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2011年7月 8日 (金)

書評 「ルポ 生活保護」

 医療機関で仕事をしていると、生活保護受給者の方や、ケースワーカーの方と接する機会が多くあります。しかし生活保護制度の全体像がきちんと理解できているとは言い難く、勉強する機会を持とうと、中公新書の「ルポ 生活保護」 本田良一著 を購入し読みました。
 著者は北海道新聞の記者をされており、主として釧路市の生活保護受給者の方を取材し、ルポルタージュを起点に、生活保護制度の歴史と現状、母子家庭の問題、水際作戦など自治体による受給制限の問題、生活保護費を下回るワーキングプアの問題、生活保護の本来の目的である自立支援の取り組み、今後の生活保護制度改革への提言など、主として制度利用者の視点に立って、幅広く書かれています。
 ただし、題名とは異なり、ルポルタージュの部分の割合は余り多く無く、著者の解説が大部分を占めることには注意が必要です。個人的な感想としては、もう少しルポの部分でとりあげた個人について、家族や社会との関連についての掘り下げが深ければ、読み物として面白かった気がします。
 また医療機関の立場から見ると、生活保護費の中でもかなり大きなウェイトを占める医療扶助に対する記載は比較的浅い気がします。
 いずれにしましても780円という価格から考えると、極めて内容が濃く、読み応えのある本で大変勉強になりました。

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