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2010年6月16日 (水)

湊病院問題 伊豆新聞6月14日1面 伊豆の課題1 医療 から

 参議院選挙を前に、伊豆新聞で連載記事「近づく参院選 伊豆の課題」が始まりました。第1回の6月14日は、「1 医療」というタイトルでした。なかなか気合の入った記事で読みごたえがありました。

 記事の冒頭は、2007年5月6日、下田市の石井市長を心筋梗塞が襲った事から始まっています。「市内のクリニックから転送、1時間20分かけて天城を越え、順天堂静岡病院へ救急車で運ばれている時の恐怖、不安は今も忘れられないという。」と書かれていました。ドクターヘリは雨で飛べなかったのだそうです。

 確かに、心筋梗塞や脳卒中の一部の脳外科的な緊急手術を要する物については、現状の共立湊病院では対応ができません。が、実は聖勝会さんの提案を元にした新病院計画においても循環器内科、心臓外科、脳外科は含まれておらず、計画通りの病院ができたとしても、こうした事情には全く変化がありませんでした。やはり、辺地において高度の急性期医療の体制を整えるのは、需要とコストのバランスがとれず、実現可能性が低いのです。

 「医師確保の課題は、共立湊病院組合の中でも常に論じられてきた。そして、地区の病院問題は依然として明かりがついたり消えたり、時に暗礁に乗り上げ、今も大きな不安要素を抱えている。」

 「下田地区消防組合の救急搬送人員は、年間約2500人。その25%は管外へ搬送され、残りの8割が共立へゆだねられている。救急搬送全体ではおよそ6割の1院集中状態。(中略)同院が地域医療に占める存在、役割の大きさを示している。」

 「救急出動も本来なら1次と2次が役割を分担するが、南部では現場の判断や司令室の情報、経験から直接2次へ要請することも多いという。その地域唯一の2次医療機関が空白状態となるかもしれないなど、『恐ろしくてとても考えられません』。救急担当者たちは厳しい表情で口をそろえる。」

 この後、産婦人科、小児科への不安についても書かれていました。

 きちんとした産科救急に対応するためには、小児科の体制整備は必要不可欠です。産婦人科の確保について提案したと高い評価を受けた聖勝会さんの応募内容でしたが、小児科医の配置計画は僅か1名でした。1名で、24時間365日、新生児医療に対応する事は不可能です。そのせいか昨年9月に公表された新病院基本構想を見ると産科の産の字も無く、断念されていた物と思われます。

 賀茂郡においてきちんとした産科・小児科救急をという要望は昔からずっとあるのですが、現実はなかなか厳しいようです。第一回指定管理者選定委員会の議事録(業務報告書のPDF33ページ)でも次のように伊東委員長が述べていました。

「先ほど産科という話が出たというのですが、その産科を希望し た方がどのようにわかって希望したかわかりませんが、今の産科の現状と医療の内容を本当にわかっているのかどうか。というのは、小児科が完全に生まれた子を、未熟児やなんかが生ま れてもケアできなければ、産科をやったら大変なことになってしまうわけです。
 小児科が1人 や2人では、産科をやられたらえらい迷惑になる。実際には、いたらば非難されるし、患者も 当てにします。ですから、産科をやるからには小児科の医者が4人も5人も6人もいないとだ めです。そこをケアできるかということなのです。 というのは、産科をやるということは、今の時代、いろいろな結果、障害の子供も生まれる し、未熟児も生まれるし、それをどうするかということがありますから、それを引き受けさせられるのは小児科なのです。ですから、小児科を充実させないと、産科をやったら大変なこと になってしまいます。だけど、地域で産むところがないといわれると、これまた考えないといけないわけですよね。
 先ほどもいったように、社会の活性化、地域の活性化は子供が生まれるかどうかですから、 それは当然わかっているのです。ただ、小児科医に負担になって医療訴訟が多くなって大変に なってしまいますから、やはり順番をよく考えないといけない。産科を要望する人は、わかっ ていってもらわないと。小児科が1人や2人なのに産科をやれという人はやはりおかしいので、 どうするかなのです。そこのところで、この診療科をやるときに産科を入れるというのは非常に問題があるということを知っておいていただきたいと思うのです。」

 まあ、そのように述べていながら、小児科常勤1名の計画で、産婦人科設置を提案している聖勝会さんを選定してしまったのは、とーっても不思議な謎なんですがね。(^-^;

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