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2010年12月20日 (月)

湊病院問題 平成22年9月下田市議会議事録を読む2(9月9日藤井六一議員一般質問)

 今回は9月9日の議事録から抜粋です。まずは、藤井六一議員の一般質問からです。長くなってしまうので、ポイント部分だけ出していきますが、この日の議事録はなかなか読みごたえがあります。また抜粋はしていませんが、これまで組合が頑なに公表を避けていた、某法人の名称があっさりと公文書に掲載されてしまいました。

PDF2ページ 藤井六一議員一般質問

 一部事務組合構成市町の厳しい台所事情もわかります。しかし、現在、構成市町が支出している病院組合への負担金は、国からの交付金をそのままスルーしているだけで、市や町の懐には一切関係はありません。公立病院といっても、自治体は全く財政的な負担をしていないのであります。賀茂圏域の市や町は、これでも公立病院を経営していると胸を張って言えるでしょうか。

PDF3ページ 藤井六一議員一般質問

 総務省は、会計方式が異なる病院の企業会計であっても、やむを得ない場合は市町の一般会計から適正な繰り入れを行い処理をしてもいいと、全国の自治体に対し自治財政局長名で通達を出しています。金は出さないが口は出す、そういう総務省の体質をよくあらわしているようですけれども、このことは病院会計に余裕はないけれども、どうしても不採算部門の診療をしたい、そういうときは一般会計からの繰り入れを特別に認めるというものであります。

(中略)

 賀茂医療圏域の医療機関の数は合わせて57機関で、このうち病院は精神科を除くと8病院になります。この8病院が備えている病床の数は、一般病床が394床、療養病床が718床、賀茂医療圏は県下でも唯一、療養病床が一般病床を上回る圏域だそうです。この少ない病床のうち154床を公立病院である共立湊病院が占めていることになります。共立病院は、今や賀茂圏域の救急医療、急性期医療を担うかけがえのない存在になっております。

(中略)

 現在、このJMAとの間で話が進んでおりますが、住民から聞こえてくる声は、このJMAを次期指定管理者に選定した仕方が公平・公正ではなかったのではないかということであります。公募に応じなかった地域医療振興協会や途中で辞退した聖勝会に提示された公募条件とJMAに提示された募集条件の内容が著しく異なっており、これが不公平・不公正ではなかったのかということの理由であります。

 例えば、病院組合が購入する予定の医療機器の問題があります。地域医療振興協会は、4億円の予算では質のいい医療に対応できないので、もう少し増額できないかという要請をしたようであります。しかし、これには納得のできる回答はなかったそうです。ところが、JMAには4億円の予算にさらに1億円を上乗せし、5億円の予算計上をしております。

 このほか、病院の職員住宅の建設問題があります。職員住宅は途中で辞退した聖勝会も、病院に隣接して建設してほしいという要望を出しております。これに対し、病院組合はこの申し入れは却下しております。ところが、JMAの同じような申し入れに対しては、病院に隣接して2棟の職員住宅を建設することを決めまして、既に約4億8,000万円の事業費が議会で承認されております。

 また、指定管理者の公募条件の中に、減価償却費の全額負担という項目があります。ところが、JMAが病院組合に提出した指定管理者申し込みの申請書に添付してある収支計画書によりますと、減価償却費は全額支払う。しかし、これに見合うくらいの額が病院組合からJMAに支払われるようになっている、そのように読み取れます。減価償却費を全額支払っても、国からおりてくる、交付される交付金が一定割合で交付されるという内容で、もしこれが読みどおりだとしたら、指定管理者には新たな負担は生じません。しかし、その分病院組合は減収になります。これからの組合運営の支障にならなければと思います。

PDF10ページ 市長答弁

 8番目のご質問の中で出てきました、いろいろ市民が言っているよというようなことの中で、現病院、あるいは聖勝会の段階と違って、このJMAさんに対しての問題点ということがいろいろ出てきました。これは多分市民が言っているというよりか、一部の方々、普通の市民がこんなことまで知っているはずはないわけでありまして、こんな減価償却の減額どうなのかとか、職員寮に4億8,000万かけるのはいかがなものかなんていうことは、僕は市民から一言も言われたことありませんし、多分多くの方々がそういうことを不公平だとか、心配だとかと言っている議論というのは全くないというふうに僕は考えております。

(中略)

相手方に、前もそうでしたけれども、この地域でそういう大変な病院を受けてくれるという医療法人に対して、まずは来ていただくことに対してのありがたさということを感じていただかなければならないと思います。よく言われるように、実際にそこが経営できるのかとか、途中でほうり出したらどうするんだとかと、こんなことを言うから、もう相手側が嫌になってしまうわけでありまして、今までの経過の中で、実際そういう事実がありました。

 本来であれば、やはりこれだけの過疎の地域に、それだけの使命を持って来ていただける医療法人がある。それも今回は好条件の中で、大変普通では全国の公立病院では考えられないような条件を出した中でやっていただけるところがあるということに、まずは感謝ということを我々は持って、じゃそういう問題点にどうやって協力していこうかということを考えることが必要であって、

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 「そんな細かい事まで普通の市民が知っているはずが無い、だからそんな議論は全く無いのだ」という発言には驚きます。普通じゃない一部の人だけが問題だと騒いでいるだけで、大衆は知らないのだから問題は無いという事なのでしょうか。

