RCGP OHSU UH 訪問記録07 RCGP本部の訪問とDr Neibourによるプレゼンテーション
2011年10月26日水曜日。
地域医療振興協会の診療所委員会を中心とするロンドン→ポートランド視察チームはJAL組とANA組に分かれ、昼前に成田を出発。12時間30分のフライトで同日夕方にロンドンヒースロー空港に到着した。広大な空港はターミナルの動線が長い。税関を出たところで、無事JAL組、ANA組は合流した。サマータイム実施中のため時差は8時間。空港は市街地から25kmほど西にある。
翌27日朝、RCGP本部を訪問した。セントポール大聖堂にほど近い場所にあり。「ONE」と書かれた貫祿のある建物の2階に入っているが、近々別の場所に移転する予定との事だ。
RCGPの前会長で、現在日本担当を努める Dr Neighbour と会談した。
まずは地域医療振興協会の吉新理事長が協会のアウトラインや、国際交流事業の状況、研修医の状況などについてプレゼンテーションを行った。
次いでDr Neibourからイギリスの医療やRCGPについてのプレゼンテーションが行われた。スライドは日本語で用意されたが、これは過去に日本で講演した時に作られた物がベースになっている。もちろん説明は英語で行われたので、英語を聞きながら、日本語を読むという、少しややこしい事になった。
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人口1万人あたりの医師数は日英ともほぼ同等で22-23人程度である。一方人口1万人あたりの病床数は日本が141に対して、イギリスは39と、3倍以上の開きがある。英国の医師の32%がプライマリーケア分野で働いている。イギリスにおいては傷病の90%は自己ケアにより、9%がプライマリーケア医により扱われ、残りの1%が2次ケアへと紹介されている。
GPの守備範囲は広く、婦人科と産科(妊娠経過と出産前後の管理)、小児科と小児保健、精神科と精神保健なども担当する。
アメリカでは家庭医1人の増加が、人口10万人あたり平均34人の救命と関連していたという報告が、ジョンホプキンス大学の Starfield 教授からあったそうだ。強力なプライマリーケアのシステムを持つ事のメリットとして、病院や専門医が専門手技と資源を真に必要な患者に集中できる、適切な訓練を受けた医師に患者が受診できる可能性が高くなる、遠隔地・へき地でのケアの水準が高くなる、医療労働力の効率的な利用、医療の包括的な視点を学生に教育する機会などが挙げられた。
また、よく発達したプライマリーケアシステムは、糖尿病や合併症による死亡や肢切断を減少させたり、高血圧合併症を減少させたり、予定外妊娠や若年妊娠を減少させるなど多くのエビデンスが認められている事を提示した。
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