カテゴリー「オレゴン健康科学大学(古い)訪問記」の20件の記事

2007年5月 5日 (土)

オレゴン健康科学大学(古い)訪問記20(完結) 総括

 今回の訪問は実質4日間と極めて短期間であり、朝から夜までびっしりとスケジュールが組まれなかなかハードであった。しかしその分非常に充実した研修を受ける事ができた。滞在中ずっとTaylor先生が我々をサポートして下さり、最終日もわざわざホテルまで来てお見送りをしていただいた。高名な先生だが大変にフレンドリーで、学生にも、研修医にも熱心に指導をしている姿が、印象的だった。また教わる方も積極的、自主的に取り組んでいる様子がとても好ましく感じられた。また、教育を前提とした医療機関の設備や体制のあり方については、非常に学ぶ点が多かった。今後日本でも学生、研修医教育における地域の医療機関の役割が大きくなると考えられるので、大いに参考にしていく必要があろう。

一方、日米の医療、特に保険制度の違いに根ざした相違点はかなり大きく、今回見聞した事の中には、そのまま日本へ持ち込む事が難しい点も多く見られた。また、大学の関連施設という特殊性のため、アメリカの地域住民の多数が受ける医療の実態を必ずしも反映していないと考えられた。もしチャンスがあれば、オレゴン州の広大な農村部での医療がどうなっているかについても、触れて見たいと思った。

また、日本の地域医療においては、内視鏡、超音波などは僻地診療所レベルでも広く普及しており、創傷治療などの技術レベルなど、日本の方が優れているのではないかと感じる面もあり、こういった部分は今後ものばしていく必要があると感じた。

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2007年4月29日 (日)

オレゴン健康科学大学(古い)訪問記19 Farewell Dinner と雨の中の観光

Party  今夜は、Farewell Dinnerとの事で、またまたTaylor教授の家に招かれる。Saultz 教授も参加。地域医療振興協会の招きで日本に来た事のある4人の研修医も集まり、クリスマスの七面鳥をいただきながら歓談した。しかし専門領域の話だとなかなか聞き取れないのに、与田話ならばっちりというのはなんでだろう…。

Saturday, December 13, 2003

Fall  Taylor 教授の運転と案内で、ポートランド近郊の渓谷を探訪。雨期とあって、滞在中の6日間はすべて雨。この日は珍しいぐらいの大雨で、美しいはずのコロンビア川の風景ももやの中であった。Multonomah Falls という滝に到着。Taylor 教授は「そんなに大きくは無い」と言いながらもかなりの大迫力、そして美しい。資料を見るとなんと高さ189mで、われらが日光の華厳の滝の倍ぐらいある。ちなみに世界で最も高い滝は、カリフォルニア州の Ribbon Falls で、なんと491mとの事。ちょっと想像できない。

Flee_market  ポートランド市街に戻り、ワシントン公園の散策のあと、週末限定のフリーマーケットで買い物。小さな出店のどこでもクレジットカードが使えるのにはびっくりした。写真のような怪しいサンタクロースの一団も出現し、会場を盛り上げていた。

Iluminations  夜は Taylor 教授の息子さんの家にご招待いただいた。かわいいお孫さんと遊んだりして、楽しい時間を過ごした。ポートランド近郊の住宅街はクリスマスのイルミネーションで華やかに彩られていた。ホテルに戻ってから、ホテル内のスポーツバーへ行き、初めて日本人二人だけで乾杯をする。英語漬けの毎日、お互いお疲れ様でした。

○Sunday, December 14, 2003

Mt_fuji  朝、ホテルの周辺を散歩しているとスターバックスコーヒーがあったので、そこで朝食を摂る事にした。空港まではタクシーで移動。 Taylor 教授はホテルまでわざわざ見送りに来てくださった。到着から出発まで本当にお世話になりっぱなし。本当にありがたく申し訳ないことである。帰りの飛行機は教授に教わったフレーズをそのまま使わせていただき、ポートランド空港のカウンターで "We want to stand by for earlier flight."  と言って、1時間早い便に変更してもらう。それでもシアトル空港のチェックインカウンターとセキュリティーチェックは大混雑で、乗り継ぎ時間はぎりぎりだった。翌日夕方、成田到着。富士山の美しいシルエットが出迎えてくれた。

