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2010年6月19日 (土)

湊病院問題 6月17日運営会議でジャパンメディカルアライアンス申請書内容確認

 予定通り6月17日に運営会議が行われましたが、開催時間が夕方以降だったためか、18日には報道がありませんでした。ところが、今朝(19日)の伊豆新聞(伊東版)でも全く報道が無く、いったいどうしたのだろうと思いましたが、静岡新聞には掲載されていましたので、要点を紹介します。

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  • 6月17日夜 共立湊病院組合運営会議(首長会議)が開かれた。
  • 6月11日付けで、ジャパンメディカルアライアンス(JMA)から指定申請書が提出された。
  • 公募条件を踏まえた内容で、新病院の建設費にあたる施設の減価償却費を組合に支払い、赤字補填無し、10人以上の常勤医師、内科・外科・小児科・整形外科を置く事を前提にしている。
  • その上でJMAは、指定管理期間は15年、病院名「下田メディカルセンター」、病床数154床の維持を希望。循環器内科、消化器内科設置の方針。将来的には産婦人科設置も検討。
  • 運営会議では、7月上旬に組合議会臨時会を開き、JMAを指定管理者とする議案を審議する事に同意。
  • 11年4月から新病院開院までの空白期間の対応は地域医療振興協会に再度要望していく必要性も指摘された。

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 いつものようにここから先は個人的な感想です。

 提案内容については、情報が少なすぎて、まだ論評できる状況ではありません。もう少し情報を集めて分析したいと思っています。

 循環器内科標榜の提案で、心筋梗塞の治療に対応できる事を期待する人も多いと思いますが、365日24時間の心筋梗塞の緊急治療に対応するためには、①最低4-5名の循環器内科専門医、②心臓カテーテル検査に必須の血管造影装置と撮影室の設置、③緊急カテーテル検査に対応できるだけのコメディカルスタッフの確保、④術後管理のための集中治療室の設置 が必要になります。下田にこれを置くことは採算面で無理だと思いますし、また、1200万円/床の建設費・4億の医療機器予算では施設・機器の整備も不可能です。

 ちなみに伊東市民病院には循環器内科専門医は2名いて、血管造影室があり、待機的な心臓カテーテル検査やステント治療などは可能ですが、スタッフ数の問題で緊急対応ができません。救急外来で急性心筋梗塞と診断された場合、緊急治療が必要と判断した場合は順天堂静岡病院さんや、NHO静岡医療センターさんなどにヘリや救急車で搬送する事が多いです。ある程度時間が経っていて緊急性が乏しい場合や、スタッフが確保できた場合は、自院で対応しています。

 消化器内科については、現在の湊病院でも標榜科にはしていませんが、昔から専門的検査・治療のかなりの部分には対応できています。

 まあ、ただ標榜するだけなら非常勤でもいいので医者が一人いれば可能です。しかし、救急対応するとなると最低3-4人は標榜科の常勤医師が必要となりますので話は別。その事は承知しておく必要があります。

 またまた産婦人科の話が出てきましたが、どの程度の具体的提案なのか。新病院建設計画に産科対応のためのスペース確保など対応が含められる事になるのか、新生児医療への対応はどうするつもりなのか、色々確認しておきたい点はありますね。

 公募条件では、指定管理期間は2011年(平成23年)4月からの10年間となっていたはずです。新病院開院後から15年間というのは、公募条件とは異なる提案という事になります。病床数154床希望と言うことで、そのままだと耐震補助が受けられない事になります。耐震補助を受けるためには135床にしなくてはなりません。簡単に結論が出ないかも知れません。

 地域振興協会への繋ぎ要望の話がまだくすぶっています。「再度要望していく必要性も指摘された。」とはどなたが指摘したのでしょうか。 (伊豆新聞の記事で判明。) 既に現病院内では来年3月の契約期間満了後の対応が個別具体的に始まっているようです。あの運営協議会から既に4週間。とっくに時間切れです。

 7月上旬に組合議会臨時会…百条委員会の最終報告はいつになったら出るのでしょうね。

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 伊豆新聞の下田支社の紙面には関連記事が掲載されていたと、教えていただきましたのでご紹介します。静岡新聞に書かれていなかった点だけ抜粋します。

  • 指定期間は平成24年5月7日から15年間。
  • 二次救急と災害拠点病院として充実を図る。
  • 院内処方の方針。
  • 土曜午前中は診療する。
  • 医療スタッフは、JMA関連医療機関、大学医局、新規募集、ヘッドハンティングで確保。
  • 敷地内に医療スタッフ用宿舎の建設を求めている。
  • 現病院跡地への診療所の設置、老人保健施設の運営を担う意向。
  • 医療空白への対応について管理者側から明確な対応策は聞かれなかった。
  • 東伊豆、松崎町長は、「空白が生じないよう地域医療振興協会と再度話し合うべき。指定管理者の辞退や書類の問題が生じないよう慎重に進めてもらいたい。」

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 追加の感想です。

 平成24年5月7日からの指定期間という事で、新病院の開院は予定通りの日に間に合わせるつもりのようです。昨年秋の時点では、設計協議 平成22 年1月~3月、詳細設計 平成22年4月~6月、確認申請 平成22年7月~10月、建設工事 平成22年11月頃着手、平成24 年2月完成を目標、開院予定 平成24年5月 となっていました。7月に指定管理者が議決されたとしても、その後に協定書を結び、ようやく設計協議に入る事ができるはずです。(基本設計の大幅な見直し作業も含まれます。) 間に合うのでしょうかね。

 やはり災害拠点病院とする計画のようですが、154床では補助金がもらえません。補助金を諦めるか、なんとか特例を認めさせるのか、病床削減をJMAに説得するのか、ちょっと議論になりそうです。

 院内処方の提案ということで、下田・南伊豆の調剤薬局への経営インパクトが懸念されます。地区最大の病院が院外処方から、休止、その後も院内処方化では、受け取り処方せん枚数が激減してしまいますから。そして、154床急性期病院を完全に院内処方にすると、相当数の薬剤師が必要です。以前にも書きましたが、薬学部の4年制から6年制以降の狭間で、需給バランスが大きく崩れる時期でもあり、人員を確保できるのか。もちろんその辺も勝算があっての提案なのでしょうけれど。

 医師確保…寄附講座の予定は書かれていませんが、寄附金の行方はいかに?

 聖勝会さんの応募資料にもあった職員住宅。昨年はこれを認めなかった?と思うのですが、今回はどうするのでしょうか。建設費用はJMAさんの自己資金でしょうか。敷地は足りるのでしょうか。

 上でも書きましたが、協会に繋ぎを依頼するというのは、もう諦めてほしいと思います。既に来年度に向けての具体的な動きが始まっています。しかし、正副管理者は解決策を提示できていないようです。

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