女川町医療支援活動報告19 土曜外来診療
5月28日土曜日。朝から雨が降っています。土曜日は午前8時30分から12時までの半日が通常の外来診療です。
前回訪問時(3月31日~4月7日)の外来診療の様子は、こちらの記事をご覧ください。
当時はセンターアトリウムの限られた空間に、受付、待合、診察室、薬局が設置され、リハビリ室を処置室と災害対策本部として利用していました。
その後、支援部隊の寝泊まり場所が、院内の会議室から電気、水道の復旧した職員住宅に移動。開いた会議室に事務室が移動、リハビリ室に診察室が移動。外来診察ブースがリハビリ室に移動。
そんな玉突き転用の結果、センターアトリウムには受付、待合と薬局が残りました。写真1枚目が受付です。後方はかつて診察ブースだった場所。左側は福祉避難所(元老人保健施設)への渡り廊下への入口です。
その右手に薬局があります。(写真2枚目)センターアトリウムの大きな窓は、保管薬剤に直射日光が当たるという点で問題がありましたので、写真のように暗幕が張られました。薬剤保管場所も分類棚ができて、随分とすっきりしました。反面診察室と離れた事で、医師にとっては在庫薬のチェックがしにくくなりました。
3枚目の写真がリハビリ室内にできた新しい診察ブースです。かつてはカーテンなどで仕切られていましたが、ご覧のようにしっかりした目隠しの仕切りができました。診察ブースが3つ並んでおり、手前右側に4診目が作られています。
4枚目の写真が診察ブースの中です。以前に比べるとかなりゆとりのある配置となり、全部の診察ブースに机とコンピュータ、診察台が設置されています。コンピュータは電子カルテ端末ですが、現時点では処方のオーダリングにのみ使っており、カルテの記録、検査、レントゲン指示、病名登録などは紙カルテ+紙伝票ベースで行われています。サーバーには震災前の処方と検査のデータが残っており、もともと町立病院に受診していた患者さんについては過去情報が少し参照できるようになったのはありがたい事です。
院内でできる検体検査は簡易型のドライケムと血算、血糖に加えて、CRPとプロトロンビン時間の迅速検査ができるようになりました。また、月~金の午後3時までであれば外注検査もできるようになっていました。
レントゲンは前回と同じ簡易型の機械1台ですが、フィルムへの出力ができるようになりました。しかしCTの復旧はまだまだ。その他、超音波診断装置と、上部下部消化管内視鏡が利用可能になりました。
以前との大きな違いは、無償の救護所から、5月16日より保険医療機関としての保険診療が開始された事です。(避難所の巡回診療と自衛隊救護所は終了となりました。) 平日の外来患者数は150-200名ですが、28日間処方が開始されたので、今後はもう少し減少する見込みです。5月28日は雨の土曜日という事で、50名強に留まり、比較的ゆったりと時間をかけて診療する事ができました。
診療内容も、「とりあえず急場を凌ぐ」から、通常通り「主治医療機関としての責任をきちんと果たす」という事への移行を意識して、過去処方の見直し、再調整なども行うように心がけました。
総合診療外来なので、本日は外科系の処置も多く担当させていただきました。瓦礫の撤去作業をしていて、足で釘を踏み抜いた方が二人来院されました。一人は昨日、もう一人はなんと3日前の受傷でした。治療する立場としてはその場で来院して欲しい所ですが、痛くても我慢して作業を続けていた模様で、大変だなあと思います。
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