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2007年4月23日 (月)

オレゴン健康科学大学(古い)訪問記18 OHSU Gabriel Park Clinicの見学(午後)

 昼食はクリニックのすぐ近くの店で、"Bento" と言う名の Lunch Box を購入した。お値段は$5弱。白いご飯の上にテリヤキチキンをぶつ切りにした物が乗っていて、サラダが添えられている。まずまずの味で、ボリュームも普通。店長は日系人のようだが、日本語は話せない。Dornfest先生曰く、「ここではPizzaも売っている。アメリカ人はPizzaが好きで、Pizza  はイタリアの料理だと思っているけど、イタリアでは(こんな厚い生地の物は)食べないんだってね。ひょっとしてBentoは日本じゃ食べないんじゃないかと思ってたよ。」

 クリニックの休憩室で Dornfest先生 やナース、研修医などと懇談しながら Bento をいただく。会話の中で IDCOP (Idealized Design of Clinical Office Practice) という話題が出てきた。これは Institute of Healthcare Improvement が提唱しているシステムで、待ち時間を無くした結果として、外来に待合室を置かず、受け付けも置かないのだと。IHI のホームページを見てみるがなかなか難しい。彼らの考えている事は、効率良く、質の良い医療を提供することで、一日に診察できる患者数を増やし、より多くの需要に答えることができるということか。結果として患者さんは、かかりたい時にいつでも待ち時間無く受診できるというところを目指しているようだ。(もしご意見ありましたら、コメントをお願いします。)

 ソーシャルワーカーについても尋ねてみた。このクリニックにもソーシャルワーカーが1名。残念ながら具体的な仕事については聞きそびれた。各クリニックに1名ずつの配属。大学には実務ではなく研究などを行っている人もいるようだとの事。

 午後からは別の指導医が 出勤してきて、研修医も交替する。今日の午後は flu shot (インフルエンザ予防接種)外来があって、大忙しらしい。なにしろちょうどこの頃アメリカの一部では大流行が起こっていたのだ。ここ Portland ではまだ流行していないが、例年よりも接種希望が多くなっているとの話。ちなみにアメリカでは予防接種は公的に行われているものは全く無いとの説明だった。 Flu shot のコストは$25。うちワクチン代が$13だった。

 今日の午後の指導医パートタイマーで、子育てをしながら自分の都合のいい時間帯だけこのように働いている。4時間ずつ3交代せいだからこんな事も可能だ。しかし今日の彼女は、自分の患者の診察、研修医・学生の指導、ナースからの指示の確認、ナースだけで対処できない電話問い合わせへの対応、予防接種と、大忙しである。指導医室にも、なかなか戻ってこない。忙しい中でも僅かな合間に話をしたりしてくれるのだが、ちょっとかわいそうだった。

Materials Materials2  途中から私たちはクリニックの中を自主的に見て回り、備品や設備をチェックしていた。唯一見学した症例は軽い咳で受診した3才児。このぐらいの年の子供でもいきなり親には尋ねず、まずは本人に話をさせるのがアメリカ流と感じる。この子はとても元気だが、週末にディズニーランドに行くので念のため見てほしいとの事だった。日本ではありがちな話だが、アメリカでも保険の種類によってはそんな事でも受診可能なようだ。

St_gabriel_entrance  気がつくと午後4時を過ぎ、スタッフの皆さんにお礼を言って、Dornfest先生の車でホテルまで送っていただく。偉い先生方に、親切に気を使っていただいて、申し訳ない気持ちである。

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2007年4月17日 (火)

オレゴン健康科学大学(古い)訪問記17 OHSU Gabriel Park Clinicの見学(午前)

Friday, December 12, 2003

 今朝はいままでよりちょっと遅くて午前8時にホテルを出発。昨日までと違い、市街地から南西方向に15分ほど離れた丘の上にある、OHSU Gabriel Park Clinic へ。ここは住宅地の真ん中の小さなショッピングセンターの中にあり、ピザやテリヤキチキン弁当を売っているお店や、美容院、カイロプラクティック施療所などが隣接している。

Dornfest  9時前に到着してここの管理者の Dornfest 先生に会う。以前は南アフリカのケープタウンで家庭医療を行い、その後アメリカの数カ所で学生やレジデント教育に携わり、5ヶ月前からこのクリニックに着任したとの事。

