと言う事ですね。へえー、選定委員会の件は単なる事務処理扱いだったんだ。事後承諾だったんだ。
(専決の意味が地方自治法では違うとのご指摘をいただき12月24日に訂正しました。)

 ③-1については過去の記事で話題にしてきましたので省略します。③-2については多くの薬の卸問屋さんの中の1社の話しであるとの事ですね。これらの「事件」についても、協定も結んでいない今の時点で医療機器や医薬品の見積りを何に使うのだろうという素朴な疑問はあります。また記者会見の質疑応答で妨害について「根拠は特に無い」と述べておられた事が伊豆新聞で報道されています。これらの件については、現在も組合議会で調査中との事ですから、いずれ明らかになると期待しましょう。

 さて、本日23日、首長さんたちの集まりがあるそうです。明日の新聞に記事が載るでしょうか。

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コメント

聖勝会さんの指定管理者辞退記者会見プレスリリース用資料についての詳細な分析をありがとうございます。

≪8月24日の議事録に「選定委員会をやるときも、600万円も専決でやった。我々運営委員会はしらない。」との記載があります。≫
会議において、あたかも「あいつらが勝手にやったことだから、俺たちは知らない」ととらえられるような無責任な発言をする議員のことを信用できないですね。

≪さて、本日23日、首長さんたちの集まりがあるそうです。明日の新聞に記事が載るでしょうか。≫
期待を持って記事を見守りたいです。

12月23日付毎日新聞に榛原総合病院の医師不足の記事が掲載されていました。記事の内容は、病院で起きていることを市民にもっと知らせてほしいということでした。市長の立場は利害も伴うため、思うように情報公開できない本音も語られていました。市民フォーラムなども開催されたようです。
下田でも、関係者一同で、病院の情報公開をしてもらいたいですね。

投稿: ご | 2009年12月23日 (水) 17時15分

 ご さんお久しぶりです。

 ちょっとわかりにくい所があったようですみません。

「選定委員会をやるときも…運営委員会は知らない」の部分の発言も河津町長さんの物です。少し補足記載します。前後の議事録での発言内容と併せて考えると、この発言の趣旨は、指定管理者を選定する重要な役割である選定委員会の開催についても、またその経費として600万円を支出する事についても、「運営委員会は知らない」= [首長が知らない]間に専決でやってしまった。この事以外にも不審な点が多々あり、「こういう不審なものには加わらない」= [平成23年4月1日以降は一部事務組合を抜けたい]、という事のようです。

 確かに関係者一同で、病院の情報公開をしてもらえれば一番いいのですが、これまでの経緯を見ますとなかなか現実には難しいかもしれませんね。(焼け野原になってしまいそうです。)

 さて、本日の伊豆新聞に記者コラム「聖勝会、指定管理辞退の波紋」が掲載されました。「波紋は大きい」「障害を何としても乗り切ることはできなかったのだろうか。」と書かれていましたが、唯一の地元紙なのでもう少し掘り下げて論じてくれればなあと残念です。このままだとあと1年3ヶ月で病院が休止になるわけで、波紋どころの話では無く、大津波が襲ってきているわけですが…。

投稿: きのじゅん | 2009年12月23日 (水) 21時50分

 なるほど、もう打つ手なしの印象ですね。解説ありがとうございます。

 聖勝会の西川先生には、引き続き西川クリニックとしらはま中央クリニック、そして協力病院の伊豆下田病院での医療を充実させていただきたいと思います。可能であれば、西川先生がお声をかけて集めた17名の専門医の先生には、予定通り下田に来ていただいて、新たな医療を展開されてはいかがでしょうか。
 地域医療振興協会の皆様、今回の経緯は残念ですが、新転地でのご活躍を期待します。また、ご縁がありましたら、あらためてよろしくお願いいたします。
 さて、下田・賀茂地区に住む私たちにできることは、せめてケガや病気をしないよう心がけることくらいでしょうか。そして、私たちが選挙で選出した首長や議員が決定したことを、一旦は受け入れて、医療へのアクセスや医療の質の悪化を覚悟しなくてはいけません。ただ、次の選挙では、地縁血縁に縛られず、今回の民意を反映させたいです。

投稿: ご | 2009年12月23日 (水) 22時27分

ご さん。うーん、すっかり諦めムードになってしまいましたね。(ノ_-。)
 地域医療振興協会が賀茂郡から引き上げるわけではありません。既存の直営3診療所もありますし、来月オープンする予定の上河津診療所は移転新築常設化計画が控えています。地域医療確保のための意志・意欲と協力姿勢のある所には今後ともお手伝いをさせていただく事になるのだと思います。これまでの一部事務組合との間では残念ながらそういう関係が構築できなかったようです。
 一部事務組合に変化が生じないと、誰が指定管理者になってもうまくいかないと私は思います。

投稿: きのじゅん | 2009年12月24日 (木) 00時18分

 地域医療振興協会の力添えに,もちろん大いに期待しています.既存の3診療所,新たな上河津診療所とその移転新築常設化が,滞りなく実現に至るよう,よろしくお願いいたします.
 一部事務組合に変化が生じるか,変化を生じさせることができるか,こちらはなかなか期待が薄いです.
 12月24日(木)読売新聞で関連記事を見つけました.これまでの情報によれば,この計画が新しい展開に至る見込みがありません.

