湊病院問題 平成23年4月からジャパンメディカルアライアンスが別法人を設立して現病院を運営する意向
一部報道で情報が流れ始めました。
日テレニュース24
この報道によると、ジャパンメディカルアライアンスが、別法人を設立して平成23年4月以降現病院の運営をおこなうという意向のようです。「何故に別法人?」と誰もが思うわけですが、今のところその理由は報道されていません。
情報が入り次第、書き足して行きたいと思います。
西の住民さんのコメントによると、経営面の支援など5項目の条件付きの様子です。
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[10月2日朝追記]
YOMIURI ONLINE にも記事が掲載されました。
これによると、組合とジャパンメディカルアライアンスが合意したと書かれています。昨日のジャパンメディカルアライアンス理事会から、本日の記者会見までの間に組合議会や運営会議(組合構成6首長の会議)が開催され、前提条件について検討し合意がなされたのでしょうか。それとも、また正副管理者の独断で合意と発表してしまったのでしょうか。 伊豆新聞の記事によると運営会議が開かれた模様です。
医師10人、看護師20人を確保すると書かれていますので、病棟は1つ(50床)しかオープンできないと考えられます。診療科は内科、外科のみとなり、二次救急や急性期医療を重点的に運営すると書かれています。医師数の割に診療が細々過ぎる気がしますが、外来を支える医療スタッフが揃わないからでしょうね。これまで定期的に通院している患者さんについては、周辺医療機関へ紹介するのでしょうか。医師数10名とは非常勤を含めた数字なのでしょうね。まだわからない点が多いです。
「別法人」の件について少し解説がありました。社会医療法人は医療法の規定で都道府県を超えて事業を行うことができないそうです。ジャパンメディカルアライアンスは神奈川県と埼玉県でしか医療機関を経営できないのですね。だったら、そもそも新病院の運営もできなかったはずですが…^^;)
「当面は既存の医療法人と協力して新法人をつくり、病院を運営する。」と書かれています。新規に法人を立ち上げると平成23年4月に間に合わないからでしょうか。しかし、既存の医療法人と協力してという所が大変気にかかります。まさか、あの辞退法人の名前が再浮上したりしないでしょうね。
「数千万円から億単位」と想定される赤字補填についても組合が行うのだそうです。あの大久保寄附金2000万円も、医師確保資金の名目で投入されるのでしょうか。
なんだか、構成市町でクリアすべき課題が、沢山出てきそうな予感がします。
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[10月2日午後追記]
10月2日付け伊豆新聞、静岡新聞、毎日新聞の記事を拾いました。
伊豆新聞
- ジャパンメディカルアライアンスの杉原理事長が、共立湊病院組合運営会議で平成23年4月からの指定管理者を受託する考えを回答。記者会見で、医療空白解消のため全力を挙げて取り組む姿勢を示した。
- 新法人設立の承認、経営上の赤字損失補てん、平成22年度中の人材確保に要する費用など経営面の支援、診療内容への理解など受託条件を提示。
- 組合管理者の南伊豆町長は、組合としてできる限りの対応をしていくと述べた。
- 県内医療法人と提携した新たな法人を立ち上げる。
- 当面の診療科目は外科、内科の二次救急医療が中心。救急医療に必要な医師10人、看護師20人程度を確保し、50床規模で運営していく。
- 社会医療法人の形態で指定管理者を受けるためには地域の医療実績と静岡県知事の認定が必要になる。
静岡新聞(重複する情報は省略します)
- (受託条件について)準備期間が短いため、現行の医療サービスを維持するのは困難で、診療科の縮小は避けられない。
- 杉原理事長「人材確保など不安定な部分もありリスクを背負った形となるが、半年間で準備を進めたい」と厳しい表情で語った。
- スタッフをさらに確保できれば、小児科や整形外科を拡充する方針。
- JMAは10月に2回、同病院の看護師を対象とした説明会を開くなどして、スタッフの確保を急ぐ。
- 石井下田市長「厳しい中でのスタートとなり、われわれも住民に説明し、現状を理解していただく必要がある。徐々にスタッフが確保できれば診療科目も増やせるが、しばらくは我慢してもらうしかない」
- 暫定期間中の赤字について、組合は運転資金から補填する。
- 社会医療法人であるJMAは医療法上、県内で医療行為をできない。そのため年内にも県内にある医療法人の協力を得て新医療法人を立ち上げ対処する方針。前倒しによる影響が出た形。新病院開始となる12年5月からJMAは社会医療法人として運営を始められない可能性が高い。今後県内での社会医療法人格の取得、新法人との一本化を目指すことになる。
毎日新聞
- 組合管理者南伊豆町長「不安が払拭された。安定した医療を提供するため、総力を挙げて取り組みたい。」
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ちょっと情報を整理しておきます。だいたい正副管理者の予言(リークともいう)通りの内容だったようです。
①平成23年4月以降の診療体制について
内科、外科2科。50床での運営。医師10名、看護師20名との事です。
今、伊東市民病院の、ある内科系病棟の看護師数をカウントしてみたらちょうど20名でした。つまりこのスタッフ数というのは、急性期病棟の運営だけで手一杯の数であり、外来をやる余裕が全く無いという事です。という事で、診療科目が減るというだけではなく、一般の外来診療をする事が難しく、救急外来しか出来ないのではと懸念されるわけです。手術スタッフの確保もなかなか大変ではないでしょうか。特に緊急手術は全く不可能でしょう。
現在湊病院に通院している患者さんたちが、他の医療機関への転院を必要とするという事態は、いわゆる「医療空白」(指定管理者不在期間)の場合とほとんど変わらない可能性があります。