 ここは、本学だけではレジデントや学生を受け入れきれなくなった為、14年前に学外に作られた最初のクリニックで、周辺には公園やプールなども整備されていて、すばらしい住宅地のようだ。

 余談だがアメリカでは clinic は入院患者を持たない無床の医療施設。有床施設は小さくても hospital と言うそうだ。日本では無床および19床以下の有床医療機関を診療所と呼び、20床以上が病院と医療法で決められている。従って有床診療所は hospital と説明しないと混乱する。

 平屋の建物だが中は広くて、数えてみたら診察室がなんと25室あった。その他に preceptorが指導のために待機する部屋や、研修医が調べ物をする部屋、レジデント控室、スタッフ休憩室、レントゲン室、検査室、2つの処置室がある。注射はナースが行うので、薬品は主としてナース用のケアルームに配置されている。

 受診の流れは基本的に Emma Johns Hall と同じで、受付を終わった患者さんは診察室に入り、まずナースが様子を聞いて、心電図などが必要と思えば事前に実施する。その後、医師がやってきて診察する。診察室の入り口には患者さんが在室しているかどうかなどを示すサインがついており、カルテもこの近くのホルダーに入れられている。診察室の壁には絵画が飾られており、天井からは回転する模型がつるされている。

 ある部屋の壁には「子供に抗生物質を安易に処方してもらうのはやめましょう。」と親向けのキャンペーンポスターや、「糖尿病の人は靴と靴下を脱いで下さい」と書かれていたりしていた。ここには12名の研修医が配置されていて、3名の医師が指導医をしている。

 Emma Jones Hall と同様、ここにも、超音波診断装置も、内視鏡も無い。コルポスコピーは頻繁に行われている。アメリカでは消化管内視鏡は消化器内科専門医と、検査時の鎮静の為の麻酔科医が必須との事。したがって家庭医療 では手出しできない。エコーについては、本当は使いたいのだが、実施するのに資格が必要→専門医が使う事を認めない→研修すらできない、という壁があって、活用されていないとの事。

 午前中は研修医たちについて診察を見学した。最初のケースは鼻水の女性。副鼻腔炎の疑いもあるが様子を見ましょうとの事で処方は無し。2番目は赤ちゃんで咳。基本的には元気で、これも処方無し。3番目のやせた若い女性はのどの痛みと咳。胸部のレントゲン写真2方向撮影し異常無し。4番目の女性は咳。丁寧でよく説明もしているが、診察時にいちいち服も脱がせないし、風邪症状だけでは腹部の診察はしないので、日本の一般的な内科外来の風景に似ている気がする。

 というわけで今日は非常にかぜ、それも比較的軽い人が多い。これも地域への密着性の強い事の表れと私は解釈した。Emma Jones は大学の中なので、それなりに敷居が高いようだ。患者さんの多くは女性でありこれは全国的な傾向らしい。また医師によって患者の年齢層などにバラツキがあり、経歴の長い先生はやはり高齢者が多いとの事だった。また、婦人科の得意な先生もいれば、全く見ないという先生も居て、どの医師も均質な診療をするというわけでは無い。

Gabriel1  さて、5番目のケースでようやく風邪から離れた。糖尿病で足底に潰瘍を持っている男性が、両下肢にやけどを負い難治であるとの事で紹介をされてきた。右下腿の火傷は黒色痂皮(かさぶた)を伴い、左足の部分はうすい表皮の下に白色のものが見える。私はこういうのはまずデブリドマンして、適切な創傷被覆材料を考えて、糖尿病 はインスリンでコントロールを改善して、難治なら血管拡張剤のプロスタグランジンや、線維芽細胞増殖因子まで使わないといけないかな、なんて考えたが、これは全くの日本的発想だった。

 研修医が指導医 と相談して決まった今日の治療方針は、「来週まで様子を見る」という事だった。その理由としては周囲の発赤や腫脹が軽快してきているので、との事だった。後でいろいろ聞いてみたが、ハイドロコロイドや親水性ポリウレタン、ポリエチレンフィルム、アルギン酸塩といった日本ではおなじみの創傷被覆材料は全く使われていない。ましてや更に値段の高いプロスタグランジンや、線維芽細胞増殖因子などはもっての他であった。

