新専門医情報 2017年5月機構理事会と総合診療整備基準案
5月12日(金)に日本専門医機構の理事会が開催されました。関連記事がm3.comに掲載されています。
「専門医取得、義務ではない」、新整備指針に明記へ
日本専門医機構、4点の変更、6月の理事会で決定予定
https://www.m3.com/news/iryoishin/528177
今回の理事会で各基本領域のプログラム整備基準が一斉承認されるのではと予想していましたが、6月の理事会以降に持ち越しになったのでしょうか。 記事では総合診療以外の整備基準については言及されていません。
厚生労働省の「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」での議論を踏まえて、6月2日に開催される次回理事会で整備指針の改定を行う予定とのことです。改定内容としては専門医の取得が義務ではないこと、地域医療従事者に配慮しカリキュラム制での専門医取得を認めることといった事項を明記するようです。
また総合診療の整備基準案がおおむね了承されたとの記載があります。ただ最終決定ではなく、微調整の上次回理事会に諮られるようです。既報のように内科研修が1年に延長されること、へき地等で1年以上研修することが望ましいとの表現を加え大都市のみで完結しようとする研修プログラムに対して地域医療への配慮を求めること、初期研修で外科を研修していない専攻医には外科研修を行うことが望ましい、といったことが変更点となります。
また記事には書かれていませんが、内科の研修は総合的な内科(臓器別では無く)が望ましい、内科と総合診療の研修は双方の基準を満たす場合においては、6ヶ月までの読み替えを可とする(両方を研修したことにする)ことで、3年間の研修期間の中で6ヶ月までの選択研修を組み込む余地を残しています。ただし、この6ヶ月間については、内科、総合診療の双方の研修要件を満たし、双方の評価を受けることが求められると予想され、実際にこれを満たすためには専攻医側も指導医側もかなり大きな負担を覚悟する必要があるようです。
当初から研修期間を4年間に設定すれば、様々な選択研修が可能となりますので、無理をして内科と総合診療Ⅱの研修期間を兼ねないという選択肢もあります。
5月14日に開かれた日本プライマリ・ケア連合学会学術大会のシンポジウムについての記事も後日掲載されています。
「一体どうなっているの?」、総合診療専門医めぐり議論
日本プライマリ・ケア連合学会学術大会シンポジウム
https://www.m3.com/news/iryoishin/528866
この記事の記載で、現時点での総合診療専門研修整備基準案の全体像が把握できます。
記事内で出てくる、内科指導医の負担が…という質問は私が会場でしたものなのですが、内科と総合診療研修の読み替えにより、専攻医は同時期に内科と総合診療の両方の指導医から重ねて評価を受けることになり、J-OSLERとポートフォリオを同時に進めるのは、指導医にとっても、そして専攻医にとってもかなり大変なのではという趣旨の質問をしました。
これに対する回答としては、確かに大変なので、その覚悟があるならあえてそういうプログラムを組んでも良いが、無理にそのように組む必要は無いでしょう、あるいは選択研修を確保するためにプログラムを4年にする方法もあるとの見解でした。
なるほど。私は勘違いをしていました。
総合診療の特性を十分に活かすためには選択研修は必要であり選択研修の期間を確保するために、内科と総合診療研修の6ヶ月の読み替えを積極的に採用させる、そういうつもりでこの仕組みにしたのかと考えていましたが、実はむしろ「覚悟があるのならやってみたら。でもすごく大変だよ。大丈夫?」というニュアンスなのだとわかりました。
だったら最初から潔く研修期間を4年に延ばせば、なんて言っていると議論がまとまらないのでしょうね。
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