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2013年6月17日 (月)

2012年6月Thomas Jefferson University Hospital 研修記録14 家庭医療科の特殊外来

 特殊外来として、Sports Medicine、GYN Procedure Clinic、Procedure Clinic、Warfarin Clinic を見学しました。また難民の健康管理を行うRefugee Clinicも見学しました。

 Sports Medicineは別にスポーツ選手を対象にしているわけでは無く、いわゆる”整形内科”的な診療を行っています。診断と理学療法、関節注射などが主体。関節注射としてはヒアルロン酸や、ステロイド(ケナログ懸濁)が使われていました。担当のDr.曰く、注射を安易にすると理学療法を真面目にやらなくなる。殆どの患者は理学療法 で改善するのだが。だからできるだけ注射はしたくないと言っていました。このクリニックにも週1回研修医がローテートしており、診察や治療手技を勉強していきます。

 GYN Procedure Clinic(婦人科処置外来)では、PAP smear(子宮頚癌検診)や、IUD(子宮内避妊器具)の入れ換えなど婦人科的な処置が行われます。こちらも研修医に集中的に手技の経験を積んでもらうのが目的と思われます。この外来でBMI75というものすごい肥満の方を見かけました。なんと標準体重の3.4倍です。ここまで来ると診察する事さえ困難です。

 Procedure Clinic(処置外来)は小外科処置の専門外来です。見学した日は予約患者の大半がなぜか来院せず、10日たった縫合創の抜糸と、皮膚の角化病変が気になっている研修医が患者となって皮膚生検を行った2例だけの受診でした。

 上記3つの特殊外来では、看護師は注射薬や道具を用意するものの、診察室に入って処置をサポートする事は全く無く、医師が自分で準備から片づけまで 行っていました。このような「業務分担」が他の部署でも一般的なのかどうかは確認していませんが、日本で看護師さんの仕事として持つイメージと随分違いますね。

 Warfarin Clinic(ワーファリン外来)は抗凝固剤Warfarinの投与量の調整を一手に担っています。ワーファリンは治療に必要な投与量の個人差が大きいため、プロトロンピン時間という検査の結果を参考にして、薬の量を調節する必要があります。対象疾患としては、心房細動と深部静脈血栓が殆どです。担当は指導医1名と後期研修医1名 で、午後の半日で27名もの予約が入っていました。ひたすらプロトロンビン時間を確認して、出血などの副作用のチェックをして、投与量を調節し、次回の受診日を指示するという作業が続きます。目標のプロトロンビン時間のはINR2~3でした。投与量は日本と比べると非常に多く特に黒人では50mgぐらい投与する事もあるといいます。錠剤は1mg、2.5mg、 5mg、10mgを組み合わせて使い、半錠にしたりする事はありません。まあ、ボトル処方なので錠剤分割は馴染まないのでしょう。

 後期研修医に日本では0.25mg単位で 調節する場合さえあり、5mgまで投与する事は非常に少ないよと伝えたら大変驚いていました。

 Refugee Clinic(難民クリニック)は2007年からJFMAのDr. Altschulerと、National Service Center(NSC)によって開始されました。難民の出身国はイラク、ブータン、ミャンマー、コンゴ民主共和国、ソマリア、リベリアなど。クリニックの目的 は入国後の健康チェックで、この事業において先進的なMinnesota Department of HealthのRefugee Health Programに準拠しています。

 まず、過去の病気や生活などヒストリーを詳細に聴取するのですが、全く英語が話せない人も多く、各国語の通訳サービスに電話して3者でのやりとりになるため大変時間がかかります。医師は質問したい事を、電話で通訳サービスに話し、その後電話を患者さんに渡して質問に答えてもらい、その後にまた医師が電話を返してもらい、通訳から答えを聞き出します。そのため一人の診察に1時間ぐらいかかってしまいます。

 事前に血液検査やクウォンティフェロン(結核感染の可能性を調べる検査)などが実施されており、検査結果の確認も行われます。難民といっても皆清潔で、身なりもしっかりしており、 iPhoneを持っている人までいました。(指導医の中には、通信費が高くてiPhoneなんて買えないと言っていた人もいたのですが…。どうなってるの。)

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