 処置用の軟膏として常備されているのは、抗生物質のポリミキシンBの軟膏とか、スルファジアジン銀クリーム(つまりゲーベンクリーム)ぐらい。ガーゼは滅菌パックに入った非固着性の(傷口にはりつかない)物が使われている。

 頻繁に処置が必要な場合には、途中医師はタッチしない。クリニックのナースや通院困難な場合は訪問ナースが治療を行う。創部をある程度密封して置く場合は、ペースト付きバンデージ(普通の絆創膏の事か??)といった材料を使っているとの話だった。だいぶ様子が違う。

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2007年4月 8日 (日)

オレゴン健康科学大学(古い)訪問記16 Taylor家での夕食と進路選択の指導

 夕方早めにホテルに戻りで少し仮眠を取って、ようやく体が楽になる。夜は Taylor 教授のご自宅へ招かれる。市街中心部に地元テレビ局が建てた高層ビル KOIN Tower の最上階にある。建物の玄関には24時間係員が常駐していて不審者が侵入できないように見張っている。窓からの見えるポートランドの夜景がすばらしい。

Career_counseling1_1 Career_counseling2_1  今日集まったのは私たちの他に、医学部の1年生10名ほど。ダイニングで医学部の1年生10名とともに中華料理をごちそうになる。

 食事の後、学生たちはサロンでくつろぎながら、婦人のAnita Taylorから、性格分析と専門領域 の適切な選択についての講義を受ける。そう、実はこの夕食会も大学の教育の一環だったのだ。

 アメリカの医学部は一般大学を卒業後に入学し、4年間のコースである。今日来ている学生たちはまだ医学部に入ってから3ヶ月。こんな早い時期から卒業後の専門分野を考え始めているのだ。各学生は予め分析してきた自分の性格のタイプと、その結果として現在適切とされる専門分野、それに対する自分の考えなどについて意見を延べていた。

 日本では医学部卒業後の専門分野の選択については、基本的に各個人の希望によって決まる。こういった適性診断のような取り組みが行われている医学部はたぶん無いだろう。

 今回の講義資料には参考として以下のwebsiteが紹介されていた。

 

The Myers-Briggs Type Indicator (ユングのタイプ論を元に作られた物との事。リンク1(英語) 2(日本語) など、Google検索するとオンラインでタイプ分析できる所がいろいろヒットしてくる。)

http://keirsey.com/  (サイトへ接続できなかった。)

http://www.personalitypage.com/info.html

http://www.ttuhsc.edu/SOM/Success/default.htm

http://www.gsu.edu/~dschjb/wwwmbti.html

http://www.personalitypathways.com/type_inventory.html

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2007年3月30日 (金)

オレゴン健康科学大学(古い)訪問記15 Management Rounds

 午後 1:30からは Management Rounds 。これはとても面白い教育手法。学生6名がそれぞれ自分の与えられた臨床症例と疾患に関してプレゼンテーションを行った。

 今回の内容は、Hidradenitis Suppuritiva ( acne inversa ) という聞き慣れない病名だったが、調べたら化膿性汗腺炎の事だった、その他のお題は、BPPV(良性発作性頭位変換製性めまい症)Lateral Epicondylitis(上腕骨上顆炎=テニス肘)、 接触性皮膚炎(いわゆる、かぶれ) 妊娠、中耳炎といろいろな分野のプライマリケア疾患が並ぶ。

Management  プレゼンテーションの内容は、症例、疾患概説、鑑別診断、疾患の詳細、治療などである。各学生が個性を発揮していて、講師と同じように同級生に質問を投げかけたり、皮膚疾患のアトラス(写真を主体とした教科書)を回覧したり、院内のコンピュータネットワークを利用して臨床写真を提示したりと、非常に活発であった。プレゼンテーションは一人15-20分で、約2時間があっというまに過ぎた。学生の一人に尋ねたところ、準備には3-6時間もかかっているとの事だった。講義も朝早くからびっちりあるし、アメリカの医学生はかなり勉強が大変そうだ。

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2007年3月24日 (土)

