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2013年5月20日 (月)

2012年6月Thomas Jefferson University Hospital 研修記録10 シミュレーション教育

Simulation1 2012年6月7日の午前中は後期研修医4名を対象としたシミュレーション教育を見学しました。 

 まず9時からはマネキンを使って急変対応のシミュレーション教育が行われました。シナリオはNight Float(夜勤担当チーム)の設定で、サインアウトシート(日中のチームからの申し送り書)に書かれた、限られた情報だけで対応する事が求められる設定でした。

Simulation2 1例目は嘔吐後に食道穿孔を起こした症例でした (Boerhaeve’s syndrome)。レントゲンで消化管から漏れだしたフリーエアを見抜ければ正解にたどりつけます。2例目は大動脈解離の症例で血圧の左右差に気付くかどうかがポイントでした。3例 目は右室の心筋梗塞で右胸壁心電図をとるかどうかが診断のポイントでした。もしうかつに亜硝酸剤(ニトログリセリンなど)を投与すると血圧が下がるようにシナリオが設定されていました。4例目は血圧低下 と洞性頻脈をきたした後腹膜出血の症例。5例目は悪性高熱でダントロレンの投与が行われるかがポイント。6例目は気管支喘息重積発作で挿管となる症例でした。

 Heart_man 続く10時からのセッションは、ベテランの医師による聴診のシミュレーション教育。様々な心音、心雑音を発するマネキンと伝送聴診装置Heart Man(写真)を用い、多人数で同時に聴診を行う事ができます。Ⅱ音の分裂の聴き分けについて歴史や病態生理を交えた明解で面白い解説も印象的でした。このような素晴らしい教育者がいることは大変大きな財産であると感じました。

 6月8日の朝は初期研修医5名を対象にしたシミュレーション教育を見学しました。

 症例1はアナフィラキシー、症例2は気道閉塞、症例3は心嚢水貯留、症 例4は徐脈から心室細動に移行し、心肺蘇生を行いました。後期研修医向けと比べるとシンプルなシナリオではあるものの、研修医たちが自分たちだけでまずまず適切に対応できている事に感心しました。

 上記のシミュレーション教育に引き続いて初期研修向けにベテランの医師が病棟を回って特徴的な身体所見を解説するという、これも非常に興味深い Master Clinician Roundsに同行しました。1例目は皮膚筋炎でヘリオトロープ疹、Poikiloderma、爪の付け根の発赤、近位筋の筋力低下、MP関節の石灰化などを 診察。2例目はHereditary Hemorrhagic Telangiectasisで、舌の毛細血管拡張を診察。3例目は透析中の心不全症例で、ここでも伝送聴診装置が活躍し、聴診所見を皆で確認する事ができました。

 五感を駆使した診療を指導できる優れたteacherの存在がTJUHでの研修医教育に深みを与えている事が実感されました。

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