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2010年6月15日 (火)

湊病院問題 平成22年3月の下田市議会議事録を読み込む3 大黒孝行議員、藤井六一議員質問

 3月8日の議事録から抜粋していきます。今回は大黒孝行議員と藤井六一議員の一般質問です。藤井議員の質問は質問項目と、それに対する答弁を並べる形で再構成しました。

PDF7ページ

●大黒孝行議員

 新病院の早期建設に関連し、市職員の1名を病院組合に派遣し、組合構成自治体当事者としての責務を果たすと述べられましたが、この出向はもちろん運営委員会、各首長の了解を得て決定したかどうか確認をさせていただきます。さらに、組合構成自治体の当事者とはどのような意味合いを持つものかお伺いさせていただきます。

PDF11ページ

●市長

 なかなか6つの市町の長の合意というのは、特に一番今回大変難しかったのは病院問題のことでございました。常に議論は我々6人でしっかりしながらいくんですが、それぞれの首長の考え方というのが、なかなか今回は一つにまとまらなかったという点が今の共立湊病院の問題に絡んでいるということで、大きな反省とともに、しっかり努力しなきゃならないという今認識を持っているところでございます。

PDF21ページ

●市長

 病院組合の職員派遣につきましては、1月の運営会議の中で合意がされまして、2月の病院組合議会で承認をされているところでございます。

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PDF26ページ以降 藤井六一議員の一般質問に対するやりとり

○下田市内からの共立湊病院の利用状況について

●藤井六一議員

 現在、下田市内で開業している医療機関は、内科、外科、小児科など一般の診療が19施設、ほかに眼科2施設、産科、皮膚科、各1施設、合計23施設で、うち入院できるベッドを備えている施設は3施設、そのベッド数は合わせて23ベッドとなっております。この23ベッドのうち8ベッドが産科用、2ベッドが心臓病の急患用、一般患者用のベッドはわずか11ということです。開業医の数だけを見ますと、下田市内には23の医療施設がひしめき合っており、一見満たされているようにも見えますけれども、その実態は一般の入院患者用のベッドが11しかないという医療過疎地であります。こうした中で、下田市の医療はどのようにして保たれてきたのでしょうか。私は、共立湊病院の果たしてきた役割が非常に大きかったのではないかと考えております。

 下田市内から共立湊病院に入院、通院した患者、入院患者が年間2万人、通院患者は約4万人、いずれも延べ人員ということでございますけれども、詳しい資料がありましたらお聞かせ願いたいと思います。

●健康増進課長

 最新のデータですと、21年度分の 12月まで、要するに4月から3月のサイクルでやっていまして、12月末まででいきますと入院が1万3,171人、外来が3万9,662人で、1年間の最 新ということになりますと1年前になりますけれども、年度の数値の最新のものは、20年度実績で入院が1万9,049人、外来が3万7,108人というこ とになっております。

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◯地域医療振興協会との会談の具体的日時等について

●藤井六一議員

 こうした実績のある共立病院が平成23年3月31日、来年の3月いっぱいで指定管理者の契約が満了になるということであります。今のところ次の指定管理者は決まっていないようですが、来年3月までの残された時間を計算しますと、医療の空白は避けられないのではないかと危惧しておりましたところ、昨日、鈴木議員の一般質問の中で、市長が「医療の空白は起きない。地域医療振興協会の理事長が約束してくれた」と、そういう意味の答弁をされました。当面の心配はなくなったと、内心ほっとしたところであります。

 しかし、まだ幾つかの問題点は残ります。これは共立湊病院組合固有の問題でありますので、私どもが余り深入りすることはできませんが、関係者から伺ったところによりますと、地域医療振興協会は、共立湊病院が探している次の指定管理者が見つからないときは、一定の期限を設けて医療のつなぎはする、入院患者ら医療を求めている地域住民を放置することは絶対にしないというお考えのようであります。また、地域医療振興協会は、指定管理者が決まらないと判断したとき、下田・賀茂地区の医療圏内で現在の共立湊病院所在地以外の場所に病院施設を建設しこの地区の医療を守ると、そういう考えでおられると、そういう情報もあります。いずれにいたしましても、共立湊病院の次の指定管理者が決まらなければ、この問題は次のステップには進まないように見えます。このことは、日常、共立湊病院を利用しております下田市民にとっても非常に関心の高い問題であります。

