湊病院問題 一部事務組合構成市町の議会が始まる
ここ1ヶ月ほど共立湊病院をめぐる報道はすっかり陰をひそめてしまいました。しかし今週から、共立湊病院組合を構成する各市町の議会が順次はじまります。先日の伊豆新聞の報道によると、南伊豆町議会の一般質問で共立湊病院や、移転後の跡地利用の問題が何名かの議員さんから取り上げられる予定です。今週末から来週初めにかけて、伊豆新聞で関連の報道があると予想されます。
平成23年4月以降、組合幹部から記者会見などを通じて現状について説明する報道は有りません。組合ホームページに関しても、管理者あいさつが平成20年11月から変わっていないなど、更新が止まっている状況です。静岡県知事が求めた”こうした事態に至った原因・責任の所在を住民に分かるように丁寧に説明”がなされたと言えるでしょうか。平成23年4月の共立湊病院の診療実績で、入院・外来とも患者数が大幅に減少している事は4月29日の静岡新聞や、5月4日の伊豆新聞の記事で報道されていますが、これも記者の方の署名記事や、インタビュー記事が元で、一部事務組合からの公式の情報発信では有りません。
共立湊病院組合の当初予算では、入院が70人/日、外来は270人/日となっており、これで病院事業収益 17億4642万5000円、病院事業費用 19億1955万7000円、純損失1億7316万3000円を見込んでいました。
平成23年4月以降の実績は直接公表されていませんが、上記報道によると入院は4月末で18人、外来は40-100人/日程度との事ですから、入院は計画の約1/4、外来は計画の1/6-1/3程度です。もしこのままだと事業収益は5億円を割り込みそうです。計画通りでも1億7千万円の純損失を見込んでいたのですから、赤字補填を約束している組合財政の先行きが大変に危惧される所です。赤字補填については、半期での仮払いも約束されているとの事ですから、今年度末を待たずに、この秋には財政上大きな問題が生じる恐れがあります。
参考までに、共立湊病院の昨年度(地域医療振興協会の指定管理最終年度)実績では入院約84人/日(前年度比-19人)、外来約214人/日(前年度比-58人)と、組合議会等でも批判された通り成績が奮わず、事業収益は約16億円に留まり、移譲以来最悪の約2億円弱の赤字決算で終わったようです。(協会に対しては赤字補填が有りませんし、協会から組合へ3000万円の負担金支出も約束通りなので、組合側の会計に病院の赤字の影響はありません。)
各市町の議会では、実情と見通しについて正解に把握する必要があると思います。それとともに、地域をあげて共立湊病院の利用促進・赤字圧縮をはかっていく必要があるのでは無いでしょうか。
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コメント
きのじゅん様 こんにちは
5月の利用状況はまだわかりませんが、4月の利用状況調によりますと、外来が45.8人/日(営業日平均25日)、入院16.1人/日との事です。
収入に大きなウエィトを占めるのは入院単価ですよね。
今の医師数や看護師数では実績を伸ばしたくて無理なのではないでしょうか。
このような状況を管理者はどう考えているのでしょうかね。
予算を可決した組合議会の面々も同様ですが。
まぁ、危機感など持つくらいならもっと真剣に議論したのでしょうが^^;
5月9日以降の外来担当医表から6月の2次救急当番医状況を見ますと、夜勤からそのまま翌日の診療に入るDrがおられます。
また、このような状況ではDrがいなくなるのではないかと・・・
白浜クリニックから共立に来ていた女医さんは配置替えで西川クリニックへ移動したようです。
投稿: 西の住民 | 2011年6月 8日 (水) 09時50分
西の住民さん、今晩は。コメントありがとうございます。
日本国内の現状では、当直後にそのまま日中勤務している医師が圧倒的多数です。週末に当直をしても平日に代休が取れるわけでもありません。これを解消するには、救急病院の勤務医を3交代にしないといけませんが、残念ながらそれだけの数の医師は日本にいませんし、それで採算が取れるような保険診療報酬の設定でもありません…。構造的な問題です。
午後から外来をやって、当直して、翌日午前外来やって上がれるならば、まずまず恵まれた環境と言えます。
投稿: きのじゅん | 2011年6月 9日 (木) 23時45分