オレゴン健康科学大学(古い)訪問記14 学内見学と Predoctoral Meeting

 ソーシャルワーカーは多忙だったらしく懇談の機会は得られなかった。代わりに自分たちで学内をあちこち見てみたいと話したら、申し訳ない事に事務職員さんが我々を案内してくれる事になった。

 確かに、案内無しでこの構内を探訪するのは無謀だった。キャンパスは丘陵地で、多くの建物が林立しているが、それぞれグラウンドレベルが異なっていて、渡り廊下や、橋でつながれており、まさに立体迷路のようだ。

Sky_bridge OHSU clinicOHSU hospital,、Sky Bridge、South Hospital、図書館、 コンピュータショップ、書店などを見て回る。Sky Bridgeの上や South Hospitalの展望所からは、眼下にポートランド市街が望め、遥か遠くにはMt. Hood の偉大な姿を見ることができた。Sky Bridge にはAEDも装備されていた。

Computer_shop_1  病院内のあちこちにカフェがあったり、売店も非常にカラフルなデザインで、病院で必要とは思えないようないろいろな物が売られていた。図書館の一階にあるコンピュータショップのの品揃えは豊富とは言えなかったが、アメリカでは Windows 優勢と思いきや Macintosh が案外多く置かれていた。研修医の必須アイテムである PDA では、本家のPalmではなくて、日本製の Sony CLIEの方が幅をきかせていた。

 昼は12:30から昼食を摂りながらの predoctoral meeting。学生教育に関する打ち合わせ会議である。ここの教員たちはとても熱心で食事の時間も無駄にはしない感じだ。議題としては、教員の多くが、必要な講義のコマ数をこなせていないという問題が指摘されていた。教員の確保はここでもなかなか難しい面があるらしい。また、新聞記事も紹介された。「アメリカの医科大学では教員が不足している。特に、麻酔科学、放射線科学、循環器科学、消化器科学、老年医学、公衆衛生、外科系サブスペシャリティー、成人のプライマリケアの分野で不足が指摘されている。また、Managed careのため、教育病院は早期に患者を退院させてしまうので、学生やレジデントの教育に必要な患者数も不足している。」とレポートされていた。

 「日本では学生は教員を尊敬しているか?」との質問を受けたが、最近の大学を知らないので答えられず。しかしそのように聞かれたという事は、「学生が教員を尊敬していないと感じている」という事なのであろうか。授業中に飲食するのは、もともとの風習なのか、「風紀の乱れ」だったのか聞き損ねたが、少なくとも教員は授業しながら物を食べたりはしていなかった。会議は予定を少し超過。同じ教室で130分から講義だったが、その間学生は廊下で待機させられていた。

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2007年3月19日 (月)

オレゴン健康科学大学(古い)訪問記13 Clerkship teaching

Thursday, December 11, 2003

 午前2時に目が覚めてしまい、それから朝まで寝つけない。時差ぼけがまだ続いているのか。睡眠不足で朝からとても眠い。今日はホテルで朝食は摂らない。730分に大学に到着しカフェテリアで朝食を摂る。Taylor先生は昨日何人かに呼びかけていたが、さすがに誰も来ていない。

 教授のおすすめのビスケットを賞味。ケンタッキーフライドチキンで出されるビスケットと同じような感じだが、これにベーコン?入りのスパイシーなホワイトソースをかけて食べる所が変わっている。2個食べたら、朝から超満腹でますます眠気が強まる。教授にソーシャルワーカーについて尋ねたところ、1名だけ所属しているとの事。もし調整がついたら話す時間をとろうという事になった。

 運が悪い事にこの日の午前中は座学。学生たちの講義はすでに7:45から始まっている。学生は11名。遅れて9時頃に2人来た。やはり皆飲み物と食べ物を持参している。

Lecture  最初は糖尿病の合併症について。基本的に講師が一方的に話すのでは無く、時々学生に質問したり、また学生からも時折積極的に質問が飛んだりして、感心する。しかし眠気が強く、ところどころ意識が途切れている。糖尿病のコントロールの指標は HbA1cを年2回測定し7.5%以下ならOKとは、随分甘い基準だなあと思ったところだけは覚えている。

Toilet_1  講義の間の休憩時間を使ってトイレで一息。でもここのトイレは何だか変だ。小用便器と大便器の間は簡単な敷居があるだけなのだ。なんてオープンなトイレなんだ。