「別の医療法人に引き受け打診へ 共立湊病院組合」という見出しです.「共立湊病院組合」は23日,今春行われた指定管理者選定の際に応募した県内の別の医療法人に引き受けを打診することを決めた,という内容です.

投稿: ご | 2009年12月24日 (木) 07時31分

 ご さん、記事の紹介ありがとうございます。伊豆新聞には掲載がありませんでした。(たぶん明日載るのでしょう。)
 別の医療法人(選定委員会で名前を非公開にしてしまったものだからどこか言えないのでしょう)に打診するのは予想通りの展開でしょうか。さすがにそうしないと筋が通りませんから。しかし同法人からは受ける意志が無いと既に伺っておりますので、断られて終わりです。もっとも名前が公開されていないから、頼みに行った法人が本当に公募に応じた法人かどうか、一般の方には知るよしもがなですが。
 今年はそこまでで終わりでしょうか…。

投稿: きのじゅん | 2009年12月24日 (木) 08時57分

コメントのプレビュー
「別の医療法人に引き受け打診へ 共立湊病院組合」のニュースは 昨夜遅くのTVニュースで見ました。
そうなるのが順当だと思いますが、公募に立候補した もうひとつの法人が それを断るにしても、正当な理由が必要なはずです。 
理由は色々と挙げられると思いますが、公募に立候補した本当の経緯や地域医療を守るための意見などを盛り込んで戴けると もしかしたら聖勝会の言うところの妨害行為?とも絡んで、「やはり始めから何か変だったのでは!?」という展開になるのではないかと 思うのですが・・・どうでしょうか。
そうなると困る人はたくさん出てくると思いますが、原点に帰らないとこの問題はずっと解決しないような気がします。
ここでの医療を絶やさないためにも もし次のステップを臨めるなら気持ちよく進めるように ここまで来たら膿は出してしまった方が良いのではないでしょうか。

投稿: いずのすけ | 2009年12月24日 (木) 16時00分

 SBS静岡放送のサイトでTVニュースの動画を見つけました。
一般に報道記事への直リンクは禁止されていますので、「別の医療法人 共立湊病院組合 打診」で検索してみてください。http://www.google.co.jp/search?hl=ja&client=firefox&rls=org.mozilla%3Aja%3Aofficial&hs=xjb&q=+%E5%88%A5%E3%81%AE%E5%8C%BB%E7%99%82%E6%B3%95%E4%BA%BA+%E5%85%B1%E7%AB%8B%E6%B9%8A%E7%97%85%E9%99%A2%E7%B5%84%E5%90%88+%E6%89%93%E8%A8%BA&btnG=%E6%A4%9C%E7%B4%A2&lr=lang_ja&aq=f&oq= 内容的には特に目新しい情報はありませんが。
 打診に行くのは年明けだそうですね。という事で、今年はもう何も進展は無さそうです。

投稿: きのじゅん | 2009年12月25日 (金) 07時17分

いずのすけ さん いつもコメントありがとうございます。お返事が遅くなりまして恐縮です。
 別記事にも書きましたが、公募に応じたもう一つの法人は、組合議会で選定されなかった時点ですでに候補でさえ無くなっているはずです。ですから断るのに正当な理由が必要なのでは無く、本当は今更依頼に行くのに正当な理由は無いはずです。
 今日の伊豆新聞の記事 http://kinojun.cocolog-nifty.com/blog/2009/12/2-2da0.html を読みますと、あんまり Change は期待できない印象ですね。

投稿: きのじゅん | 2009年12月25日 (金) 16時48分

夜中に夢中でコメントを読みました。これまでは現在の湊病院の先生方が仕事を継続できる可能性があるのではと思っていましたが、なかなかきびしいようですね。こんな状況では心も折れてしまいますよね。でも私は応援を続けます。がんばってください。K先生、Y先生、、、。

投稿: ぴのこ | 2009年12月30日 (水) 02時43分

ぴのこ さんコメントありがとうございます。「アッチョンブリケ。」是非今後ともK先生、Y先生の応援を宜しくお願いします。それが一番の力となります。できれば他の先生も応援してあげて下さい。(◎´∀`)ノ

投稿: きのじゅん | 2009年12月31日 (木) 00時58分

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