 地域医療振興協会がつなぎをしてくれるというこの期間、一体どのくらいの期間を想定さ ておられるでしょうか。次の指定管理者が決まるまでという、そういうアバウトなものでしょうか。理事長さんと約束されたということですけれども、約束されたのは、その日はいつだったでしょうか。

●市長

 医療の空白をつくらないために指定管理者を いつまでに選定すれば間に合うのかという認識は市長としてどうなんだかというようなご質問でございますが、今現在、指定管理者の選定作業を行っております が、例の国の耐震化の補助の問題等もありますので、できればこの3月、遅くとも4月ぐらいまでには結論的なものを出していかなきゃならないのかなというこ とは、私個人の考え方でございますけれども持っているところでございます。選定をして、議決という問題も抱えておりますので、余り遅くなってはいけないと いうところで頑張っているところでございます。

 医療空白ができた場合に、先般、地域医療振興協会のほうとお話をさせていただきました。その中で、つなぎというか、医療空白はつくらないよと。指定管理者が別の法人であろうが、決まればいいんでしょうけれども、そこまでは我々が公益医療法人として責任は持ちますという理事長さんの言質をいただいた のを金曜日の議会でお話をさせていただきました。その中で、どのくらいの期間になるのかということは細かくはお話してございません。いわゆる「空白はつく らないよ。それは私どもが責任を持ってやるべきことである」という言葉をいただいているわけであります。ですから、地域医療振興協会のトップである理事長 さんの言葉でございますので、それは空白期間をつくらないという理解をさせていただいたということでございます。

 理事長とのそういう約束はいつだったのかということにつきましては、3月2日でございます。直接、吉新理事長、小田医院長、事務局長とお会いして 約束をしていただいたということでございます。

 指定管理者がもし延長していただく場合には、これまでの条件で延長できるのかということは、当然契約が来年3月31日でございますので、それまで の経過を見ながら引き続き23年4月1日からやっていただくようになれば、その辺のことはある程度の期間前に当然病院組合とお話ということになろうかとい うふうに考えてございます。

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◯救急医療について

●藤井六一議員

 下田地区消防組合の資料によりますと、21年1月から12月までの1年間に出動した救急車の回数は2,672件、搬送人員は2,474人に上っております。このうち共立湊病院に搬送された患者は1,522人で、この数字は救急車が搬送した全患者数の実に80.7%を占めております。いかに多くの救急患者が共立湊病院に搬送されていたかがわかります。

 医療の空白は当面避けられたようではありますけれども、指定管理者契約、来年3月31日で終わります。指定管理者契約は、これまでの条件、現在行われている条件ですね。これまでの条件どおり更新、延長されるんでしょうか。それとも、指定管理者の契約の変更はしない状態で延期されるでしょうか。このように下田市内から大勢の救急患者が現在搬送されております。この契約の更新時に救急業務に支障が生じないよう、特に留意していただきたいと思います。

●市長
 いわゆる 空白がなくならないわけですから、今の湊にある共立湊病院がそのまま引き継いでいただけるというようなことで理解ができるというふうに思います。

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○市内の医療機関と新病院との関係について

●藤井六一議員

 下田市内の県立下田南高校跡地に新病院の建設計画が進んでおります。しかし、中核病院の建設計画には、市内の医療機関の多くが反対しているようであります。病院が近くになるという利便性を喜ぶ市民と、中核病院の進出で経営が圧迫されるのではないかと危惧する小規模医療機関、この間に立って、市長は市内の医療機関の方々に今後どのような協力を求めていかれるおつもりなのか。

