代車のローバー216クーペで昔のクルマを思い出す
外車系のディーラーの経営母体の会社には、複数のブランドを扱っている所も多くあります。定期点検などで代車を出してもらうと、思いがけない車両を運転する機会に恵まれる事も。
今回、車検の間にお借りした代車は、ローバー216クーペでした。走行距離は約7万キロ。日本での販売が途絶えたばかりか、2005年には会社が消滅してしまったイギリスのローバー。かつてはこの会社でもローバーディーラーを経営していた名残でしょうね。
特に予備知識も無く乗り込みます。シートはベージュの革張り。パネルの一部には木目パーツが入っていますが、プラスチックの質感は(306や206の頃のプジョーのように)チープにてかてかと光っています。ミラーは電動調整式。パワーウインドウは時々引っかかるような動きをします。ライトやワイパーの操作系は概ね基本通りで、戸惑う事はありません。
4ATのシフトパターンも古典的な直線ゲートで、2-D3-D4-N-R-P となっており、特にパワーモードやスノーモードのスイッチなどは見当たりません。Lレンジが無いので1速固定はできないようです。天井はガラスサンルーフになっており、手動でチルトアップだけが可能です。網目のスクリーンが貼られていますが、シェードは付いておらず、頭上から日差しがさんさんと注いできます。真夏は辛そうです。
エンジンを始動。結構賑やかです。Dレンジにシフト。最近クリープ現象の出るクルマに乗っていなかった事を思い出しました。ブレーキから足を離して走り始めると、意外と出足が良い。動きが軽いのです。ボンネットの一部が盛り上がっているのでターボでも付いているのかと思いましたが、耳を澄ましても加給音はしません。ブレーキは踏力を要求し、車体と内装はミシミシと軋み、サスペンションもへたりきっていますが、直進安定性はなかなか良好です。代車だからパーツにお金はかけられないけれど、金のかからない部分はきちんと整備されている印象を受けました。ドライビングポジションも低くてスポーティーな雰囲気があります。ボンネットの先端はしっかり見えるし、Aピラーの位置も邪魔にならず、サイドウインドウの下端も低めなので、車両感覚はかなり掴みやすいです。
なかなかいいぞと思ってきました。結構かっこいいかも。コンビニの駐車場に停めてまじまじと眺めて見ます。リアスポイラーや車高の低さはやや走り屋風である反面、あちこちモールが取れかかっていたり、塗装が剥げていたりで、やっぱり近くで見るとただのオンボロ車です。(^-^;
峠越えでは、なかなか軽快な身のこなし。足回りは柔らかい感触で、しかしステアリングの手応えはしっかりと伝わってきて安心して走る事ができました。車体は軋みますけどね。コーナーの手前でブレーキを踏んで減速し、曲がりながらアクセルを踏むと、強烈なショックとともに2速にシフトダウンしておっとっと。下り坂でのエンジンブレーキは2速以外の選択が無く、昔の4ATってこんなだったよなあと懐かしくなりました。
車を降りてからネットで調べてみました。平成6年頃から売られていた車であり、もう16年前の車両という事になります。なるほどへたっているわけです。リアスポイラーなどは標準でついていたようです。タイヤは55扁平。このぐらいが性能と乗り心地のベストバランスと個人的には思います。
エンジンは1600cc DOHC 16バルブで120馬力。車両サイズは4270×1710×1370mmと、コンパクト。車重は1160kg。やっはり昔の車は軽かったのですね。これで5MTだったら、もっと楽しかったのにな。
自動車のメカニズムが電子化されていく前の、とってもオーソドックスな作りの車でした。そしてこの程度の出力のエンジンがあり、足回りさえしっかりしていれば、十分楽しい車ができるという事を再認識しました。
調子こいて、河津から伊東まで、天城峠、国士峠、冷川峠(旧道)と3つ峠を越えて帰って来たら疲れました。運転手の方も車に負けずへたってきたようです。
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