女川町医療支援活動報告12 家庭訪問ローラー作戦1
女川町では役場の建物も津波によって壊滅し、重要な書類も失われました。もともとの住民の方が、どうなっているか早急に把握する必要がありましたが、通信手段も失われた状態であり容易ではありません。そこで町内の無事だった住宅を全てしらみつぶしに巡回して、居住者や避難者を把握し、隠れた医療ニーズの掘り起こしを行うことになりました。町では「ローラー作戦」と呼んでいました。
私は今回の支援活動中、延べ3日間ローラー作戦に参加しました。役場の保健福祉課の職員の方と、石川県内の各自治体から支援に入っている保健師さん、そして医師の3名で1チームです。まあ、主役は役場の方と保健師さんであり、医師はおまけみたいなものです。各家を回り、被災状況を確認。居住している人がいれば役場の職員の方が世帯の構成や、他地区から避難している人が居ないかを調査します。その後保健師さんが、体調を崩している人や、精神的に参っている人が居ないかなどを尋ねます。医師は必要に応じてアドバイスをします。
4月1日は、2チームで手分けをして鷲神浜地区の一部をまわりました。地区に足を踏み入れた役場の方が絶句しました。「こんな所まで津波が来ていたとは。」 持参していた住宅地図に全壊を示す×が沢山書き込まれました。
かなりの高台にもかかわらず、小さな沢に沿って津波は容赦なく押し寄せていました。沢から側方に伸びていた堀がかろうじて津波をせき止めたため、この堀から上の家は無傷。1軒下は床下浸水。その下は床上浸水。そこから下流側は完全に壊滅していました。(右写真) 床上浸水した家の方は2階に避難していたそうですが、朝になったら隣の家から下が無くなっていて震え上がったそうです。
この地区の区長さんは、地区内にある老人憩いの家が心配で様子を見に行き津波に流されて亡くなられたそうです。ご家族は区長の責任を全うした事を誇りに思うと語っておられました。水産加工場を経営していたお宅では、住宅や家族は無事でしたが、自分が創業した加工場を失ったおじいさんが気落ちしていて心配なので、孫を一緒に行動させて孤独にさせないように気を付けていると話していました。
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