書評 「アジアで出会ったアフリカ人」
久しぶりのアフリカネタです。
「アジアで出会ったアフリカ人―タンザニア人交易人の移動とコミュニティ」という本を購入し読みました。(右サイドバーの下の方にある「最近読んだ本」の中にも追加しました。)Japan Tanzania Tours (JATA tours)さんのメールマガジンでご紹介いただきました。
この本は、「マラウイを知るための45章」の著者、「タンザニアを知るための60章」の共著者である、立教大学 栗田和明 教授 が書かれた本です。栗田教授の個人ホームページ アフリカ案内 は大変楽しいアフリカの情報が溢れています。
アフリカに関する本ですが、野生動物などの自然や文化に関する事は全く出てきません。本に書かれている事は、殆どの日本人にとってはあまり関心が無いことかと思います。それだけに、大変に貴重な研究です。
タンザニアを中心とした東アフリカと、タイ、香港などとの間で個人交易をしている人々や、更にはタンザニア国内、タンザニアとマラウイなどの周辺国との間で交易をしている人々の姿を通して、インフォーマルな経済活動の実情や、それに従事する人たちの生活を浮き彫りにしていく物です。マーケットの一区画の家賃が思ったよりも高いのに驚きました。マラウイの首都リロングウェ旧市街のブワイラ通りで、15平方メートル程の広さの店舗の賃貸料が3万MKw(マラウイクワチャ)≒2万2000円 と書かれていました。私が訪問した2003年当時と比べてどの程度物価が変動したのかわかりませんが、学校の先生の月給の2ヶ月分以上の金額です。
アフリカの普通の住民が、近距離の交易で資金を貯め、国際交易に乗り込んでいくたくましい姿には、ああ、人間ってちょっとした知恵と勇気があれば結構色々な事が出来るのだなあと感心させられます。
本を読みながら、首都リロングウェやマラウイ各地で訪問したマーケットの賑わい、品物、安食堂の料理、そして独特の匂いを思い出し大変懐かしくなりました。あのマーケットに並べられていた、Tシャツが、サンダルが、アフリカ人によってアジアで買い付けられ、空路や海路でダルエスサラームに運ばれ、そこから陸路で国境を越えてたどりついたのだと思うと、感慨深いものがあります。
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