湊病院問題 平成23年3月23日賀茂地区救急医療連絡会に関する各紙記事
3月24日の新聞各紙に、23日の賀茂地区救急医療連絡会に関する記事が掲載されていました。
まずは、3月24日付け伊豆新聞から。
- 3病院対応で合意 2次救急輪番手直し
- 賀茂地区救急医療連絡会が3月22日夜、4月からの2次救急医療実施計画を主題に開かれた。
- 西伊豆、伊豆下田、共立湊の3病院が輪番対応する事で基本合意した。
- 幹事の石井下田市長は、SMA運営の共立湊病院が第1週土曜日、月内の月木曜日の計9日を担当する変更案を提案。
- 西伊豆病院仲田院長「西伊豆の患者を優先するが、3病院で輪番制を行うことは望ましい。ゆとりがあれば他地区の搬送も受け入れる」
- 伊豆下田病院吉田院長「緊急手術などに備え、医療スタッフは常に待機している状態にある。疲弊しないように何とか休ませたいと願っている。天城越えの救急搬には医師が必ず付き添っている。2次救急を充実するためには、1次救急の診療機関の協力が欠かせない。」
- SMA杉原理事長「共立湊病院の緊急手術は1520件の内、40件で全体の約3%。得意、不得意の分野はあるが対応していきたい。医療スタッフの負担を減らす意味からも3病院の輪番制を提案した。」 5月に外科医師が加わり医師確保の努力に理解を求めた。
- 賀茂保健所「1、2次救急は自治体の責任。輪番制に関して県に報告する義務は無い。」
次に、3月24日付け静岡新聞です。
- 賀茂地区の3病院で2次救急医療実施へ
- 下田市が3病院の輪番による2次救急体制を提示。病院代表者は了承した。
- 組合は3病院による2次救急の実施を主張。しかし県が共立湊病院に医師を派遣しない方針を固めた事で同院が2次救急を実施するのが困難になっていた。
- 西伊豆や伊豆下田側から「医師不足の中でこれ以上、医師を確保できるか」「緊急手術の受け入れはどの程度できるのか」などと厳しい意見。
3月24日朝日新聞にも記事が掲載されていました。重複部分は省略します。
- SMA杉原理事長 常勤医師3人を確保したと報告。「1、2次救急を担うことは可能」
- 石井下田市長「3病院の連携がとれたとこを近く知事に報告し、医師派遣を再度要望する。」
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同じ3月24日、伊豆新聞は、静岡県の曽田医療健康局長へのインタビュー記事を掲載しています。インタビュー記事を要約するのは難しいので、私が重要と思った部分を抜き書きします。
- 真剣に医師確保を 努力には支援で応える
- 局長は、地元が少しずつ努力し始めたことを認めながらも、まだまだ不安はぬぐえないと厳しく語った。
- 派遣中止を契機に首長の意識が変わり、結束も強まったようだが
「1人の医師を確保することがどんなに難しいか、SMAに任せっきりにするのではなく首長も真剣に考えてほしい。どこの病院も自治体も必死にやっている。 - 当面の2次救急体制は
「2院より3院の方が安心というのは分かるが、中途半端な体制で輪番制を組むのはどうか。緊急手術もできない体制では、他の2院も待機せざるを得ず、当直と同じ。これどは"ドミノ倒し"になりかねない。それより月に何日かでもSMAに任す日をつくり、他の2院を休ます事を考えたらどうか。その間に強化すべきでは。」 - 県が地域に望むのは
「組合も、首長一人一人も、そして住民も、今後の医療をみんなで真剣に考えてほしい。(中略)無理に格好だけ繕っても意味がない。県としては1年間の「猶予」があると考えている。」
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ここからは、感想です。
連絡会を傍聴した方や、出席者から聞いた話、ブログに寄せられたコメントなどと比べますと(関連記事1,関連記事2)、伊豆新聞の記事の纏め方はあんまりです。西伊豆病院や伊豆下田病院関係者の発言を、組合や下田市長にとって都合の良いようにアレンジしているように思えます。せっかく、具体的な問題点を多数指摘しているのに、それをしっかり伝えていません。
静岡県の曽田局長さんは「無理に格好だけ繕っても意味がない。」と見透かしています。
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コメント
伊豆新聞の仲田先生発言「3病院で輪番制を行うことは望ましい。」って言いましたっけ?望ましい何て言ってなかったような・・・。むしろ3人で2次救急を担うことは医師の負担が大きいことを心配してました。
他のひとのコメントでもありましたが、同新聞のSMA杉原理事長「共立湊病院の緊急手術は1520件の内、40件で全体の約3%。得意、不得意の分野はあるが対応していきたい。」ではなく、3%のために2次救急を止めなければならないか?3病院のほうが負担が減るお強調していたような。。。どうも・・・ですね。
投稿: みなみ | 2011年3月25日 (金) 16時01分
皆様、多くのコメントをありがとうございます。新聞よりもよっぽどタメになりますね。
得意な分野だけは受け、不得意な分野は他院に任せる、というのは、都市部では一般的に行われている事だと思います。なかなかその患者さんにとって「得意」な病院が見つからない場合があります。これをマスコミは「たらい回し」と呼びます。(もっとも「不得意」分野で無理して医療事故を起こすと、更に批判を浴びる事になりますが。)
伊豆半島南部の場合に同じような事をするとどうなるか。ブログ読者の皆さんには予想がつくと思います。
救急車を呼ぶときは、医療費の他に、帰りのタクシー代も忘れずにご持参下さい。
投稿: きのじゅん | 2011年3月25日 (金) 19時13分