 930分からの講義は、Saultz主任教授。内容は家庭医療学の総論的な事だと思うが、いよいよ眠い上、聞き取りが難しく、具体的な話の筋がつかめない。主任教授の講義中に寝てはいけないと思い、あちこちつねったりして耐えるが非常に辛い。

Mt_hood そうこうしているうちに、珍しく雲が途切れて遠くにオレゴンの象徴である、Mt. Hood がその雄大な姿を現してくれた。おかげでちょっと目が覚める。

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2007年3月15日 (木)

オレゴン健康科学大学(古い)訪問記12 Open house in Family Medicine Center

 午後530分からは、Emma Johns Hall 3階にある教室の一つを使って Open House が行われた。

Open_house_1 Open_house_2  これは、現在家庭医療学 の教育を受けている約10名の学生と、教員の親睦をはかるために行われる、自己紹介を兼ねた小パーティーである

 各教員はパワーポイントを使って自分や家族の事をプレゼンテーションしたり、得意なギターの弾き語りをしたりしてとてもフレンドリーな感じだった。

 パーティーが終わると学生も教員の多くもさっさと帰ってしまう。Taylor 教授夫妻と少数の教員が残って片づけをしていたので、我々二人もお手伝いをした。これはそういう物なのか、それともけしからん事態なのか、我々日本人には判断できないが…、いややっぱりけしからん事態なんだろうな。

 

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2007年3月11日 (日)

オレゴン健康科学大学(古い)訪問記11 外来診療の見学

 2時間30分の講義の後は、再び Emma Johns Hall に戻り、午後の外来診療の見学をする。

Resi_pre_f  船越先生は、写真の研修医・指導医コンビの外来を見学。私は、日系4世の女性医師の外来を見学させていただいた。日系だけど4世になると日本語は全く話せない。家庭医療 の現場では女性医師が圧倒的に多い。反対に整形外科は圧倒的に男性が多いのだそうだ。

 彼女は数週間前にここに来たばかりなので、まだあまり外来患者さんが多くない。この日の午後は二人しか予約がなかったらしい。午後4時にひとり飛び入りの患者さんの診察をする。主訴は動悸であり、既に看護師の指示で心電図検査が行われていて、異常無しだった。

 最初は病歴聴取を行い、それが終わると一旦医師は退室する。その間に患者さんは備え付けのガウンに着替える。着替えの後再び医師が入室して、診察を行う。最初は座った姿勢で、対光反射(目に光をあてて瞳孔の動きを見る)、鼓膜、鼻、喉、頚、胸部の聴診と続く。更に神経学的所見に移るが、腱反射をみるのにハンマーが置いてなくて、代わりに聴診器のヘッドを使っていた。(たまたま無かっただけらしい。)次に仰向けに寝ていただき、再び胸部聴診、腹部触診と丁寧に診察していく。

 数日前にふらふらして転倒したとの事で両下肢には軽い擦り傷がある。すねの部分にむくみが見られた。下肢静脈瘤もありむくみはそのためかもしれないが、Dr. Kohatsu は甲状腺機能低下症の可能性も考え、TSH(甲状腺刺激ホルモン)など数項目の血液検査を指示した。

 動悸については、期外収縮だろうとの説明していたが、実は過去も含めてECGでは一度も期外収縮は見つかっていない。これまで動悸がする時に頓用で使用されていた薬(βブロッカーといって脈をゆっくりにする効果がある)のみが処方されて、今日の診察は終了した。

 診察を見ていて気づく事としては、まず、よく説明をしているという事。しかし検査をする事に対しては消極的で、血液検査の項目も最小限にとどめており、例えば甲状腺機能低下症を疑っているけれども、関連して異常値が出ることが多い総コレステロール、AST、ALT、LDH、CKなどはチェックせずに、とりあえず甲状腺刺激ホルモンのみを測定していた。不整脈に関しても、発作時の心電図をつかまえようとか、24時間心電図をやろうとかそういう感じは全く無かった。彼女の名誉のために付け加えると、これには医療保険がらみの事情が大きく影響しているかもしれない。高額の検査や処方が出ると、保険会社の方で第三者の医師に、医療行為が妥当かどうか問い合わされるなど、とかく医師への締めつけが強いのだ。

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