新専門医情報 3月27日厚生労働省検討会で東京への一極集中について追求
2018年3月27日に厚生労働省の「第7回今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」が開催されました。
議事や資料は下記リンク先に掲載されています。
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000199736.html
この中の資料1 専攻医の採用状況について、の中に都道府県別基本領域別の専攻医採用数のデータがようやく公開されています。
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000199728.pdf
総数だけ拾って多い順に並べますと、内科2671、外科807、小児科562、整形外科550、麻酔科498、産婦人科442、精神科430、眼科327、皮膚科275、泌尿器科271、救急科266、耳鼻咽喉科264、放射線科263、脳神経外科224、総合診療184、形成外科162、病理114、リハビリテーション78、臨床検査6となります。「東京都の眼科」は77で、16県の全領域専攻医数を上回っています。
5都府県のシーリングの根拠となったとされる過去5年の採用実績の平均値が4ページに、またこの平均値のベースとなったデータが5ページに示されていますが、各数字が何を根拠として算出されたのかは学会によって異なるようですが、個別には明確になっていません。
6ページには初期研修と専門研修の所属先都道府県のマトリックスが示されています。(書かれていませんが)縦軸が初期研修、横軸が専門研修と思われます。東京都で初期研修を受けたうち専門研修も東京都に残留した率が1115/1350で82.6%、逆に東京都以外で初期研修を受け東京都以外に残留した率は(8359-1825)/8359=78.2%となります。
7ページには東京都以外で初期研修を受け、東京都の専門研修プログラムに応募した710人の都道府県別の内訳が出ています。東京都隣県以外では静岡県の51人が目立つという話が先日来出ています。
個人的には「大学への回帰」「地方の一般病院の専攻医減少」が、都道府県間の格差以上に大きな影響を及ぼしていると感じていますが、それに関するデータは無く、よって検討もなされていないようです。
検討会の内容については、m3.comに記事が掲載されています。
「専攻医の東京一極集中」、増悪か否かで意見対立
松原・専門医機構副理事長は反論、「問題検証、来年度に向け見直す」
https://www.m3.com/news/iryoishin/593991
1時間の予定だった検討会は20分延長になったそうで(それでもたったの80分か…)、検討会の各構成員と機構の代表として参加した専門医機構松原副理事長の間の激しい応酬が伝えられています。ただ、今後の具体的な方向性につながる話は乏しかった印象です。
個人的な感想としては、「もともと新専門医制度の前から東京への集中はあった」が「それが更に目立つ形で示された」ということかなと思います。
このままの流れで2019年度の募集に進んでいくことは容認されない雰囲気のようですが、具体的な見直しの時期や方法論については全く示されていませんので、2019年度の募集も引き続き先行き不透明な感じが続いていくように感じています。
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