●市長

 当然、こういう二次救急をやる総合病院的な病院につきましては、検査とか入院だとかという、いわゆる地域の医療の中核となるべき施設であり ますので、従来の診療所でやっていただきます、地域のかかりつけ医とか在宅医療管理というような形の中で診察を行っているというのが中心になろうかと思い ます。

 けれども、あくまでそういう地域の医療機関と連携をしてやっていくのが一番ベスト、これは当然であろうかと思いますので、多分一昨年10月に賀茂 医師会から改革推進委員会に医師会の考えというのが一応出ているわけでありますので、この辺を尊重して、なるべく地域の医療機関と連携がとれるような病院建設というのを我々は進めていかなければならないという認識を持っているところであります。

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○寄附金問題について

●藤井六一議員

 下田市が共立湊病院に繰り出す2,000万円の特別負担金についてお尋ねいたします。 昨年12月の定例市議会で可決されましたこの事業は、大久保婦久子先生ゆかりの方から指定寄附された2,000万円を、まず下田市から共立湊病院組合会計に繰り出し、病院組合会計はそれを受けて聖マリアンナ医科大学の寄附講座に全額を寄附し、新病院の医師確保に便宜を図ってもらおうというものでした。ところが、指定管理者が突然辞退したため、聖マリアンナ医科大学との関係がなくなり、寄附をする理由が消えてしまい、その結果2,000万円は現在事実上宙に浮いた形になっております。

 担当課長にお尋ねいたします。 この寄附金は、大久保婦久子顕彰基金に積み立ててほしいという名目で送られてきた3,000万円のうちの2,000万円で、下田市は、この2,000万円は病院組合に送られてきた指定寄附分だとしておりますけれども、医師確保というそのために使ってくださいという指定寄附を裏づける寄附者の採納願は届いているでしょうか。もしあるようでしたら示していただきたいと思います。

 下田市には、寄附採納事務取扱規程があって、その第3条、第4条には「担当課長は、寄附に関する事務を統括し、寄附の採納によって行政運営に支障を来さないよう適正な事務処理に努めなければならない」と規定されております。今回のこの寄附の取り扱いは、この規定どおり適正に処理されたと思っておられるでしょうか、

 さらに、この規程の第8条では「重要又は異例な寄附を受けるときは政策会議にかける」としております。今回のこの寄附は、私は異例な寄附に当たると考えておりますが、政策会議にかけて協議をいたしましたでしょうか。協議をされたということであるならば、その政策会議ではどのような協議をし、どのような結論が出されたのか。

 共立湊病院規約を見ますと、第12条に経費の支弁方法が規定されております。診療報酬、介護報酬、使用料、市町の負担金その他とあって、これらの規定にない事項は関係市町の長の協議によって決めるとあります。また、臨時に経費を必要とするときの負担金の割合は、長の協議に基づき組合議会の議決を経てから決めるとあります。この病院組合規約を見る限りでは、組合経費は特定の市町が単独で負担できる仕組みにはなっていないように思われます。下田市だけが特別負担金を支出するというのは不公平だと思いますし、何より病院組合規約に違反していると思われます。

 寄附には、一般寄附、指定寄附、負担つき寄附などがあります。今回の寄附は指定寄附ということですが、いずれにしましても受取人は下田市ということになります。共立湊病院は、下田市の直営病院ではありませんから、下田市が、共立湊病院が経営する病院の医師確保のためと指定された寄附を受け取ること自体、いかがなものかと思います。また、下田市がこうした形で受けた寄附を別の法人格を持つ共立湊病院組合会計に繰り出すということ、これもいかがなことかと思います。この予算措置の方法、違法だったのかあるいは適法だったのか。

 また、この問題では監査請求が提出されております。これに対し監査委員は「共立湊病院に対して行われた予算措置は適法に行われた。下田市に損害を与えたとは言えない」と回答しております。一旦下田市の会計に入ったお金は市の公金であります。もしこれが支払われなくてもいいというお金だったとしたら、下田市に損害を与えたことになろうかと思います。

