新伊東市民病院の資金計画
伊豆新聞本社(伊東)紙面では、5月24日から26日にかけて、3日間にわたって、「新 市民病院 3年後の開院へ 課題を検証」というシリーズ記事が掲載されました。26日の記事では新病院の資金計画が紹介されていました。この件は資料をあたって、いずれ書こうと思っていましたが、記事にまとめていただいたので便乗してしまいます。
まず最初に基本的な枠組みを理解していただくために、伊東市のホームページに掲載されている新病院Q&Aから抜粋します。
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Q12
新病院の建設に莫大な投資をして、将来的に市民の負担が増えないか心配です。
A12
基本的に、病院は、診療等により得た収益により運営し、施設などの整備もこの収益によって賄うこととなります。
しかし、公立病院は、救急医療などのいわゆる「不採算部門」であっても、地域の医療ニーズに応じて担わなければならず、住民福祉の向上を図るため、市の会計からの支援が必要となります。
一方、国の制度として、公立病院の運営に関しては、定められた基準で市の会計からの支援をいただき、この支援に対しては、国から一定の基準で「地方交付税」が市の会計に対し交付されます。
現在、基本設計の建設費は概算で65億円、医療機器は15億円、合わせて80億円と試算し、建設費は、全額を30年で返済する地方債(借入)によって賄
う予定です。このうち、地域医療振興協会からは、病院運営の収益から年額9千万円、総額27億円を負担していただく予定です。
また、新病院建設に向けて、20億円を目標に医療施設設置基金の積み立てを行い、今年度末には、約16億円となります。また、新病院建設計画に着手して
から、市民の皆様からの関心も高まり、寄附の件数や金額も増えています。医療機器は、この医療施設設置基金により行う計画です。
いずれにしても、新病院の建設を全額地方債で行い、返済を30年間していくことから、借入額をできる限り少なくするため、今後も事業費の縮減に努め、将来的な負担の軽減を図っていきます。
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続いて、伊豆新聞の記事から数字を拾っていきます。
- 建設事業費(実施設計費用込) 66億3000万円
- 全額起債で賄い、平成25年度から30年償還。
- 年利2.1% 償還額は91億6900万円 年3億6000万円
- 一般会計から病院事業特別会計への基準繰出額 1億6800万円/年
- うち地方交付税措置額 年8200万円
- 指定管理者負担金 年9000万円
- 伊東市の一般会計からの繰り出しは 年4800万円
- 医療機器の整備は伊東市が15億円を限度に負担
- 開院までに医療施設設置基金として20億円を積み立てる目標
- 現在17億1000万円積み立て済み
- 伊東市の一般会計から病院事業特別会計には年4億5000万円繰り出す予定
- 建設や運営に伴う交付税措置が年2億3000万円
- その他国、県からの補助金あり。
- 結果として一般会計からの負担は実質年5000万円程度
上記のような説明となっていました。伊東市の人口は約7万1000人ですから、市民一人当たり年700円の負担という計算になります。(国や県からの補助金も結局は税金由来であると考えれば、間接的な負担はもっと大きくなるという意見もあるかもしれませんね。)
新病院の実施計画が伊東市のホームページに掲載されています。これによると、250床で、延べ床面積18625.64平方メートルで、74.50平方メートル/床。
指定管理者の地域医療振興協会は、年間9000万円の負担金を市に支払います。これは病院経営の利益から拠出する事になります。しかし、もし利益が9000万円以下の場合は身銭(利益準備金など)を切って市に負担金を支払い、赤字補填は行わない契約です。
市にとってみれば、医療環境の変化によらず毎年一定の負担をすれば良いという事が大きなメリットとなります。
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