湊病院問題 祥和会伊豆下田病院が地域医療振興協会に経営譲渡
4月13日伊豆新聞および静岡新聞からです。
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- 4月12日、関係者が記者会見し、伊豆下田病院を運営する医療法人社団祥和会が解散し平成22年7月から同院の土地建物を含めて、地域医療振興協会に営業譲渡する基本協定が締結されたと発表された。
- 祥和会は慢性的な医師確保困難から人件費で無理を重ね、資金的に厳しくこれ以上の運営は無理と判断。地域医療振興協会に営業譲渡の話を持ちかけた。
- 最近では湊病院から医師派遣の支援を受けていた。
- 昭和40年代前半の建設で施設は老朽化。7年ほど前からは一般病床から療養型60床に切り替え、外来は週3回だった。現在57人が入院し、透析も行っている。
- 入院患者や利用者に支障が出ないようにスムーズに移行させていきたい。
- 地域医療振興協会は、来年3月末で湊病院の指定管理を終えた後は、下田病院を拠点として地域医療の一翼を担いたいと話した。
- 規模や耐震補強の事もあり、東賀地区(河津町・東伊豆町)などに新たな移転先を求める可能性もあると示唆した。
- 引き継ぎ期間の2次救急医療は下田病院で対応する可能性もあるとした。
- 祥和会の先代が設立した社会福祉法人梓友会の施設では、4月から嘱託医を下田病院から地域医療振興協会に切り替えた。
- 地域医療振興協会の吉新理事長は、将来的な一般病棟への転換や救急対応、施設移転も視野に「地域医療に貢献できるように病院運営していきたい」と語った。
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伊豆新聞(下田紙面)は同じ1面に、10日開催のプロポーザル協議公開ヒアリングの記事が掲載されていました。内容は事実報道のみでした。プレゼンテーションでは、病棟、駐車場の配置、建物の耐震性、手術室の位置、建築コストなどの質疑応答が行われた事。傍聴者は管理者の南伊豆町長はじめ組合議員など30人だった事などが書かれていました。
また、同一紙面には河津町長選挙告示の記事もあり、なかなか賑やかな紙面となっていました。
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ここからは個人的なコメントです。
平成22年3月初めに下田市長さんと、地域医療振興協会幹部が会談して、「互いに2次救急医療の空白を作らない意向を確認した」と報道されていましたが、なるほどこういう意味だったのかと納得。
南伊豆町、下田市の議会では、平成23年4月以降も地域医療振興協会がつなぎで続投が決まっているかのような答弁がなされていましたが、指定管理者を議決するのは組合議会ですから、議会で否決されれば(そしてその可能性が大いにあり)、平成23年4月以降指定管理者不在で、病院休止となる事態も考えられました。
となると、現在の湊病院・なぎさ園で勤務しているスタッフは職場を失うことになります。もちろん協会内の他施設で勤務する方法もありますが、地元出身者はそうそう遠方まで通勤するわけにもいきません。昨年秋の職員アンケートでも多くの職員が賀茂郡内の協会施設での勤務を希望していました。来年度の身の振り方を決めるべき時期が来ていました。
今回の伊豆下田病院譲渡で、来年度以降の職場がある程度確保されることになりました。一部事務組合の影響を受けずに病院運営ができる点でもメリットがあります。
とはいえ、一時的には2病院の同時運営で湊病院の医師は更に負担が増す事になります。また来年4月以降、現病院の職員200人と、伊豆下田病院のもともとの職員の全員が60床の伊豆下田病院でひしめき合うわけにはいきませんし、下田・南伊豆の救急医療を一手に引き受けるには60床の病院では器が小さすぎるのも確かです。これだけで解決というわけにはいかないようです。
近々行われる河津町長選挙の結果が、今後の動向を大きく左右する事になりそうです。
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コメント
何故、一部事務組合のプロポーザルの再開については、
政治的意図があると言われていた先生が
このことについては、批判をしないか分かりかねます。
告示前に発表されたこの事実は、政治的なニオイがプンプンしますが…
それとも、このブログ自体が政治的意図があるのでしょうか?
このコメントは承認制ですか?だとすれば日の目を見ることはないでしょうね。
投稿: 南伊豆の先住民 | 2010年4月13日 (火) 19時49分
南伊豆の先住民さん コメントありがとうございます。
コメントは承認制ではありません。批判コメントも大歓迎です。たまにスパムが載ってしまいますが、できるだけ早く削除するようにしています。
今日は河津で仕事だったのですが、朝、事務所に立ち寄った時に記者会見のニュースを初めて聞いたような状況です。
その後両陣営の選挙事務所の前を通りがかりましたが、支持者が集まって盛り上がっておりました。某政党からは町立病院計画を批判するビラが配られたり、厳しいせめぎ合いが行われている様子でした。
伊豆下田病院経営譲渡の件をこの時期に発表した事に政治的意図があるのでは無いかとの御指摘、確かにそう思える部分もありますね。今回のコメントは、なかなか書きづらかったのですが、見透かされてしまいましたか。(^-^;
情報は批判的ものも含めてできるだけ広く提供するように心がけておりますが、地域医療振興協会の一職員の立場として、中立では無く、身内贔屓の面が出てきてしまうことはご容赦下さい。
今後も異論がありましたら、厳しく御指摘いただければと思います。
投稿: きのじゅん | 2010年4月13日 (火) 21時49分
面白い情報見つけました。プロポーザル競技審査委員でも無い方が、4月10日のヒアリングの内容を報告していました。情報漏洩でしょうかo(*^▽^*)o
http://webcache.googleusercontent.com/search?q=cache:N5UPemOdBD0J:www.izai2.net/suii.html+%E6%B2%B3%E6%B4%A5+site:izai2.net&cd=3&hl=ja&ct=clnk&gl=jp
「出席業者は7社でどれもすばらしい提案でした。免震にしてもらったほうが安心との意見があり、その提案があった業者を中心に施工業者を決定することになります。4月19日(月)に下田にて施工業者の発表と記者会見が執り行われる予定です。」との事です。なお、4月12日の下田病院譲渡記者会見の事もすでに10日夜の時点で把握されていたようですね。
この元記事何故か今は削除されております。
基本構想http://www10.ocn.ne.jp/~minatohp/data/puropo/kihonkousou.pdf を見直しても、4ページ目に「施設の耐震化」と書いてあるだけなんですよね。それなのに免震を提案した業者を中心に施工業者を選ぶなんて…。だったら最初から基本構想に免震と書くべきではないでしょうかね。
投稿: きのじゅん | 2010年4月15日 (木) 12時48分