●市長

 大久保婦久子さんの関係者から、医師の確保のために寄附をいただけるということにつきましては、6人の首長の中で私のほうからお話をした経過がございます。

 こういう方々から医者の確保のために寄附をいただけるというようなことにつきましてはお話をさせていただきまして、関係町長たちは、それはいいじゃないかというようなご返事をいただいた経過がございます。 それから、これが特別負担金ということで下田市だけの負担金で、こういうことが規約違反じゃないかということにつきまして、後ほど課長が答弁すると思いますけれども、我々もいろいろ協議をさせていただいた中で、規約違反というふうには考えていないということでございます。

 それから、下田市に損害を与えることになるのではないかということにつきましては、我々は、寄附者の気持ちというのを最大限考えてやるべき寄附だというふうに伺っておりますので、特に監査のほうからも、これにつきましてはしっかりした、損害を与えることにはならないという判断が示されておりますので、問題はなかろうかというふうに考えているところでございます。

●企画財政課長

 指定寄附を裏づける寄附者の採納願は出ているのか、あったら示してほしいということでございます。医師確保のために使途するということを遺言執行者が承諾したということを明らかにした経過を示す書面はございましたけれども、医師確保のための指定寄附の採納願というのは届いておりません。

 また、寄附採納事務取扱規程の中で「担当課長は、寄附に関する事務を総括し、寄附の採納によって行政運営に支障を来さないよう適正な事務処理に努めなければならない」としております件でございますけれども、下田市の寄附採納取扱規程を所掌する担当課長の立場として発言させていただきますが、これまで議会等の場におきまして再三再四説明されてきているとおり、諸般の事情を考察すればやむを得ない事務処理であって、適正に処理されたというふうな認識を持っているところでございます。

 下田市の寄附採納事務取扱規程の第8条第3号は、「重要又は異例な寄附の場合は政策会議にかけるものとする」というものではなくて重要または異例な寄附であって、その寄附を受けることの可否について政策会議に付する必要があると認められるときは政策会議に付議しなさいという解釈でございまして、今回の寄附につきましては、当初から採納を前提に話が進んでいたものでございまして、寄附採納事務取扱規程の第8条第3号の規定を適用する事案には当たらないことから、正式な議題として政策会議には付しておりません。

 別の法人格を持つ共立湊病院組合会計に繰り出すことについてのご質問でございます。この予算措置は適法なのか、それとも違法なのかということで担当課長の意見を求めているわけでございますけれども、この寄附金の取り扱いにつきましては、議員のご質問の中にもございましたように、昨年12月議会におきまして適法な手続によりまして議決され予算化されたものでございます。さらに、平成22年2月10日付、下監第9号によりまして、下田市監査委員2名の連名によりまして住民監査請求人代表者に対して通知されました「寄附採納事務及び共立湊病院組合特別負担金に係る下田市長に関する措置請求について」の文中におきましても、「本件寄附金を財源とする負担金の予算措置に違法性又は不当性は認められない」とはっきりと記述されていることでご理解願いたいと存じます。 以上でございます。

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 ここから先は個人的感想です。

 賀茂の医療の空白を作らない という話が一人歩きして、現湊病院をつなぎで継続する約束をしたのだというように、いつの間にかすり変わっています。一方で、地域医療振興協会が別の病院を運営するような話しも、すでに情報として議会に流れていた事もわかりました。

 寄附金については、事務手続きのおかしさについて追及されています。新病院の医師確保のための寄附だというのなら、最初から一部事務組合に寄附していただけば何も問題なかったわけですから、何故そのようにならなかったのか不思議です。

 そもそも寄附依頼の文書は、平成21年4月9日に一部事務組合の管理者・副管理者・組合議長が出した物なのですから、承諾したのなら組合に寄附をするのが自然な流れでしょう。何か理由が有るはずですが今のところ明快な説明はありません。

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