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2017年4月25日 (火)

新専門医情報 2017年4月24日今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会

2017年4月24日に、厚生労働省の」今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」の第1回目の会合が開催されました。

厚生労働省ホームページ「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000163159.html

その内容を伝える記事がM3.comに掲載されました。
「専門医取得、義務ではない」、新整備指針に明記か
厚労省が新検討会、塩崎厚労相「来年開始予定の新専門医制度から議論」
https://www.m3.com/news/iryoishin/523356

 そもそも4年前に同じ厚生労働省の「専門医の在り方に関する検討会」での議論をもとに、Professional autonomyとしてスタートするということだった専門医養成のリニューアルですが、政治的な干渉の始まりとも捉えられかねない動きのようにも見えます。実際、M3.comの記事内容を見ますと、日本専門医機構の吉村理事長が一方的に質問を受ける形で進んだようです。整備基準の修正にも言及されており、専門医機構の第三者機関としての立場が危ういものになるかも知れません。

厚生労働省の検討会ページの資料1
資料1 専門医に関する経緯と最近の動向について(PDF:1,080KB)
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000163147.pdf
には、これまでの経緯の他に、「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」での議論の内容、アメリカ・フランス・ドイツ・イギリス・韓国の専門医養成の仕組みの比較表などが掲載されています。
またこの資料の最終ページには、「専門医に関する論点について」として、厚生労働省の日本専門医機構などに対する考えがまとめられています。

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(1)すべての医師が機構の認定する専門医になると、専門外の診療を敬遠する傾向が生まれ、多くの専門科を整備できない中小病院での診療が困難になる等の指摘を踏まえ、専門医はすべての医師が取得しなければならないものではなく、自発的な自己研さんとして位置付けられるものであり、実質上義務づけられるものではないことを、明確にすることについて、どう考えるか。

(2)地域医療従事者や休職・離職を選択した女性医師等に対し、専門医資格の取得を促す観点から、地域医療従事者等に配慮したカリキュラム制の設置について、明確にすることについて、どう考えるか。

(3)高度な医療の分野でも、医師が研修段階に応じて技術と知見を向上できるよう、様々な患者を診ることができる市中病院も重要な研修拠点とし、必ずしも十分な経験を積むことができない場合がある大学病院に研修先が偏らないようにする観点から、研修の中心は大学病院のみではなく、症例の豊富な地域の中核病院等であることを、明確にすることについて、どう考えるか。
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 これらの論点の意図するところは何でしょうか。専門医を義務付けないことを明確にし、カリキュラム制であとからいつでも専門医を取得できるようにし、市中病院に医師を配置しやすくする…。医師の診療科や地域偏在を解消するために政治力で医師の配置をコントロールしやすい仕組みを作ろうというわけではないでしょうね。

 なお、
資料3-1 吉村構成員提出資料(PDF:266KB)
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000163149.pdf
には匿名の一部領域の都道府県別専攻医数推移や、大都市圏への集中が特に加速しては居ないことを示す資料が含まれています。

資料3-2 吉村構成員提出資料(PDF:93.1KB)
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000163150.pdf
は、全国市長会の要望に対する回答が記されています。

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 今回の検討会は医療界にとって大きなターニングポイントになる可能性があり、注視していく必要があると思いました。

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