組合管理者は「不安が払拭された」と言っていますが、杉原理事長の厳しい表情の方を重くみるべきですね。おそらく日本で前例の無い、大変なチャレンジとなります。
②赤字補填について
予想される赤字の金額は、数千万円から億単位だそうで、特に上限の話は出ていません。何億赤字が出ても全額補填するのでしょうか。一部事務組合は「運転資金」から補てんを行うとの事です。またこれとは別に「平成22年度中の人材確保に要する費用」の支援を希望しているそうです。これは大久保婦久子さん寄付金2000万円の活用を意図したものという気がします。
組合の運転資金とは、結局、地域医療振興協会が本来受け取る契約であったのを返上し続けていた普通交付税の7割相当額や、平成15年度以降に新病院建設のために支払ってきた負担金 総額3億4000万円などが原資になっている物と思われます。
構成市町に追加の負担を求めない事で、6首長の合意を得たものと思われますが、一部事務組合の手持ち資金が枯渇した場合はどうするのか。枯渇しないまでも、将来的な一部事務組合の安定した運営のためには、予備資金の減少は大きなリスクとなりそうです。変な委員会や、視察旅行にお金を使う余裕は無くなりますね。
③別法人について
社会医療法人には多くの優遇措置があり、社会医療法人債の発行、医療保健業(本来業務)の法人税非課税、収益業務への公益法人並み軽減税率(22%)適用、社会福祉法人並みのみなし寄附金制度(所得金額の50%上限)、固定資産税・都市計画税・不動産取得税非課税などが定められています。その代わりに認定には厳しい基準が設けられているわけです。
結局、静岡県で実績の無い社会医療法人ジャパンメディカルアライアンスは、静岡県で医療機関を運営する事が出来ないはずだった事がわかりました。※もし運営する場合は社会医療法人の認定を返上し、免除されていた税金を過去に遡って全額支払う必要があるようです。これは事実上不可能でしょう。
じゃあ、新病院の指定管理者も本当はできないはずだった事に…。(組合幹部は気づいていなかったのか、隠していたのか。)別法人を設立して実績を積み、静岡県知事から社会医療法人として認定を受けた後に、ジャパンメディカルアライアンスと統合するというプロセスは最初から必要だったようです。
静岡県内の医療法人と協力して立ち上げるという新法人ですが、協力する既存の医療法人も当然、現病院や新病院の運営に関係する事になるはずです。また、社会医療法人として認定されるまでは、全事業に法人税が30%課税される事になり、財務計画に影響が生じる物と推測されます。
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コメント
どさくさに紛れて、あれもOKこれもOKとなるのでしょうか?
火事場泥棒が横行しなければ良いのですけれど。
赤字補填の件と既存法人云々の件は特に引っかかります。
本当に簡単にOK出してしまって良いのでしょうか?
何か道理が通ってない気がするのです。
皆さん、いかがお考えでしょう?
投稿: 案山子 | 2010年10月 2日 (土) 09時45分
河津総合病院の事も書かないのかな?
何かあるのかな?
投稿: | 2010年10月 2日 (土) 14時20分
案山子さん、コメントありがとうございます。
まあ、切羽詰っての交渉はどうしても譲歩せざるを得ないですね。色々ありましたが、結局は多額の財政出動を要する事になりそうです。
匿名さん、コメントありがとうございます。
内部の事にせよ外部の事にせよ非公開の情報は書けません。^^ もちろん知らない事も書けませんが。
伊豆下田病院は来年4月に向けて、外来部分の改装工事を始めるとの事です。手狭で古い設備ですので、将来的には河津町内への新築移転の計画があり、明日の町議会選挙の争点のひとつにもなっていますが、町立病院になるわけでは無いようです。
http://kinojun.cocolog-nifty.com/blog/2010/09/post-6fd1.html
http://kinojun.cocolog-nifty.com/blog/2010/10/post-600c.html
また、公開できる話が出てくれば書きますが、ここは個人のブログであり広報では無いのであしからずご容赦を。
投稿: きのじゅん | 2010年10月 2日 (土) 16時42分
既存の医療法人と協力して立ち上げるという別法人について、一つ注意しておくべき点があります。共立湊病院への赤字補填が、結果的にその既存医療法人の経営支援になる事がないように、会計内容について厳密なチェックが必要な事は当然です。とはいえ、利害関係者に会計監査を頼んだのでは何の意味もありません。そういう事にも注視しておく必要があると思いました。
投稿: きのじゅん | 2010年10月 4日 (月) 12時47分
\(*`∧´)/
・JMAは指定管理者を受託することができないのに、約束していたって、どういうことでしょうね?元々、資格のない者だったとは・・・。
・更に、赤字補填とは・・・。
地域医療振興協会をはずすという目的を達成したら何でもありみたいですね。
一部事務組合の首長、議員さん、一体全体どういうことですか?
又、安い病院を作ると住民をだました?お方は・・・。
投稿: 一患者 | 2010年10月 4日 (月) 22時23分
一患者さん、コメントをありがとうございます。
新病院の方も指定管理者を受けるのが別法人になるのだとしたら、指定管理者議決も協定締結も無効になって、再度やり直さないといけないのではないのでしょうか??
とにかくあと半年しかないので、なりふり構っていられないのだとは思います。ジャパンメディカルアライアンスさんも、混乱に巻き込まれて大変です。スタッフが確保できなければ、最悪「新法人」の設立が認可されない可能性もあるようです。もし、ジャパンメディカルアライアンス本体から多数の職員を伊豆に派遣するようになれば、海老名や東埼玉の方にも影響が出てくる可能性も…。
投稿: きのじゅん | 2010年10月 5日 (火) 21時55分