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2010年5月19日 (水)

名を転ずれば ユビデカレノン

 ノイキノンという医療用医薬品があります。一般名はユビデカレノンといいます。1978年4月に薬価基準収載ですから、既に32年前に販売開始された薬です。心不全の薬で、一回10mgを1日3回内服します。副作用は比較的少ない薬で、胃部不快感、食欲減退、吐気、下痢、発疹しか書かれていません。副作用発現頻度は1.46%となっています。

 1錠の価格は19.9円ですから、一日薬価は59.7円。月1800円程になります。後発品ならば5.6円からありますので、月500円程度。

 心不全の薬としては、今では正直殆ど使われなくなったお薬です。医学教科書を見ても心不全の治療方法としてこの薬を使うという事は書かれていません。実は効果を証明する根拠=エビデンス が認められなかったのです。類似薬のアバンは、脳梗塞の薬として使われていましたが、効果が証明されないとの事で1998年に承認取り消しとなっています。

 さて、そんな風に医薬品としては鳴かず飛ばずだった、ユビデカレノンですが数年前から一躍脚光を浴びて大ヒット商品となりました。

 2001年の食薬区分の改正と、2004年の化粧品基準の改正により、ユビデカレノンは健康食品や化粧品に利用されるようになりました。そして、巧みな宣伝戦略により「コエンザイムQ10」と名付けられ、多くの宣伝費が投じられるようになりました。古いものでも新しい名前を付けると何だかよく分からないけど、画期的で素晴らしい成分であるかのように思ってしまいますね。食品ですから効能効果をうたうことはできませんが、それを証明する必要も無いわけです。

 健康食品としての1日の摂取量は60から90mg程度のものもあるようですが、厚生労働省からは医薬品と同等の30mgに留めるように通知されているようです。価格はメーカーによりまちまちですが、医薬品としての値段を見てわかる通り、本来そんなに高価なものではありません。

 医薬品として役立たずのレッテルを貼られたおかげで、商売としては大成功したという、面白い事例です。意味があるのかって? 単なる食品ですからね。

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