 また、聖勝会の辞退に関して、色々言われて相手が嫌になってしまったからであるとの認識を持っている事が示唆されているのかと思います。

 更には、今回提示した指定管理者の公募条件が、「普通では考えられないような条件」である事をつい素直に言ってしまわれたようです。

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PDF12ページ 健康増進課長答弁

 月別救急患者数という統計調査がございまして、この中で救急車が共立湊病院に搬送している部分があります。その中で、時間内と時間外に分けての統計がございます。まず、救急車の時間内の搬送件数が520件でございます。通常、救急時間外、休日、夜間、こういったものの搬送がちょうどきりのいい数字で1,000件という数字になってございます。それと、あと患者が直接受診されている、時間外に直接患者が行かれた部分があります。こういったものも救急の一つとしてとらえれば、その数字は3,328件という数字がございます。なお、この中に下田の住所の方は750件ということでございます。

 これから三次救急、ドクターヘリのほうへ搬送された件数は21件という、こういった数字がございます。直接搬送するということで、一次と二次の仕分けがなかなか難しいという部分もありまして、そういった部分の仕分けができてないということで、今言った数字で回答とさせていただきたいと思います。

PDF17ページ 市長答弁

 実際に昨年、21年度で共立病院に救急車で搬入された方が1,522人というふうに聞いております。いわゆる救急で運ばれる患者さんの軽症から始まって重症の方というような形で考えますと、私も一応消防の管理者でございますから、消防組合からデータをとってあるんですが、昨年度共立に運ばれた軽症の方は1,522人のうちの597人で、中等、重症、それから死亡ですね、亡くなられた方も含めますと、そういう感じでいけば920人ぐらいがいわゆる二次救急の対象者になるというと、今議員が心配されておりました一次救急の関係ですと、約600を切るぐらいの患者さんが、これは共立へ運ばれた患者さんということでございますね。

 ですから、これも含めて1,500人ぐらい、現状よく使われる二次救急、一次救急を含めて共立へ運ばれた患者さん対応ができる救急体制をとれば、その辺の問題は議員がご心配する市内の病院、クリニックなんかに搬送されることがやたらに増えるというふうには考えておりません。ですから、こういうことを踏まえて、JMAさんのご返事をいただければ、そういうことについても我々は責任を持ってお願いをしていこう、こんなふうに考えております。

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 市長さんは、救急車以外で直接病院に受診した人は救急患者としての計算に入れていないようです。もちろん直接来院者の中にも中等症以上の方が含まれています。

 賀茂地区では平日時間外の診療体制が無く、週末についても賀茂医師会の救急当番表を見てわかる通り、穴だらけの状況です。下田・南伊豆の時間外診療を、共立湊病院が一極集中で受けている現状について、随分と過小評価しているのだなと思います。

 実際、この年末年始の一次救急当番表を見たら、現状がよく分かるでしょう。共立湊病院と西伊豆病院が無かったら、賀茂郡の医療は一次救急すら成り立っていないのです。

 二次救急に特化するという事は、一次救急の体制を整備する事と表裏一体でなければ成り立たない話のはずですが、そういう計画は全く出ていませんし、何も考えられていない事がよく分かります。

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PDF17ページ 市長答弁

 ですから、24年の新病院開院のときの申請書の中にあるように、やはり受けたときに患者さんがいなければ、もうスタートはその程度になっちゃうわけじゃないですか。今だってもう共立は150床あるのに、多分70床過ぎぐらいの患者さんしか入院させてませんよね。ということはもう50数%の稼働率という、もう今でさえ来年の3月までやらなければならない、管理者がそういうもうていたらくのことをやっているわけですよ。はっきりそれは我々は来年の3月まで指定管理者としてしっかりやってもらいたいというお願いがある中で、そういう状況でございますので、23年、来年の4月から受けて、例えばスタートが50床でスタートしても、今度は24年の3月の段階でそれが60になり70になりという可能性は十分ある。それが3年平均の中で下回った場合に交付金の問題にかかっていくというふうに我々理解しておりますので、その心配はないという判断をしております。

PDF20ページ 市長答弁

 それから、先ほどちょっと僕、答弁の中で行き過ぎた発言があったんじゃないかなと思って、今反省しているんですが、今共立さんを受けている病院でどんどん患者さんが減ってますね。受けないという事態も出て、市民からも文句が出てます。そういう中で、病床の稼働率も、もう150のベッドを持っているのに70人ぐらい先という数字で、パーセントでいけば57%、こんなていたらくのことをやっていてはというような話をしましたけれども、大変協会に対して不謹慎な発言をしたことは、一応この議会の中でおわびを申し上げておきます。

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 ていたらく 発言の後陳謝しておられましたので、議事録削除になったのかと思いましたが、陳謝の部分を含めてしっかり残っていました。患者数減少は事実だと思いますが、病院だけにその責任を負わせるのはいかがなものでしょうか。混乱を招いている一部事務組合にも責任の一端はあると思いますが、まるで人ごとのようです。

 新しい指定管理書への半分ぐらいでもいいですから、実際に今地域の医療を支えている現病院職員にも信頼と思いやりと協力の姿勢を示してくれたらという気持ちになります。

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