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2013年4月29日 (月)

2012年6月Thomas Jefferson University Hospital 研修記録07 病棟回診

 4週間の研修期間のうち、前半を内科、後半を家庭医療科で過ごしました。内科では連日違う部署にいたので、多くのセクションを見る事ができた半面、毎日新しいメンバー、新しい患者さんなので、慣れることが難しい面もあります内科系全科に所属する研修医はPGY1(卒業後1年目)が51名、PGY2が42名、PGY3が44名でした。(アメリカの医学部卒業時点は、日本の医学部卒業後2年が終わったのと同じぐらいのレベルと考えていいと思います。)

 総合内科、腫瘍内科、MRICU(内科呼吸器科集中治療病棟)、MCCU(循環器内科集中治療病棟)の内科各部門の朝のAttending Rounds(指導医回診)に同行しました。いずれの科もやり方は概ね共通しており、Huddle Roundと言って、ソーシャルワーカーなどを交えたカンファレンスを病棟回診前に行っている科もありました。

 研修医は毎日午前5時から6時30分頃に出勤します。受持ち患者や前夜の入院患者の診察(プレラウンド)を行っておき、午前8時30分頃に指導医が来て回診が始まります。この時点で前夜の担当研修医(Night Float)は、昼間担当の研修医に申し送りを終えており、回診には参加しません。以前は残って参加していたそうですが、ACGME(アメリカの医師臨床研修を管理している組織)の規定変更で研修医の勤務時間が短縮された影響とのことです。

 病棟を順番に回りながら受持ちの研修医がまず患者の状態をプレゼンテーションし、それに対して指導医が質問や教育的な指導を行います。前夜入院の患者を中心に必要に応じて病室に入り診察を行いますが、必ずしも全員の診察はしていませんでした。指導医はプログレスノートを記載して、サイン後にカルテに綴じ込みます。病室での診察については1-2分の立ち話程度のケースもあれば、時間をかけて詳細に診察や説明をする指導医も居て、人それぞれという印象でした。

 プレゼンテーションの場所は主として患者の病室前の廊下ですが、病棟によってはカンファレンスルームを利用したり、あるいは移動途中のロビーなどで行ったりする場合もありました。扉の開いている病室の前でプレゼンテーションを行う事にはプライバシー面で問題があるように思われ、実際、一部の科では患者名 を言わずにイニシャルを使ったり、やや離れた場所でまとめてその病棟の患者のプレゼンテーションを終えた後に病室に出向くようにしたり、プライバシーへの配慮が見られました。各科のチームが廊下のあちこちで集まって話をしているので、明らかに通行の邪魔になっているのですが、スペースが無いのでやむを得ないのでしょう。

 回診の時間は患者数によっても違いますが、内科の場合はモーニングレポートが11時から始まるのでそれまでに終了するのが目安になっています。回診の時間 が制限されているため、病室での診察は前日入院や要注意患者などの2-3名しか行わず、指導医は残りの患者については午後などに一人で診察をしているそうです。一方集中治療科や後に報告する家庭医療科では全患者の病室に入り診察していました。これらの科では11時からのモーニングレポートが無いので時間制限が少ない事や、家庭医療科の指導医は午後に外来診療があるため後ほど一人で改めて診察する事ができないという事情がありそうです。集中治療科では、夕方にもも う一度30分程度の短い回診を別の指導医と行っていました。また消化器内科では指導医が内視鏡検査などで午前中多忙のため指導医回診は7時30分から行っているそうです。この場合研修医の朝の出勤時間も連動して早くなります。

 採血時間は病棟によってずれがあり、午前5-7時ぐらい。回診までに検査結果の報告が間に合わな い事もあるとのこと。

 概ねどの指導医や研修医たちもiPhoneなどのスマートフォンを持ち歩いています。院内外での連絡には本来ならページャー(ポケットベル)を使うのですが、携帯電話で行っている人も多く見かけます。(ページャーへのメッセージを携帯電話に転送できるのだそうです。)なお携帯電話の院内での使用は(国際的には普通の事ですが)全く禁止されていません。迅速にリファレンスを使用できるメリットはあるものの、仕事をしながらもついつい携帯電話をいじっている人が職種によらず見かけられました。

 各チームの受持ち人数は科によっても異なります。一般内科ではひとりの指導医に医学生1、初期研修医1、後期研修医1の構成で、同行したチームでは14 人を受持っていました。なおこのチームの指導医は他のチームとの受け持ちも4名おり、そちらについては午後に回診しているそうです。

 後半に回った家庭医療科では、入院は全体で1チームとし、初期研修医3名、後期研修医3名程度に指導医が日替わりで着く形です。多いときは30名ぐらい受持つ事があるそうです。回診には薬剤師や薬学生が加わる事も多く、病室前でのプレゼンテーションには担当看護師も加わる事が多いようです。

 科や指導医によっては回診の終わりに、ミニレクチャーや、骨髄標本の顕微鏡観察などがあります。研修医たちは皆良く勉強していて知識は豊富です。指導医も研修医も概ね病棟 業務に専念するシステムのため、日本と比較して非常に多くの時間を回診やディスカッションに割いていました。

 昼のカンファレンスを挟んで、研修医たちは午後は治療の指示を出したり、専門科へのコンサルテーションの依頼をしたりしています。

 昼間の担当と夜の担当研修医は完全に分かれていて、サインアウトシートを更新して引き継ぐ形。初期研修医はローテーションの途中で昼番と夜番(Night Float)を入れ替わる事があります。夜勤明けはすぐに帰宅する事がACGMEにより義務づけられているので、Night Floatの研修医は日中のカンファレンスに出席するチャンスが少なくなります。

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