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2013年6月10日 (月)

2012年6月Thomas Jefferson University Hospital 研修記録13 家庭医療科の外来診療

 

Exam1  JFMAの外来は大変大きなフロアになっており、4チームに分かれています。各チームで使う診察室はだいたい決められていますが、運用が回らなくなると他のチームの部屋を借りる場合もあります。チーム4は特殊外来で使われる事が多いようです。

 アメリカの場合、日本やイギリスとは異なり、一人の予約患者に一つの診察室を割り当てて、そこで待機してもらい、スタッフの方が部屋を渡り歩く仕組みになっています。そのため、同時に診察する医師数の3-4倍の診察室が必要となります。Exam2

 診察室の構造は過去に見学したオレゴン健康科学大学(OHSU)の関連診療所の外来と大きな変わりはありません。診察室内には診察台(下半身を乗せる部分と、婦人科診察用の足乗せが 引き出せるようになっている)、洗面台、血圧計、耳鏡、眼底鏡、針の廃棄容器、ごみ箱(感染物とその他)などが備えられています。診療の流れもほぼ同様です。受付後、看護師が血圧や体温、脈拍などのバイタルサインを測定します。体温は使い捨てのセンサーで舌下温を測定していました。その後に患者さんは診察室に案内され、雑誌を読んだりしながら医師が来るのを待ちます。

 OHSUでは診察室の入口に進行状況を示すサインが掲出されていましたが、こちらでは見かけなかった。クリニック内で行われるプロセスが少ないためからもしれません。診察時に使う書類は診察室扉のホルダーに入れられている場合と、カウンター横の籠に入れられている場合があり、チームによってやり方が異なっていました。

 TJUHの場合、血液検査、画像診断、内視鏡検査、超音波検査などはそれぞれ別のビルに入っています。そのため診察の数日前までに別途来院して検査を済ませておく事になります。心電図、PT-INR、血糖、検尿程度はクリニックでも可能ですが、例えばレントゲンを当日撮ることは事実上不可能です。そのような必要がある場合は救急部へ紹介する事になります。

 研修医の外来研修だけでは無く、指導医自身の診察を見学する機会があり、興味深く拝見しました。指導医は15分毎に1人の予約がびっしりと入っており、意外と時間に追われていました。頭のてっぺんから足の先まで診察するような時間は無く、効率よく要点を絞っての診察が必要です。

 日本の家庭医療の現場では、患者との距離とか、目線の高さとか、椅子の種類だとか、診察環境作りも重視されているのですが、これらの点について余り気にし ていない医師が多いように見受けられました。そんな中、ある60代のベテラン医師は、患者を自分のすぐ隣に座らせて、一緒に電子カルテの画面を見せ、内容を読み上げながら入力するなど、大変共感できる診療スタイルでした。30年以上の付き合いになる患者も多く、お互いの信頼関係がにじみ出て、大変和やかな雰囲気の外来診療でした。

 医学生の外来研修も行われていました。研修は指導医1名に1名の学生が付く形で行われます。指導医がまず患者に挨拶して、学生が診察する事への了解を得る。学生が時間をかけて問診を取り記録をします。その間に指導医は次の予約患者の診察を行います。予約患者2人ぐらいの診療が終わる頃、ようやく学生の診察が一段落するので、学生が指導医に声をかけ、指導医が記載内容をチェックして、自ら患者を診療するという順番になります。日常業務の回転と、学生指導を両立させるのにはうまい方法です。

Photo  研修医への指導は、一人の指導医がプリセプターとなり、最大4人の研修医の外来を管理してまいます。内科と同様6月は年度末。PGY3の後期研修医は既に仕上げ段階となっており、基本的には自立して診療を行い、指導医はプレゼンテーションを聞いてサインするだけの場合が殆どでした。経験の浅い研修医の 場合は、一人一人一緒に診察しなければならないので、新人が入ってくる7月は大変なのだそうです。後期研修医がプリセプターにコンサルテーションする場とし ては、広いプリセプタールーム(写真)が確保されていますが、多くの人が出入りして落ち着かないため、自分のオフィスのある指導医はそこで指導を行っていました。

 患者さんたちを見ていて感心したのは、殆どの人が自分の投与されている薬の名前や投与量を知っていた事。アメリカでは日本で良く見られるPTP(Press Through Pack)では無く、ボトルで調剤されるため、見た目がよく似たボトルから正確な錠数を取り出して内服する必要があります。薬の事をよく把握している背景にはそのような事情があるのかも知れません。

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