RCGP OHSU UH 訪問記録15 スカプースクリニック再訪
2011年10月31日月曜日
今度は一路北上。コロンビア川の西岸を下流に向かって進む。ポートランドから20マイル程離れた Scappoose の町へ。ここにはOHSU家庭医療学教室のサテライトクリニックの一つ、Family Medicine at Scappoose がある。私は2008年にも訪問したところだが、他のメンバーの多くは初めての訪問、かつオレゴンで初の診療所見学となる。
前回はとっぷりと日が暮れてからの訪問で、周囲の様子はよく分からなかったが、昼間訪れてみると閑静で広々とした住宅街の中にある事がわかった。2008年12月には増築工事をしていた部分が完成し、エントランスも新築部分に移動し、待合スペースも大きくなっていた。今回の訪問団は診療所医師が中心のため、皆興味津々である。
イギリスの診療所は比較的日本と類似していたが、アメリカはシステムが違う。医師や医療スタッフが複数の診察室を渡り歩く。各部屋の入口には6色のサインがつけられている。(写真はガブリエルパーククリニックのものである。) 黒が「レントゲン」、青が「患者在室」、黄色が「MA( Medical Assistant )/RN( Registered Nurse )在室」、 緑が「患者準備完了」、白が「MA/RNに用事あり」、赤が「検体検査中」を示している。
診察室内には、半身型の診察台が据えつけられている。これは椅子としても使え、内診用診察用としても使える。更には下半身用の台を引き出せば全身診察台にもなる。また処置用品などを収納する引き出しも付いている。ロール状の紙シーツを引き出して使い捨てるなど、感染防御策としても優れている。壁などには血圧計、眼底鏡、手指消毒薬など診療に必要な物がビルトインされており、いちいち備品を探す必要は無い。いろいろと物が揃っている診察室だが、事務机は無く、シンクの前に椅子が置かれていて、反対側にディスプレイとキーボードが壁から片持ち式で設置されている。
診療記録は電子化されている。サテライトを含むOHSUのクリニック全てに共通の物で、診療情報も共有化されている。見た目にも高機能である。しかし、宙ぶらりで剛性に乏しいキーボード台で、タイピングはやっぱりしにくいのではと感じた。Scappooseの診察室は窓があるため、明るい雰囲気で好印象である。
診療所内を巡りながら処置室の医療材料や医薬品、医療機器をチェック。処置室の引き出しを開けて中にある備品を覗き込んだり。2003年当時は創傷被覆剤は殆ど使われていない様子だったが、今回は引き出し内に何種類か置かれていた。
この診療所ではお産も扱っている。廊下にはここで生まれた赤ちゃんの写真がたくさん掲示されている。日本では、お産は産婦人科という意識が強くて、一般診療所でお産や支給癌検診などを扱っているところは数少ない。へき地診療所の医師にとっても産婦人科領域はウィークポイントである場合が多く、この点ではアメリカでの家庭医療に大きく遅れを取っている。
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